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あの予言は間違っていた  作者: 大木戸です


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13/16

13 十歳 ギルバート・イシス

 町での情報収集はひどいものだった。

 朝から町の人々に「本がある場所は存在するか?」や「本が置かれている店はあるか?」と聞いても、嫌な顔をされるか、曖昧な答えしか返ってこない。「そんなものはない!」と怒鳴る者もいる。

 ……変な町だ。

 不親切というよりも、余所者を排斥しようとしている。俺たちが誰かに声をかけるたびに、どんどんと怪しまれる。

 冷ややかな目で見られるようになり、ヒソヒソと声を潜めながら俺たちの話をしている。

「遊びに来たのかと思ったけれど、なんだか色々と聞き回っているみたいなの。本がどうとかこうとか……」

「フレッドさんとこの知り合いらしい。……たしか、昔いた騎士団の知り合いの親戚? ……みたいなことを言ってた気がする」

「全員似ていないわね……。特に一人、ずっとフードを被っているもの」

「この町を荒らしにきたんじゃないのか?」

 そんな声が聞こえてくる。

 こんな体験は初めてだった。王都ではこんなに噂されることはない。良くも悪くもお互いに干渉しない。王都はみんな余所者同士だ。

 田舎だからこそ、団結力みたいなものは凄いのだろう。

 俺たちは中心地を少し離れて、人の気配がないところへと一時的に移った。


「溶け込み方を間違えましたね……」

 ベティが困ったようにそう呟いた。すぐにリラが言葉を返す。

「そもそも溶け込む予定じゃないもの」

 それはそうだ。俺たちは長くても一週間しかここにはいられない。それぞれ要務が残っている。

「どうしますか? 殿下」

 ベティは視線を俺へと向ける。少し間を置いた後、俺は口を開いた。

「お前たちは町の人々をなんとか懐柔しろ。俺は別行動をする」

 フードを被りっぱなしだと、怪しさは拭いきれないだろう。

「お一人で行動なさるのですか?」

「ああ」

「せめてベラだけでも」

「いや、俺一人で大丈夫だ」

「…………くれぐれもお気をつけて」

 どこか不満そうだったが、ベティはすぐに折れた。本当は俺が一人でどこかに行くことは嫌なのだろう。

 双子やリラは俺の勝手な行動をある程度は許してくれる。これは信頼関係を築いているからこそ成り立っているものだ。それも俺は重々理解している。


 修道院へとまた足を運んだ。

 あの女の子にもう一度会いたいという気持ちもあったが、修道院にもしかしたらイーヴィアの書の手掛かりがあるのかもしれないとも思った。

 ……だが、町の様子からして、俺を歓迎してくれるとは思えない。

 閉鎖的な町だ。もうすでに俺たちの情報は修道院にも来ているだろう。

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