読み本【世界の始まりの物語】
アークマインの神がグーテンブルージュ大陸をお創りになった時
大陸の中心に精霊の祈り木の若芽を授けました
そして選ばれし五人の人間の若者に言いました
ここは精霊のための箱庭
貴方たちの使命は彼らを悪しき者から守り 尽くすこと
自由気ままな彼らがたくさん遊べるように 楽しく暮らせるように
瘴気を払い結界を張り そして守り続けなさい
それが貴方たち結界の魔守り人の役目
この地にすべてを捧ぐと誓うなば 大いなる力を授けましょう
誓いを忘る事なくば、永久に力は継がれましょう
すべてを捧ぐと誓った若者達に神の加護が降りそそぐ――
澄泉の清廉さを知るは汝の心、西の国を与えよう
幾度も蘇るは灼熱の炎の宿り主、南の国を与えよう
清らかな真白に優しき光の宝玉、北の国を与えよう
すべてに赦しを与えるは安らぎの大地、東の国を与えよう
そして 精霊の祈り木を育むたおやかな風、中央の地を与えよう
こうして大陸には五つ国ができました
若者達はそれぞれの国の王様になりました
アークマインの神は最後に言いました
精霊の祈り木のかの丘は 祈りが届いたもののみを受け入れる
治める国はあくまで人族のことわり 精霊はそのことわりにあらず
精霊の喜びは大いなる恵みを 精霊の悲しみは試練をもたらす
決して忘れぬよう 後世に伝えてゆきなさい
精霊が心から微笑む時 結界は強固なものになる
結界の魔守り人たちよ 力を受け継ぐ子らが彼らを守り慈しむ限り
大陸もまた守られよう
そう告げると天界へとお戻りになりました
五つ国には、始まりの王妃様の名前が付けられました
青の国――西のカサンドラ
赤の国――南のインデガルダ
白の国――北のジネヴラ
黄の国――東のセレスト
緑の国――中央のユスティーナ
王様たちは立派に国を治め 誓いを受け継いでいきました
いつまでもアークマインの神との約束を忘れないように
五つ国はグーテンブルージュ宣誓書を記しました
そして五つ国はいつまでも仲良くすることを誓いました
緑の国 風と共に生きるユスティーナの民
わたしたちはアークマインの神へ今日も祈りを捧げます
すべてはアークマインの神に――
永久に祈りを――