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げ、解せぬ…

 獣化に対応できるような伸縮性って、どうやったら出来るんだろう…


 ――ゾクッ


 今、ゾクッてした!?

 これってもしや…。

 

 このゾクっと感は間違いない。

 ステータスの色別“無”の部分を心のマウスでクリックして…


 ――ピロロン


 ***

 鑑定6

 収納1

 浮遊2

 転写1

 吟遊1

 伸縮1

 +

 ***


 そう、使いすぎて鑑定がレベル6になってるいるのだよ!浮遊は縦方向に頑張っちゃった例の渋柿との出会いの日にレベルアップしたのよね~。

 で?…なんか増えとる。


 伸縮


 あんた…うちが伸縮性の事を考えてたから出てきたん?

 “伸縮”にカーソルを合わせて…クリック!


 ――ポワワン 


 ***

【鑑定】

 伸縮

 詳細:頭の中でイメージした大きさで物質を具現化させる無色魔法の一つ/物質の大きさ自体を変化させる事、物体を都度伸縮させる事が可能

 ***


 ◇◇◇


 食べものとか、大きく出来ちゃったりする?


 ‥‥‥。


 なーんて…そんな甘い事はさすがに無かった。

 両手のひらサイズの柿チップスを、銅貨1枚(日本円で約百円)で売って大儲け!の夢が、瞬時に消えた…。


 ふんふん…食べ物と生き物は無理みたいだね。


 ダンゴムシで試してみたんだけど、大きくならなかったんだよね。

 もしも大きくなったら縮んでもらおうと思ってたから大丈夫大丈夫…倫理的に大丈夫だって事で、ここはひとつお願いします。


 これは出来る出来ないがあるみたいだから、都度試していくしかないなぁ。

 ちなみに伸縮の使い方はとっても簡単、吟遊に似てる。使いたいなって強く思えば使える、そんな感じ。


 ちなみにガイアさん用に作ったバングルにも、結構簡単に伸縮の魔法をかける事が出来たんだ。常に体にちょうど良くフィットさせるという概念が頭に描けたら、そこからはもう簡単だったの。


 アニメで狂暴巨大化した人や獣なんかがさ、服が破けても何故かパンツだけは裂けないって不思議パターン、あるでしょ?あのおパンツなイメージでね…あっという間にできたから。


 いやぁ、やっぱパンツって大事なんだなぁ…。違った、イメージが大事なんだった。

 パンツもまぁ、大事だけど。


 ◇◇◇


 そして本日は、とうとうライアン君との初対面の日でございます!

 アギーラがちゃんと孤児院までお迎えに来てくれました~。よっ、紳ワンコ!


 おむつケーキは、子供用のタオルケットを縫ったから、それに包んで可愛くラッピング済み。持ち歩きが大変だから収納魔法で持っていく事にしよっと。お家に近づいたらこっそり出して、アギーラに持ってもらえば良いよね。


 そうそう、パケパがどうしても一緒に行くんだって聞かないもんで、連れていく事にしたんだけど…。アギーラに見えるかなぁ。彼、妖精だから意図的に姿を見せたら見えるかもしれないよね。

 いっつも思うけど、同郷の志が妖精って、これ、何気に凄いわ…。


「窓の外から覗くだけだからね。見えるか見えないかわからないけど…妙な行動したら、お尻ペンペンの刑に処しまーす!」


<<【【ぎゃー!】】>>


 いや…ケサラとパサラのお尻の位置なんてわかんないんだけどさ。


「赤ちゃんがいるから、くれぐれも迷惑をかけるような行動は控えるように!外からチラっと見たら帰る事、良いですねー?」


<<【【はーい!】】>>


「って…あれれ?お芋ちゃんもいるじゃん。一緒に行く?」


<…赤ちゃんは好きだからな>


「でも、お芋ちゃんの姿は見えないんじゃない?」


<わかっておる、わかっておる>


 ◇◇◇


「わ…毛玉が二つ」


「うん。ケサラとパサラっていうの。えっと…こっちのストレートヘアの子がケサラで、ちょっとクセっ毛なのがパサラだよ。今日は赤ちゃんを見に行くんだって言ったら、一緒に行きたいってきかなくて…迷惑かけないから一緒に行っても良いかなぁ?窓の外から赤ちゃんを一目見たら、みんな解散するって言ってるからさ。…何か影響があったりしないよね?」


「わかんないけど…見るだけなら大丈夫じゃない?ほら、僕も妖精だけど、すんごいお世話しまくってるし。ねぇ、なんとなくわかるんだけど…その肩のあたりにいるのが妖精さん?」


「パトナもお芋ちゃんも…姿を見せてあげてよ。アギーラは妖精なんだって。もしかしたら見えるかもしれないんだ」


「ここにいる」って言われて目を凝らせば、ぼんやりと光の影みたいなものが見えるらしい。

 言われないとわかんないというか光の加減かなってスルーするレベルだけど、超ぼんやりとは見えるらしいよ。さすが妖精アギーラ。


 肯いたパトナとお芋ちゃんが姿を現わす。


「うわ!羽、羽、マジで浮いてる!うわ!こっちは…エリマキトカゲ!?」


 ちみちみ、私と同じ反応しすぎ。


 ◇◇◇


 再び姿を消したパトナとお芋ちゃんを両肩に、そしてケサラとパサラは背負ったナップサックの中で、私たちは共にシーラさん達のお家に行く事になった。


「ねぇ、俯瞰の時ってさ…真っ裸?」


「え、何その質問!恐ーい!!」


 胸を両手で隠すアギーラ。なんでやねん!


「いや、痴女じゃないし!しかも隠すところ若干違う気もする!!そうじゃなくって、装備品とかって俯瞰してるときにも使えるのかなって思っての質問だから!!!」


「普通に服はちゃんと着てるし、このワークエプロンもそのままだね。あ…アンクレットは効いてるよ。あんまり考えた事なかったけど…うん…服は絶対着てるし靴も履いてる」


「良かった!じゃあさ、これ…パサラの毛が主成分で作ってみたバングルなんだけど、俯瞰の訓練の時にでも使ってみてよ。毛が伸びるから外すのも簡単だしさ。風精霊の加護効果で俊足力が上がるの。って前にアンクレットの時に話したっけ?あのアンクレットの毛量増し増しバージョンよ。もしかしたら俯瞰中の移動速度も変わるかもしれないと思って作ってみたんだ~」


「うわー何それ。またヤバいチートグッズ作って~!俯瞰の時だけじゃなくって、小屋に行く時にも普通に使わせてもらうし」


「私も浮遊魔法の訓練時に使ってるんだけどさ、良いのよー、これ」


「結構早く飛べるようになってきたんだけど、もっと早く飛べると時間短縮になるし…すごいありがたい。さっそく使ってみる」


「ね、ね、私も一回見てみたい!その俯瞰魔法の訓練ってやつ」


「え?訓練見てても、僕がずーとボケーっとしてるだけだよ?見てても絶対楽しくないと思う」


「良いじゃん、一回だけ!ちょっとだけ見せてよ」


「別に良いけどさ。見ててもつまんないと思うけど…」


 他の人が生活魔法以外の魔法を使ってるのって、見た事ないんだもん。

 楽しみ~!


 ◇◇◇


 ギルドへ呼ばれていたというガイアさんを町中で発見。だってガイアさんはとっても目立つから、見つけやすいんだよ。

 待ち合わせ場所にするにはピッタリなモニュメントタイプの御仁なんだから。


「ガイアさん、本日はお招きありがとうございます!」


「ベル、この間ぶりだな。今日はたっぷりとライアンを見てやってくれ。凄く可愛くて、見ているだけで泣けるからな!」


「あ…はい…!楽しみです」


 うわー、親バカ全開だよ。デレッデレ。Sクラスのオーラゼロ!むしろポンコツ感出てる!!


「ガイアさん、またダンジョン?」


「あぁ。あとは冒険者ギルドから知り合いの獣人族女性を紹介して欲しいって話でちょっとな」


「え…何それ、怖い」


「お前、何考えてるんだよ。何考えてるのか知らんが違うぞ!なんでも獣人女性用の製品がでるらしくて、安全性が確認できたから、まずは身内で試してみたいんだとさ」


「あぁそれ、聞いたことあります!結構色んな所で噂になってますよ。獣人女性特有の大変な時期を乗り越える事ができるお茶とかそんな話でしょう?早く欲しいって獣人族の女の人達、騒いでましたもん」


「それそれ。でもシーラは人間族だし、アネキは年齢的に対象外だし…まぁ、聞くだけ聞いてきたんだけど…なぁ、噂ってどの程度広まってる?」


「そうだなぁ…少なくとも獣人女性の知り合いはもうみんな知っていましたよ。あとはミラージュさんみたいに、旦那さんが獣人族の人も。そうそう、さっき年輪屋の若い人が来てたんですけど、カシールでも噂が…」


 へぇぇ、そうなんだぁ、そうなんだぁ。

 なーんて。それ、私も知ってますから!


 ん?

 あれれ?

 

 噂、やけに広まるの早くない?

 インターネットも電話もないこの世界で、どうやったらそんなに早く噂がまわるの?

 昨日、グリンデルさんから“一昨日、安全性確認が無事完了”って、伝言を貰ったばっかりなんだけど。

 げ、解せぬ…。


 でも、噂がそんなに出回ってるって事は、諸々根回しが上手く済んだって事かな。

 私もさぁ、数値化の色々をレクチャーしてたら、プレゼン魂に火がついちゃって…はりきってグラフまで作っちゃったからさ、結構気にはしてたのよね。


「なんでも国の支援が入るらしいから、それで価格もすっごく安くなるとかなんとか。久々の国の良策だって食料品店のおばちゃんが騒いでて…」

 

 へ?もう、すでに国の支援が決まったみたいな噂まであるって事?

 げ、解せぬ…。

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