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これが異世界ざまぁってやつ?

差別表現があります。苦手な方はご注意ください。

 バルハルト辺境伯の話は続くよどこまでも。

 辺境伯が語った内容は、私編集のダイジェスト版でお送りします!

 何故ならば、辺境伯の話がすっごい長かったから…。


 イタイケナ少女()が体調回復してないのに、話がめっちゃ長いってどうゆうことやねん!途中で何度か白目剥きそうになったわ!!

  

 長い長い時間が流れ…人々からは魔力が減ってゆき、魔法もどんどん衰退していったのはご存じの通り。


 もちろん貴族達は魔力の減少を食い止めようと、魔力の多い貴族同士で婚姻を繰り返し、豊富な魔力を宿す可能性のある貴族の血を必死に守ろうとして…強い魔法を使える力を絶やす事のないように、それはそれは頑張ったらしい。


 そりゃ頑張るでしょうねぇ。だってその事こそが、この世界の貴族を貴族たらしめんとしたものだっただろうから。

 言い方を変えれば…ただそれだけが貴族達の拠り所だったって事でしょ?正直なところ必死だったろうね~。

 

 でね、ここで獣人嫌いな…人間至上主義的な発想が出てくるんだわ。


 この世界では純人間族主義っていう、人間族が一番優れてるって勘違い主義を主張する人達がいるんだけどさ。

 平民にはそんな事言ってる奴なんていないけど、一部の貴族には根深い信仰者がいるのは確か。


 元々ね、獣人族は非常に身体能力は高いけど、魔力が少ない人が多かったんだって。今もそう言われてるけど、昔はもっと顕著だったらしいの。


 貴族達は自分達より秀でた身体能力の高さってのも目の上のたん瘤というか…私が思うに、劣等感もあったんだろうな。獣人族の魔力が少ない事を良い事に、「魔法もろくに使えない獣め~」みたいな感じで、常日頃からマウント取ってたらしいのよ。

 

 そっから結果的に純人間族主義を生んだと。なんでも、獣人族の血を入れたら魔力がなくなるって噂が、貴族間で蔓延したんだって。獣人族の血は、忌まわしい血…忌避すべき血、みたいな感じになっちゃった。


 平民の魔力が少なくなろうがなくなろうが知ったこっちゃないけど、貴族の優位性を保つ為の魔力がなくなるのは困るって考えた結果…貴族達は絶対に獣人族の血を入れないようにって、獣人族を目の敵にして頑張っちゃったんだなぁ。


 まぁ、そんなこんなで、一部の貴族が持ってる人間至上主義的な思想を加速させていったんだろうってさ。


 またまた時はずずず~っと流れ…貴族達は未だに自分たちの優位な地位にしがみついてはいるけれど、実際の所、魔力も魔法も…平民となんら変わらなくなってしまった訳でね。

 

 最終的に魔力が少ない、魔法なんてほぼほぼ使えない貴族に、特権階級としての旨味だけが残った世界。それが今のこの世界という事なんだそうですわ。


 しかも最近じゃあ、獣人の血が入ってた方が珍しいスキルが使える人が多いんじゃないかって言われるようになってきてる始末で…ほら、魔力が少なくてもスキルって使えるものがたくさんあるじゃない?


 貴族様お可哀想~(笑)としか言いようがない。

 これが異世界ざまぁってやつ?


 違うか…


 ◇◇◇

 

 バルハルト辺境伯自身も、鑑定は使えるけれど、特段、他の魔法やスキルが使える訳でもなく…それでも貴族の務めを果たすべく、その身を挺して領民達を守ろうって思ったらしいんだわ。それは代々のバルハルト辺境伯も同じ想いだったんだって。なんとできた一族なんでしょー!


 そうそう、あのバルハルト辺境伯に最初にご挨拶した時に感じた嫌~な感じ。あれは他人から鑑定されてた時の感覚だったんだよ。


 私に鑑定をかけたらはじかれたらしくて、何もわからなかったらしいけどね。

 辺境伯は今まで鑑定をはじかれた事がなかったんだって。

 

 だから私の事すっごく警戒してたらしいんだけど…瘴気の件でそんな気持ちはなくなって、毒沼ぐるぐるの件で、完全に吹っ飛んでくれたらしい。


 勝手に鑑定した事を謝ってくれたけどさ…辺境伯って身分上、仕方がなかったとは思う。

 でも、危なかったな…どこまで鑑定されるかわかったもんじゃないしさ…もしも“異世界人”とか…鑑定に出ちゃったら、即アウトな気がする。アギーラとは絶対に会わせないようにしなくっちゃ。


 ◇◇◇


 バルハルト辺境伯はもちろん貴族なんだけど、ジネヴラ国に忠誠を誓ってたのは今は昔。

 そもそも、なんでもかんでも優遇されてる貴族制度に疑問をもってる…かなりこの世界では変わり者なお貴族様だった。


 今回の瘴気の件やこの異世海異変の件で、他の貴族も国…王族が一切動かなかった事で、堪忍袋の緒が切れたというかなんと言うか…もうね、独自路線を貫こうって思って動いてたらしいよ。


 だから…国には知らせず、独断と偏見で私達を今後も匿ってくれるって。

 私は匿ってもらうって程じゃぁないけどさ。休息の地を提供してくれるって言うから、ありがたく善意を受ける事にしたんだ~。


「正直なところ、この国の防衛はすべて私の手の内にある。だから…中央が何かしようにも、手も足も出まい」


 だ、そうですよ。厳しい自然と共に生きてきた辺境の地を治める領主様様、さすがでございますなぁ。


 辺境伯はもちろん貴族、お貴族様ランキングがあるなら超上位な貴族だけど、獣人に対する忌避感もないらしくて、私の好感度もちょいちょいアップしていく。

 獣人の不安定期やら発情香のお茶と飴の件やらも、ガイアさんが全部ゲロリンしたらしく、尚更感謝されちゃったしね。


 貴族とは関わり合いになりたくはないけど、この辺境伯は今まで噂話に聞いてたような、感じの悪い貴族とは一味違うかなって思ってきている私。自分で言うのもなんだけどチョロいな…。


 ミネラリアの領主さんも良い人だってガイアさんなんかも言ってるし…貴族の中にも良い人がいるってのは、私だってわかってるんだよ?


 でもやっぱりさぁ、ダットンさん達にユスティーナ国のした事なんかが正当化されちゃうような…そう言う事に誰も反論しないような人達がいる訳で…貴族ってなんだかなぁって思っちゃうんだよなぁ。


 全ての話をし終えて、バルハルト辺境伯は私達を命に代えても保護するって息巻いてくれている。

 命うんぬんってそりゃ大袈裟じゃなかろうか?とか思いつつも、避難場所を確保してくれるっていう申し出は、やっぱりとってもありがたい。


 もうね、あたしゃゆっくりしたいんよ…

 誰か私にスローライフを下さい…


 ◇◇◇


 あと数日の間で瘴気が再発生しなければ、集められた冒険者達は解散という流れになるらしいけど…いやもうほんと、ギルドの連絡網が凄いったらない。


 速やかに各国ギルドが連携して、すでに全ての場所に連絡が済んでるって話なんだから、凄いを通り越してちょっと恐くないか、これ。

 

 だってさ、スマホも電話もない世界だよ…通信機能的には地球に比べたらヘッポコもいいとこでしょ?まったく、ギルドの通信手段ってどうなってんだろう…。


 そうそう、ガイアさんは特別にブンカンでの滞在許可が出てるの。これは領主命令。すなわちバルハルト辺境伯の特別なお取り計らい的なやつです。


 ガイアさんが獣化して走れば、すぐに瘴気があった地点に合流できるからってのもあるけど、なんたってあの瘴気を鎮めた張本人だからなぁ。

 

 あの場にいると質問攻めにあって休めないだろうからって、辺境伯のお屋敷から解放された後は、ここブンカンで一緒に滞在してるんだよ。


 ガイアさんったら、これから暫くは色々と大変そうだよね…なんてったって張本人だからなぁ。プププ。


「なに笑ってんだ?」


「ププ…いや、ガイアさんもこれから大変だなって」


「まぁな。それもこれもベルが表に出たくないって話だからだぞ」


「ぐぅぅ…ごめん」


「冗談冗談。今、ヘタに情報開示するのは避けた方が良いってのは、俺も辺境伯も同じ意見だぜ。剣をぶんぶん振ったら消えたんだ。不思議だよなぁ!…って言う事にする」


「あー、誰も信じないパターンのやつ…」


「本当の事を言ったって誰も信じないだろうさ」


「ですよね~」

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