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何故かすっごい過保護星人

 は~い。皆さん、注目~!

 今日はとってもとっても記念すべき日ですよ!

 あ、どうも、アギーラです。


 とうとう…とうとう僕も、ギルドへ登録をすることになりました~ぐるぅぅぐぅ!

 興奮して朝から意味もなくウロウロしちゃった…なにこれ、犬人の習性かな…。


 グーチョキパが無事に取得出来て、とうとう大量生産のラインも稼働し始めたからね。

 僕にも色々とお金が入ってくるらしいんだけど、そういう入金なんかは、ギルドカードでやり取りするんだって。


『バイトの給料が銀行振込だから銀行口座作れ』って、言われるのと似てるよね。

 …そう言えば僕、まだアルバイトを一度も経験する事なく、異世界転移しちゃったんだよなぁ。

 日本の青春時代って…何にもなかった気がする。

 しかもこっちに来たら、既に成人。成人してるのに10歳にしか見てもらえない容姿…僕の青春は永久に失われる運命なのか…


 だが、しんみりなんかしてられない!

 何故なら目の前にはギルドがあるから!!

 ドキドキ、僕の異世界ロマンだからね!

 早速憧れのギルドへお邪魔してみましょう!!


 ◇◇◇


 うわ~ぉ、本当にクエストが壁に貼ってある!

 クエストって依頼案件の事をそう呼ぶんだぜ~。

 ずらっと壁に張り出してあるよ…、僕…感動でちょっと泣きそう。


 高い位置に貼りだしてあるのは塩漬け案件というか、いつでも欲しいけどなかなか出てこない物のおねだりリストみたいだ。

 通りすがりにチラっとだけガン見する。


『マンドラゴラ…時価』『天然魔石…時価・応相談』『大型魔獣の魔獣魔石…時価』『頬袋ビック栗鼠の頬袋…右・最低金額金貨:5枚、左・時価』『夜光草…最低金額:金貨5枚』『レイクパール…最低金額:金貨2枚』…


 うわーぉ。マンドラゴラってあの悲鳴を聞くと発狂するとかしないとかってやつかな。

 魔石は売れ筋っぽいなぁ…頬袋ビック栗鼠の頬袋…左右の値段が違うって…なんだろね、これは。

 …あ、いけない。おのぼりさんしてたら、ガイアさんがあんなに先に行っちゃった。

 今度ゆっくり見に来よ~っと。


 この世界ではギルドは『冒険者ギルド』『商業ギルド』『生産ギルド』の3つがある。

 そうは言っても、建物は同じで受付窓口が違うだけ。窓口の奥は全部繋がってるみたいだ。

 各ギルド同士の軋轢とか…そういうやつはなさそうだなぁ。

 

 あとは…『買取専用』窓口もあるね。買取窓口の傍にはドアがあるから、大きな魔獣なんかは別の場所で査定するのかも。

 想像逞しくジロジロ見ちゃうよ。

 自分、まばたき禁止!何も見逃さないんだからな!!


 採取人や狩人なんかは冒険者ギルドへ登録するんだって。

 狩人はまぁわかるけど、採取人も…?って思ったら、高ランクの採取人は、近くの森で薬草を摘み取る人たちとは訳が違うんだ。

 特殊な素材を取りに行く採取人ともなると、ダンジョンや山の頂、崖の上、沼地、未開の地…どこへでも乗り込んで行くらしい。


 戦闘能力が高くないと、とても務まらない職業だって…。

 なり手の少ない、いや、なかなか常人では務まらない職業なんだそうだ。

 

 戦闘ができて、身を守る術に長けていて、崖の側面をもゆける身軽さを持ち、薬の原料になる虫や薬草などの知識が豊富、生息域の目星がつけられる経験則…。

 背負い籠と鎌持って、ほっかむりしてるイメージだったのに…。

 採取人…ヤヴァイ。

 

 もちろん近くの森なんかで薬草を摘む人も採取人。

 こっちはまさしく背負い籠。


 ◇◇◇


 ギルド内は冒険者で一番混み合う時間帯がだいたい決まってるから、その時間帯は商業と生産の受付が少なくなって、冒険者の窓口がバーンと広がるんだって。

 王都とか大きな町にギルドは常設されているんだけど、別途、ダンジョンが発生した時なんかには、その近くの村なんかに臨時ギルドが出来るらしい。

 この世界のギルドってなんだかしっかりしてんだな…。


 ギルドへの入会金はシーラさんの旦那さん、ガイアさんが「シーラに弟子ができたお祝いだから」って言って出してくれた。

 そう、シーラさんの旦那さんが長期の出張から戻ってきたんだよ。

 すっごくおっきな獅子人族という種族の獣人さんで、シーラさんとは幼馴染でシーラさん大好き星人。

 

 なんとそのガイアさん、冒険者だった。

 かっこよくて優しくて、たぶん超強いんだろうハイスペック星人だ。

 それと…何故かすっごい過保護星人でもある。

 僕、成人してるから大丈夫ですって何度も言ってるんだけど…。


 今日だって、危ないから一緒に行くって言って聞かないんだ。

 ギルドって、どちらかというと優良企業っぽいし…そんなに危ない所に見えないんだけど…。

 

 わぁ…ガイアさんって人気者だぁ。ギルドに入ると色んな人から話しかけられちゃって…、あ、囲まれちゃった…ちょっとした有名人だね。


 受付に並んでる間に、聞くともなしに聞こえちゃったんだけど、瘴気っていう渦…魔獣が発生する黒い霧みたいなものが、大陸各所に同時に出現して大騒ぎだったらしい。

 ユスティーナには発生してなかったらしくて…全然知らなかったよ。

 自分の身の上と洗濯板に気を取られ過ぎてたのかもしれない…。


 ガイアさんが遠征に行っていた、東のセレスト国ではなんと瘴気との戦いが4か月にも亘ったんだって。

 往復にだって時間がかかるし、途中で寄り道もしたかららしいけど、連絡を受けてから赴いたガイアさんも、結局のところ4か月半ほど、家を空ける事になってしまったらしい。

 冒険者も大変。馬車3分で音をあげた僕には信じられないよ。


 それにしても…平和だと思ってたこの異世界、なんだかきな臭くなってきたなぁ…。


 ◇◇◇


 もちろん僕が利用するのは生産ギルドだよ。

 過保護なガイアさんが付き添ってくれて、ギルドへ登録に来たんだけど、カードの発行に時間がかかっちゃった。

 

 なんせ僕は、勝手に出ちゃったのを除いて、未だに魔力が覚醒してないからさ…ギルドカードを作るのにはカードに魔力を流さないとダメなんだって。

 でも、シーラさんが抜け道というか…特例として認められてるカードの作成方法を調べてくれたんだ。

 それが、僕の血液をカードに登録する方法。


 この町の薬師であるグリンデルさんからの『記憶が一部喪失。魔力が一時的に覚醒しない状況になっている』の診断書プラス、シーラさんの店の雇用証明書プラス、ガイアさんが引受人の僕の身元引受書プラス、僕の戸籍証明書と血液。


 久しく血液での登録者がいなかったもんだから、受付の若いお兄さんがちょっとわちゃわちゃしてしまって時間がかかっちゃった。

 奥からスーッと古参らしい強面従業員が現れて手続きをしてくれたんだ。

 そこからはあっという間だった。


「魔力が覚醒したら魔力を流しに来てくださいね」って、ガイアさんの知り合いらしい古参の強面さんに言われて、無事にカードをゲットできました!

 魔力の方がカードと本人との繋がりが良いんだってさ。

 早く魔力が覚醒しないかな。

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