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金の力はパステリー  作者: 河合 翔
金の力はパステリー(1)
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第十三話 大惨事

 傍観者と化していた椿姫は、遼の背後からひょこっと顔を出し(何がしたいんだ?)、


「家賃滞納なんかしてたんだ……遼」


 軽蔑けいべつの眼差しを向けられた! くそ、お前だってホームレスなんだろ。


 んなこと言われる筋合いなんか微塵にもないぜ。


 しかし大家さん。

 この立場状況から眉を潜めて突っ込みに掛かる。



「全く、女の子を連れ込む暇があるなら、バイトの一つでもしなさいよ。そっちの方が一人暮らしする学生の性分にあってるし、より健全だわ」


 今のタイミング。

 続くセリフとしては、「そうですね。バイトでもなんでもしてお金を払うよう頑張ります」とでもいえば効果覿面だったのだが、


「いや無理ですよ。俺の特性、異質がある限りは……すみません」


 あくまで正直に事を進めてしまうのだった。


 無論本心では異なるのだが。


 しかし遼の苦悩を悟っている大家さんは眼鏡のピントを合わせ、


「はぁ……そうね。まぁいいわ。あなたのそれは真性のものだしね。でもちゃんとなんとかしなさいよ? 私は神でも仏でもないんだから」


 そう言い残し、足を小幅に動かしながら階段を掛けていく。


 遼は根拠もなく「必ず払いますから」と言葉を発し、内心で自らの不甲斐無ふがいなさを噛み締めた。


 そんな遼をじっと見つめるのは椿姫。


 ちょうど光が陰っていたのが吉か、暗闇にほんのり映るだけですみ、規定事項の注意点については大家さんもなんら疑問符を浮かべなかったことだろう。


「……さて! 部屋に入るか」

「ふぅ、やっとね」


 気持ちをリセット。


 切り替えし準備を怠らず決行した結果がこれだ。遼はいきり立つようにグッとドアのぶを捻り引いた。


「ごめんねー、ちょっと言い忘れてた件があるんだけどねって……何かしらこの惨事」


 伝達忘れか戻ってきた大家さんは一瞬目を見張り、次にドアを脳天に打ちつけのたうち回る遼を目で追った。


 因みに、椿姫は間一髪ドアの猛攻をかわし、痛い子を見るような眼差しを向けて(そのまんま)、ドアをよそよそと直している。



「……前言撤回でもしようかしら」

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