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妖精女王様ったら、わかってるぅ

 そう言えばさぁ、パケパ芋ノスケミンッチーチョ…でしょ?

 パ・ケ&パ・芋・ノスケ・ミン・ッチー・チョ。1.2.3…


「今更だけど…この世界の魔法の種類って元々は青・赤・白・黄・緑・黒・無の七つだよね?」


「…今度はなにを言い出すつもり?」


「まぁまぁアギーラさん、聞いて下さいよ。青が水、赤が火、白が治癒とかなんとかで…黄が土、緑が風、黒が闇魔法?で、無色もよく分からんけど…私のやつで七つ。この認識であってるよね?」


「そうだと思うけど…えっと、これは一体何の話になっていくのかな?怖いんだけど…」


「いやさぁ…全部集まっちゃってるなって思って。イズミンが青、お芋ちゃんが赤でしょ?白がマッチョブラザーズ、あとは黄色がツッチーで緑がケサラとパサラ、黒はクロノスケで無色がパトナ。ほら、魔法色アッセンブル!的な~」


「うーん…まぁ、そうだけどさ」


「いやさぁ、コンプリート特典があっても良いんじゃないのかな~って話よ」


「勝手に名前付けただけで、何か貰おうって…おこがましくない?」


「そう言われちゃうと、その通りだけどさ…」


「瘴気消滅と異世海を元に戻した時に十分に役に立ったでしょ?異世界滅亡の危機は食べ物につられてってだけだけども、去った事だし。崇高な理想とかそういうのは一切なかったけど、異世界を救ったは救ったと思うよ?それ以上は欲しがりすぎな気がする」


「食べ物につられて…の下りは余計ですな」


「いやそこは笑えるから譲れない。食べ物はおいといて…真面目な話、ここに来たのは瘴気から異世界を救う為だったのかな~って話もしたじゃん。そんでもって僕はどういう訳だか巻き込まれ転移しちゃった奴だったんだろうなって」


「いや、言ったけどさぁ…私にもご褒美があったって良いじゃん。世界を救ったとて私の腹が満たされる訳でもなし」


「満たされたじゃん。綺麗な海の幸を大量にゲットしたでしょ?」


「それはそれよ…」


 まじまじと左小指を見る。

 普通の時は普通の小指なんだけどなぁ…これ、なんか知らんけど大活躍だったよ。


 ――まじまじ

 ――まじまじ


「ギャッ!」


「ベル、どうしたの!」


「指、小指が…」


 こ、小指が光ってコンニチワ!?

 

 ◇◇◇


 ――ザザザ

 ――ザザザザザ


<あら、珍しい…その姿はあの子の…あらまぁ…そうなの…。不思議な魂だこと…この世界の魂ではないのかしら…?>


 私の左小指から、立体映像?ホログラムみたいなのが出てきちゃったよ…。

 うわ~べらぼうなべっぴんさんがゆらゆら映ってる…じゃなくって、なんやねんこれ!

 

<あらあら?…見えているのね。良いわ、とても良い。あぁ…そうなのね…瘴気が…ふぅん、興味深いこと。あなた、お名前は?>


 ――ザザザ


「わ、私…ベルって言います。あ、あの、あなたは…」


<妖精の女王と言ったらわかる?ご存じないかしら…最近めっきり存在感がないのだもの…見えないのだから仕方のない事だけれど…うふふ。‥‥‥。あらまぁ、ずいぶんとたくさんお世話になってるのねぇ。…あらあら…それで、こんな事に…ベル、あなた…とってもおもしろいわ>


「あの…妖精女王様…?」


<本当に…人族からそう呼ばれたのは久しぶり。あの子が名前を貰ったのは知っていたけれど…ベル、一度私の元にいらっしゃい。なかなか不思議な…その肉体じゃぁ力も出ないでしょうに…あら、でもずいぶんと…力が…ふんふん…おもしろい。やはり一度私の元へいらっしゃいよ>


「ど、どうやって…ですか?」


 ――ザザザ


<それは時が来ればわかるはず…あら?>


 妖精女王と名乗るホログラム、今度はまじまじとアギーラを見つめ始めた。


<あらあらあら?…これまた珍しい。器と魂がバラバラなのに絶妙なバランス!ふぅん…あなたもこの世界の魂じゃないと…ね、あなたも一緒にいらっしゃい。どちらの姿で来ても大丈夫よ。是非一緒にね…>


 どちらの姿でもって言ってる。アギーラの俯瞰の姿の事…半透明アギーラの事を言ってるのかな。

 クー・シーという種族の謎も、未だに外見の成長が止まってる謎も…解けるかもしれない。


 でも…アギーラには見えてないんだよなぁ。一緒に行っても何一つ見えないんじゃ、正直キツいよねぇ。


 アギーラは私の動揺ぶりを見て、何かが起こってると判断して黙ってる。瞬時に空気が読める奴なんだけどさ…後で私に説明を求められても困るぜ、これ。


 ――ザザザ


<あら残念…こっちの子は…見えていないのね。ベル、あなたがたくさん持っているそれ、その魔素水を飲ませなさい。そうすればその子も…その魔素水、()()()()()の?あらまぁ…せっかく揃っているのに…>


 何を言ってるのか全然わからないけど、ホログラムな妖精女王様が、私に向かってふんわりと片手をかざしてきた。


 げっ。私の眉間あたりにレーザー光線のようなものが、ホログラムな妖精女王様の手のひらから照射当されて…金縛りにあったみたいに全く動けない。誰か助けてー!


 この女王様とやら、一体なにしてくれちゃってんの?不思議と恐ろしさは感じないけど、何かするなら先に一言おくれよー!


<うふふ、七つ揃っているのにもったいないもの。これは私からのプレゼント…。はい…もう良いわ。これでベルの欲しいものが手に入ったはずよ…>


 ちょっとポカポカするけど、すこぶる気分も良いし…変な事はされてないっぽい。ぽいだけど、大丈夫そう。たぶん。

 それにしても、私の欲しいものって…なんだろう。


<いずれまた。二つの明るい光…その時まで、どうかすこやかに…>


 ――ザザザ

 ――ザザザザザ


 消えちゃった…。


 こんな時に限ってパケパ芋ノスケミンッチーチョはいないしさ。あたしゃポカーンだよ、ポッカーン。


「えーっと…そろそろ良いかな?色々と聞きたいんだけど」


「え?あー、そうだよね。うんとね…とんでもない事になってきたよ。さぁアギーラ君、まずはこれでもお飲みなさい」


「そ、それは!ベルの何かしら成分入りの魔素水じゃん…いらねーし…」


「飲んだらイイコトあるかもよ~。妖精さんとか精霊さんとかが見えちゃうかもだよ~。信じて貰えないかもしれないけど…今さぁ、ホログラムな妖精女王様がここ(私の左小指)から出てきてね…」


 ◇◇◇


「ベルの欲しいものかぁ。まさかコーヒーとかチョコとか!」


「いや、普通に考えて違うでしょ。それはそれですっごい嬉しいけども…」


「だよねぇ」


「七つ揃っているのにもったいないって言ってた。何だろう…七つって魔法の色の事かなぁ。それくらいしか心当たりがないんだけど…」


「うーん、突然現れて謎かけして整わせないで帰っちゃった妖精女王様って、結構残酷なんじゃなかろうか…」


「うん。言うだけ言ってさっさと消えちゃった。偉い人やら頭の良い人やらにありがちなパターン」


「あー、下々には理解が及ばないっていうね…」


 考えてても仕方がないから、夕食の用意でもしよっと。

 スープの在庫が少なかったから、大鍋で作っとこうかなぁ…寸胴鍋を用意してお水を…


 ――ジョボジョボジョボジョボ


「え…あ、アギーラ、大変、水、水が、水、み水!」


「ミミズ」


「違う違う!ちょっとこっち来て!!私の手から水が出てる!!!」


 ◇◇◇


 結論ですがね…私ったら、私とアギーラが知ってる限りの生活魔法が使えるようになっている事が判明いたしましたよ。


 妖精女王様ったら、わかってるぅ。


 妖精女王様とやらを瞬時に受け入れてる、完全なる異世界かぶれな私が一番喜ぶやつ!私が欲しくて欲しくて仕方がなかった生活魔法!!


 水じょぼじょぼを使うと、私のステータス画面上の魔力が減るのかな?って思ったけど、あら不思議。まったく減ってない。


 7つコンプリートご褒美だからかなぁ。そもそもご褒美ってだけで生活魔法じゃないのかしら。魔力云々関係ないって可能性…あるのかな?

 

 ‥‥‥。

 わ、わからん。


 結果は同じだから…ま、いっか。 

 

 それよりさぁ、魔力が減ってないって事はよ?もしかして…もしかしなくても…こりゃ、使いたい放題って事よね!?

 ぐふふ…ありがとー、ホログラムな妖精女王様!

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