詩 無力でもよかったあの時代に
「大人になったら人の役に立たないといけない」
「そうでない人間は生きていてはいけないから」
通り過ぎて 無くなって 消え去ってしまった
懐かしい風景を
何度も 何度も 何回も 何回も
前に進むたびに 後ろを振り返るたびに
脳裏に思い浮かべてしまっている
灰色になって色味がなくなる前に
形がなくなって不確かになる前に
戻りたいと心が叫んでいる
帰りたいと心が求めている
思い出せなくなるほど
心が擦りきれてしまう前に
またあの時間で生きたいと
またあの時間で過ごしたいと
いつも思う
思わずにはいられない
何も出来ない
それでもよかった
何も成せない
それがよかった
無力が当たり前の時代に
子供時代に
生きていてもよかった
あの時代に