表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
144/225

これぞまさしく弱り目に祟り目

“月のもの”の表現があります(月経の事)。苦手な方はお控えください。

 厨房が忙しくない時間を見計らって、まぜまぜ第二弾、お茶っ葉作りを開始する。

 

 今日は良い成果が出ないかもしれないから、あらかじめ甘水を作っておく事にしよう。

 これで何か良きブツができなくても、厨房にいらっしゃる皆さまへのワイロに、一切の不備なーし!


 手早く、且つ、たっぷりと甘水を作って、瓶やコップにわけて入れていく。保存用、厨房ワイロ用、アリー先生ワイロ用…ふと見るとパケパが一列に並んでちんまりと待っていた。


 皆さん、ここに可愛いが渋滞してますっ!

 並ばなくてもちゃんとお裾分けするのに…、でも、そのまま並んでいても非常に宜しい。


 あーん、こんなに可愛い瞬間、ずっと閉じ込めてしまいたい!


 あ…


 ――カシャ


<これ、だーいすき!>


【甘くって】

【おいしいねぇ】


 うんうん、美味しいね。

 盗撮した後ろめたさから、ちょっと多めに渡しました…。

 ささ、沢山召し上がれ~!


 ご褒美タイムを存分に楽しんだ後は、まぜまぜタイム。

 甘水の保存用はもちろん、こっそりと収納。


 だってさ、収納すると腐らないんだよ?

 一体どんな仕組みなのか全くわかんないけど…本当にびっくりだよ!頬袋ビッグ栗鼠だよ!!知った言葉は使いたいお年頃なんだよ!!!


 いや~、こんな良い保存庫がゲットできるなんて…もっと早く収納に着目すべきだったなぁ。

 ただし、収納してしまうと熟成はしないから注意しなくっちゃ。


 梅酒とか作ったら入れないほうが良いよねって話だけなんだけど。

 …別にお酒とか作らないから良いけどさ。


 いや…待てよ。いずれはお酒も作りたい気がしてきたぞ。

 もちろんお酒と言っても、ウォッカとかジンとか日本酒とかじゃないわよ…作り方を知ってて、しかも実際作れる普通の会社員なんて、そうそういないから。


 お酒と言っても果実酒の事よ。砂糖がもっと手に入る世の中になれば、果実酒も夢じゃない。この世界にもお酒はあるからね。アルコール度数がすっごく高いのだってあると思うんだ。


 この異世界固有の果物で作る果実酒とか、面白そう!ネオネクトウの果実酒なんて、絶対美味しいに決まってるもん。

 いや~、色々作りたいものが出てきて困るなぁ。


 ◇◇◇


 果実酒の件は10年程おいておくことにして…さて、どうしようかな。


 ラベンダー(仮)に似た黄色い花をつける雑草が面白そうだから、これをメインに、ハーブ風雑草をまぜまぜ…。

 あ、爽やかな香りがする。

 まずはブレンド茶葉の完成!


 お次は…この根っこや珍しい形の花。こういう植物を使って、やっぱり薬草茶にチャレンジもしてみたい。


 浮遊の魔法が斜め上の進化をしてしまい、垂直方向は相変わらずなんだけど、平行方向への移動がめっちゃくちゃ早く出来るようになってるもんで、今までに行った事のない場所で採取が出来るようになったからさ。

 ほぼほぼ取り尽くされちゃってる子供の採取場所とは違って、本当に色々な素材がたんまり採れるの。た~んまり。もちろん見つけられるのは鑑定のおかげだけど。


 使いたい材料を台に並べてみる。

 こうやって根っこ部分も並べると、急に漢方薬な雰囲気になるのって不思議よね。

 これを入れた時点で、失敗しなければ薬草茶にはなると思うんだけど…上手くブレンド出来たら、グリンデルさんに持って行ってみようかな…。


 魔法の事で色々と相談にのってもらった薬師のグリンデルさん。

 使い手が絶えて久しいと言われている無色魔法と膨大な魔力を持ってる二人(アギーラと私)がこのミネラリアにいる事を知っている唯一の人。


 そんなグリンデルさんは薬草茶作りをライフワークにしてるんだ。私も興味があるもんだから意気投合しちゃってんさ。

 もともと、マルと薬草を摘みに行くのが子供心にすっごく楽しくて、大好きではあったんだけど、グリンデルさんと話をさせてもらってから、さらに興味が湧いて来たのよね。


 この異世界の薬草茶の効能、凄いんだよ。いや、それもう薬だし!ってものも沢山あるの。

 免疫力っていう言葉というか概念は、この世界にはないみたいなんだけど、免疫力を高めて病気になりにくい体を目指すとか…私もそんな薬草茶が作れたらいいなぁ、なーんて…密かに目標にもしてるんだ。


 ちなみにね、今回目指しているのは、もしかしたら私にもやってくる()()しれない婦人科系の…そっち系の辛さの緩和ができる薬草茶。

 私にも将来、月のものなんかがやってくる()()しれないからさ。

 魂とこの体との…調和?整合性みたいなものが、きちんと取れてれば…くる()()しれないもんね。


 もし私がこのまま何事もなく成長出来たとして…月のものがこなくてもさ、恐らくはどうする事もできないと思うんだ。

 それこそ、薬草茶だろうが…ポーションだって。そういう次元の話じゃないんだもん…。


 まぁ、私には使えなくてもさ、孤児院のお姉様達が「今月キツいわー」とか言ってるのを聞いて、この世界でも、それ系な事は普通にキツ時はキツいのね~なんて思ってたから、作ってみたいなって思ったんだ。

 それ系の辛さを穏やかに出来るような薬草茶が出来たら良いなって。ちょうど採取できた薬草の根っこ部分が、婦人科系の諸々に作用するものが多いみたいだったし。

 上手く効能が出たら嬉しいな~。


 ポーションや薬を使うまでもないけど、なんとなく体に不調を感じる時に、不調に合わせてブレンドした薬草茶が作れたりしたら良いよね。

 それと…どうせ薬草茶に着手するなら、是非とも美味しくて見た目が綺麗な薬草茶を作りたい。

 見目麗しいお茶のほうが、自分へのご褒美的にテンションも上がるしさ。もちろん、良薬口に旨し、も目指すつもり。


 そうそう、この世界のポーションって激マズらしいよ。

 ラナが木から落ちたあの例の…私が魔力覚醒した時は、お薬しか飲まなかったんだ。

 心の問題ってポーションじゃ治せないんだって。

 ポーションってさ、えぐみと生臭さが口の中いっぱいに広がっちゃう残念味らしい。これはアギーラ談。

 

 アギーラは、この世界に転移して割とすぐに飲んだらしいの。転移してきて森でぶっ倒れてたからさ、シーラさんがすごく心配して、グリンデルさんの薬局で処方してもらって飲ませてくれたらしいんだけど…。

 なんでも、えぐみはまだ耐えれたけど、生臭さは如何ともし難しって感じで…もうリバース寸前だったって。

 いやいやいや、絶対にお世話になりたくないわ。


 具合が悪い時に生臭いって!

 これぞまさしく弱り目に祟り目。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ