第二話 ボロアパート
長い間引き篭もっていたニートが意を決したような心情を似たりよった立場をうろうろしている遼も同義とまではいかないが、どことなく抱えていたのは変わらず仕舞いで、薄着のまま外へ出た遼は「まぶしっ」と両目を手で覆った。
換気を怠っていた室内とは天と地ほども差のある空気を肌で感じ、温暖低気圧がここ出雲市に直撃でもしたのかは知る由もないが、それにしたって心地良いを通り越して適度な体温を凌駕してるし、太陽の日差しが妙に突き刺さる。
最近外に出てなかったからかとドアを閉め施錠を決行しようとしたところで、起こりえるはずのない異変が起きた。
「んっ? なんだこれ?」
鍵穴に鍵を差し込もうと試みるも、何かが詰まっているのか、依然として奥まで入ることがなく、鍵穴如きに腹を立てた遼の命運はそこで尽きていたようで、次にとった行動ゴリ押しの一択で、押す。
とりあえず押す。
そして回すっ。
ついでにドアのぶを掴んで思いっきり引いた!
するとバギッと明らかに何かが割れるような音がして、その正体がドアを繋ぎ止めていた金具と共に折れた木の音だと解るのには、外れた勢いで鉄柵に鈍い音をたて激突したドアを見れば一目瞭然説明不要にも通じることだった。
「……ホント、冗談はやめてくれよ」
特に笑えない奴はなと、ヘコみ傷付いたドアを目の前にして語尾に少し付け足した。
ヘコみ傷付きそうなのは、遼の方なのに。