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「アメリア様、あなたにはほかにもお聞きしたいことがあります。精霊の力を使って、森や川を一瞬で作ったという話は本当ですか?」
「……それが何か? 確かに私は精霊にお願いしていくつもの森や川を作ってもらいましたが」
「精霊に物理的な変化が現れるような力を使わせると、大きな負担がかかることはご存知ですか? そういった大きな魔法は一度に使わせてはいけないのです。極端な魔法は精霊を弱らせるうえ、出来た森や川も長く保つことは出来ません」
ルークさんがそう言った途端、アメリア様の表情が歪む。
それから苦々しい顔で言った。
「セラフィーナ様の言ってた精霊に詳しい魔術師ってあなたのことだったのね……」
ルークさんはアメリア様の言葉を聞き、眉間に皺を寄せた。
「……その反応からすると、あなたは知っていたのですね。一体今まで何体の精霊を犠牲にしてきたんですか?」
「違います、私は何も知りませんわ」
「セラちゃんが力を送っていた場所にわざわざ自分も力を送りにいって、当てつけのように森や川を作るなんて……よくそんなあさましい作戦思いつきましたね。本当は、自分の力が張りぼてだと気づいていたんでしょう?」
ルークさんは迷いのない口調でアメリア様を問い詰める。
アメリア様の表情がどんどん歪んでいった。
精霊師たちが後ろでひそひそ話す声がする。
「アメリア様がそんなことを? 信じられない」
「しかし、サフェリア王国が荒れ始めたのは、セラフィーナ様がいなくなった時期と一致している」
「じゃあ、本当にアメリア様がセラフィーナ様の功績を乗っ取っていたということか……?」
精霊師たちは硬い表情で顔を見合わせている。
驚いた顔をしている者、不審そうな目をアメリア様に向ける者、強張った表情をしている者。普段、アメリア様に尊敬の眼差しを向けていた彼らの目は、明らかに今までとは温度が変わっていた。
精霊師たちの声を聞き、アメリア様はかっとなったように壁を叩いた。
「うるさい!! 何をごちゃごちゃ言ってるのよ!! 私は正統な精霊師よ!! セラフィーナ様みたいな出来損ないとは違うの!!」
アメリア様は普段の清廉な姿が嘘のように半狂乱で怒鳴っている。
精霊師たちはそんな彼女を見て驚いた顔をしていた。
怒鳴っているアメリア様の腕を、ルークさんが掴む。
「とりあえず、あなたのことはサフェリア王家に話せばいいのかな。王子殿下のところへいこうか」
「やめて! 離しなさいよ!!」
「セラちゃん、エリオット様のところへ案内してくれる?」
ルークさんは、淡々とした態度で言った。
私は戸惑いながらもうなずいて、アメリア様の腕をしっかりつかんだルークさんを、エリオット様のいる本宮殿まで案内した。




