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「アメリア様、とおっしゃるのですよね。どうしてセラちゃんに力を送らせたんですか?」
「精霊の石が弱っていたので、一人でも多くの精霊師に力を送ってほしかっただけですわ。まさか石を壊されてしまうとは思いませんでしたが」
「……本当にそれが理由ですか? セラちゃんに石を壊させて責めたかったからではなく?」
ルークさんはアメリア様に疑うような視線を向ける。
アメリア様は嘲るように言った。
「何の根拠があってそんなこと。私がそんなことをして何の特得になるんですか?」
「この石には、明らかに人為的につけられた傷がいくつもあります。あなたがつけたのではないですか?」
「人為的な傷? そんなものがあったとして、どうして私が傷をつけたことになるのですか? 私は何もしておりませんわ」
アメリア様は馬鹿にしたように言う。
ルークさんは眉間に皺を寄せた。
「おかしいな……。でも、この石にはあなたの魔力が残っていますよ。随分と強い魔法を使ったんですね。石の傷にはっきりとあなたの魔力が刻みつけられてしまっています」
「……は? なにを言ってますの?」
「あれ? 精霊の石に魔法で傷をつけると、傷つけた人間の魔力が半永久的に刻まれるっていう話、知りませんでした? 精霊の国サフェリアの精霊師様だから、当然知っていると思ったんですが……」
「な、何をおっしゃってますの。そんな話、知りませんわ」
「国外では常識ですよ。精霊の石が魔力を使った人間を記憶することは。そうだ。この石を修復するついでに、傷が誰にどうやってつけられたのかも調べてもらいましょう。そうすれば石が壊れた原因が単純に弱っていたところに力を送られたからなのか、傷をつけられたせいなのかはっきりするはずです」
ルークさんはアメリア様を見ながら、どこか楽しげな態度で言う。
アメリア様の顔がどんどん青ざめていった。
「し、知りませんわ! 私は何もしておりません!」
「そうですか。では、こちらできちんと調査させていただきますね。名のある学者たちにきちんと調べてもらいますからご安心ください」
「勝手なことを言わないでください! そんなこと許せませんわ!!」
「なぜそんなに慌てるのですか? きちんと調べたほうが疑惑が晴れていいでしょう」
「だ、だって……、違います! 石に傷がついたのは、事故だったんです。強い力を送り過ぎてしまって小さな傷が出来てしまいました。でも、石が割れるほどの傷ではありませんでしたわ! 石が割れたのはセラフィーナ様のせいです!」
「石に傷をつけたのは認めるんですね」
ルークさんは冷たい声で言った。
アメリア様は悔しそうに唇を噛む。
「確かに石に傷をつけたのは私かもしれませんが……本当に割れるような傷では」
「まぁ、今言ったことは全部嘘なんですが」
「は?」
アメリア様はぽかんとした顔でルークさんを見る。
ルークさんは淡々と言った。
「石に魔力が残る云々は全部嘘です。そう言ったら、あなたが罪を認めてくれるんじゃないかと思って」
「な……!」
「傷をつけたのはアメリア様だと認めてくださってよかったです」
ルークさんはそう言ってにっこり笑った。
アメリア様の顔がたちまち歪んでいく。部屋の中の精霊師たちがまた騒ぎ出した。
ルークさんはアメリア様に向かってさらに尋ねる。




