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そうしていると、先ほどまで静まり返っていた精霊師たちからひそひそ囁く声が聞こえてきた。
「すごい精霊の数だ……! この短時間にこんなに精霊を集められるなんて!!」
「あれほどの瘴気を一度に祓うなんて、やはりセラフィーナ様の力は悪魔の力ではなく精霊の加護……」
「セラフィーナ様は出来損ないの精霊師のはずではなかったのか?」
精霊師たちは私を驚いた顔で見ながら大騒ぎしていた。
先ほどまで私に非難の視線を向けていた彼らの目に、恐れと期待の混ざった色が滲みだす。
そんな中、アメリア様だけが不満そうにこちらを見ていた。
「よかったね、セラちゃん」
ルークさんがしゃがみ込んだ私に手を差し伸べながら、改めてそう言ってくれる。私は笑顔でうなずいた。
それから、ふとルークさんは石の方を見遣る。
「けれどあの石、どうして割れてしまったんだろう。普通に力を送っただけなんでしょ?」
「はい、私にも何がなんだか……。石に負担がかからないよう、慎重に力を送ったつもりだったのですが」
「瘴気を溜め込み過ぎて脆くなっていたのかな……。ちょっと見せてもらうね」
ルークさんはそう言って石の方へ歩いていく。
すると、アメリア様は途端に焦り顔になった。
「いけませんわ! その石はサフェリア王家が代々受け継いできた特別なものです! 余所者に触れさせるわけにはいきません! 下がってください!」
「触りませんから。少し確認するだけです。割れてしまった原因を探りたいので」
ルークさんは必死で止めようとするアメリア様の手をすり抜けて進んでいく。私もルークさんについていった。
精霊の石の前に立ったルークさんは、しばらく石を眺めた後で顔を顰めた。
「随分派手に割れちゃってるなぁ……」
「はい。私の魔法のせいで申し訳ないことをしてしまいました……」
「力を送っただけで壊れるなんて、相当弱っていたんだろうし仕方ないよ。……ん?」
難しい顔で石を見ていたルークさんの目が驚いたように見開かれる。私は不思議に思って彼を見た。
「どうかしましたか?」
「ちょっとここ見て。何かで傷つけられたような痕がある」
驚いて石を覗き込んだ。
ルークさんの指さす場所には、彼の言う通りナイフか何かで切りつけたような痕があった。
「これはなんでしょう?」
「人為的につけられた傷に見えるね」
「まさか、この傷のせいで石が割れてしまったとか……?」
私が首を傾げていると、首元からシリウスが顔を出す。
『誰かが仕組んだんじゃない? あらかじめ傷をつけて石を弱らせておいて、セラが力を使った瞬間に割れるように細工したとか』
「そんなこと、一体誰が……」
『一人しかいないでしょ。今日、セラをここへ連れてきた奴』
シリウスは吐き捨てるように言う。
ルークさんの表情が硬くなった。
すると、アメリア様がつかつかこちらへ歩いてきた。
アメリア様にはシリウスの姿も声もわからないので、先ほどのシリウスの言葉は聞こえていないはずだ。しかし、その表情からは尋常ではないものが感じられた。
彼女は私を睨んだ後で、ルークさんに詰め寄る。
「いいかげんにしてください! ここはサフェリア王国の王宮ですよ!? あなたのやっていることはサフェリア王家に対する侮辱です! 勝手なことをなさるなら衛兵につまみ出してもらいますよ!」
「……まるで自分が王族みたいな言い方をなさるんですね」
「ええ。だって近い将来そうなるはずですもの。とにかくお引き取り願います」
アメリア様は苛立たしげな口調で言う。
ルークさんは冷ややかな態度で言った。




