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金の力はパステリー  作者: 河合 翔
金の力はパステリー(1)
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第十八話 大金

 夜が明けた。


 白みの掛かった光景を朝一に捕らえ、時刻は六時を指す掛け時計に一瞥すると、再度布に包まった。いやー昨日は大変だったなぁ。


 走馬灯のように思い返される記憶は、どんちゃん騒ぎなもの。


 夜更けまでアクションゲームに明け暮れた挙句の果て、徒歩五秒も掛からない自室に千鳥足で戻り、敷き詰められた布団に崩れ落ちるが如く倒れた、のは椿姫であり、遼はといえばそこらに散乱している山から薄い布を引っ掴み、布イン。高望みすると本当はベッドインしたかったのだが。


 そのせいか、今は寒い。寒がりな分余計に堪える、非常にたまったもんじゃない。結果、耐え切れなくなった遼は仕方なく起き上がり伸びをすると、椿姫の元へとジャンプ。


 考えることは一点に絞ってあり、暖房器具等設置されているわけがない氷ついた空間に布団剥ぎ取りの刑を執行し、遼と同じ苦しみを与えてやるという幼稚なものだった。


「ふっふっふ、必殺布団剥ぎ取りをまともに受けてガクガク震えないやつなどいるわけ……? 布団がやけに盛り上がってるが、な、何だ?」


 自らフラグをたてーの疑問符を巡らせーの、遼はいきり立つこともなしに、顔だけひょっこり出しスゥスゥと小さな寝息をたてる椿姫の布団を躊躇ちゅうちょなく一気に捲くってやった!




 ――遼は夢でも見ているのか。




 と真っ先に自身の状態を疑った遼は思いっきり頬を引っ張り、腕をつねりあげ痛みに溺れることなく、やはり思考のが上増せ凌駕した。


 それは消費税が五円から十円へ倍になるよりも有り得ない事で、地球が太陽とタッチダウンを行う事よりも起こり得そうなくらい摩訶不思議な光景だった、そしてロールバック。


 やけにしわだらけの縦に長伸びした布団を剥いだ途端、束にまとまった紙切れであってそうでない一万円の札束が幾重にも積み重なり、ざっと見積もっても一億はかたい目のやりどころに困る両の数が遼の視界に入り、眠りこける椿姫がソレに囲まれ――埋まる形となった。


「……………………ぷはぁっ、うー、目覚め最悪じゃないのよ。遼っ! 一体何やって――」


 椿姫さん起床。


 仏頂面にいきなり口を尖らせた眠りまなこが捕らえた椿姫を包み込む異様な光景に、今度は口をつぐませた。せわしい奴だな、いや、今はそんな悠長に事を構えている場合じゃあない。


「なに……これ……?」


 正にやぶから金か、はとが豆鉄砲を直撃したような面持ちのまましゃきんと立ち上がり、律儀にも遼の真横に歩み出る。


 遼はといえば思考が追いつかず足元に転がっている札束の一つを引っ掴み、探りを入れ始めた。

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