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うん。やっぱアギーラが一番怖いわ、うん…

本日三話目です!

 それにしても…田中正さんの手記、めっちゃ面白かったなぁ。

 日記なんて、三日坊主で全く続かないんだけど…ああいう感じなら、私にも書けそうな気がする。


 何かを書くって思うと、でしたましたの日記風か三人称が基本なんだとずっと思い込んでたんだけどさ、あんな風に普段の会話っぽく気楽な感じで書いても良いんだなって思ったらさ…私も書いてみたくなっちゃった。


 あとで読み返しても楽しそうだし。

 次の名無しさんが現れることのないように祈りつつ、いや、いつかここと地球が平和的につながる事もあるやもしれんし…よし、決めたぞ!私もまだ見ぬ誰かに向けて、いっちょ書いてみようじゃないの。


 これから待望の異世界スローライフが始まるんだもん。

 のんびりと手記を書く時間だって出来ると思うし。

 そうと決まれば吉日!早速書いてみよう…。


 うーん…ベタだけど、転生したところから書き始めて順を追って思い出しながら書くってのが、結局は読みやすいかな?あ、最初はパトナの記憶からってのもアリか…


 ――「ちょっと…もう二人とも、■■■やめなさ『ゴン』」

 ――「「「「「「ギャー!」」」」」

 ――「■■■、先生■■■!■■■ー!!」

 ―― あれぇ…みんなのこえが…ちいさくなっ…


 こんな書き出しでどう?

 小説風に書いていっても面白いかも。

 なかなか楽しくなってきたぞ…。


 あ、グリンデルさんからバディバードがきたよ!

 いやさぁ、クロノスケのぴこんがまた落ち葉になったもんでね…混ぜてみたのよ、あの絶望的にえぐい&生臭いポーションと。


 クロノスケがどうしても落ち葉をくれるっていうもんだから、これは仕方なくなんですよ。ほら、ポーションなら、クロノスケに何かあった時にも役に立つし…もごもご(言い訳言い訳)


 そしたらまぁなんと…あの生臭さも、あのえぐみも苦みもも全部が消失しちゃった。且つ、時間経過での劣化や変化が起こらないという、嬉しい特典つきに仕上がりました~!


 これはすぐにグリンデルさんに相談しようって思って…さっきバディバードを飛ばしたとこだったんだ。

 なになに…使用した量を知りたいって?


 この大地には精霊の祈り木はなくなっちゃった訳だし、今後の役に立つのかどうかは疑問だけど、いつかまた精霊の祈り木が戻ってくるかもしれないでしょ?。

 その時の為にも、わかった事は少しでも共有しておくべきだと思うの。


 クロノスケの頭には精霊の祈り木が生えてるけどさ…クロノスケから分けてもらえたこの一枚の落ち葉じゃぁどうしようもないし、暫くはグリンデルさんと私の秘密…あ、あれ…クロノスケ?あんた、また頭に葉っぱが…え…二枚も!?


 ◇◇◇


 あのさ、こっから先は聞いた話を繋ぎ合わせただけだから、私もそんなに詳しくはないんだけど…その後の色々、聞きたくない?


 まずは…あの卵からだね。

 そうそう、エリーゼ湖に落下した巨大な金属っぽい丸いアレの事。


 もう…聞いてびっくり。

 あの卵はね、なんと世界滅亡に備えたユスティーナ国の王族と、一部の上位貴族だけが生き延びる為にって作った移動型シェルターだったんだって。

 私の鑑定で唯一出た“ボンクラーノの方舟(はこぶね)”って、ネーミングにも妙に納得だね。


 もうお判りでしょうが、移動型シェルターの動力は、国策の街灯を通じて真夜中に勝手に吸い取っていたキラキラ。そう、国民の魔力。

 どうやってそれを動力にするんだよ問題の解答は、卵の中にありましたよ。もう、それはたくさんね。


「精霊の祈り木の落ち葉…シェルター内のコア部分が落ち葉で埋め尽くされてたって」


「アギーラったら情報通」

 

「村のインフラ整備が整うのに比例して、情報がガンガン入ってくるんだもん」


「みんな、すっごい詳しいよね」


「本当に…どこぞの誰かが情報を、とってもいい感じに流してらっしゃると思うと震えるよ」


「どこぞの誰かって…ギルド一択じゃん…」


「いや~ベルさんは小さいのに賢いですなぁ」


「棒読み」


「でもさぁ、まさか精霊の祈り木の落ち葉を媒体にして、街灯で盗んだ魔力をどうにかしようなんて…あれにはマジで驚かされたわ」


 盗んだ魔力の使い方なんて、わかんないはずだよね。だって、精霊の祈り木の落ち葉なんて、庶民には絶対に手に入らない代物だもん。まぁ、クロノスケのは別としてだけど…。


 アギーラから聞いた話だと、精霊の祈り木の落ち葉って、各王家での分配制だったみたいよ。

 地理的な問題ってだけで、ユスティーナ国が独占するのはおかしいってね事でさ。大昔っから落ち葉は五等分するって決まりがあったらしいの。


 その代わり、ユスティーナは他の国から海塩を各国の販売価格と同じ、適性価格で分けてもらう。そういう風にして、今まで持ちつ持たれつやってきてたんだって。


 それがさ、海の様子がだんだんおかしくなって…あの例の瘴気が頻発し始めた頃から、ユスティーナは各国に分配するはずの精霊の祈り木の落ち葉を独り占めし始めたの。

 

 急に葉が落ちなくなったって言ってたらしいけど…どこの国も、海の様子がおかしい事と関係してるんだろうって、落ち葉の分配を、強く促すような事はしなかったらしいんだ。


「どこの国も塩の輸出価格を釣り上げて、抗議をするくらいで様子見してたらしい。まぁ、各国ともあの海の色のせいで終末論が横行してたから…偉い人達も自分たちの事で精一杯だったって感じ?」


「世界が亡くなっちゃえば、精霊の祈り木の落ち葉があったって意味ないしね」


「そうそう、そのコア部分には謎の魔法陣があったって話だよ」


「ぶふっ、謎の魔法陣!」


「最近、とある禁術の魔法陣ネタを聞いた(読んだ)事ある人、手ぇ挙げて~!」


「はいはーい!って、いやもうあまりにタイムリーでお茶吹いたわ」


異世界(地球)に…行こうとしてたのかな」


「地球とは限らないかもだけど…まぁ、異世界に行こうとはしてたんだろうね。でもさぁ、あれって対価がいるんでしょ?」


「まったく恐い話だよね」


「ほんとほんと。でも一体、何を対価にしようとしてたんだろう。あんな超巨大な卵を異世界転移って…」


「いやだなベルったら、わかってるくせに。そんなのこの世界全部に決まってんじゃん」


 うん。やっぱアギーラが一番怖いわ、うん…

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