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これまたヤヴァイブツだった…

【これにね】

【僕らの毛も混ぜて~】


「ん?ケサラとパサラの毛?」


 アギーラのお師匠様への手土産の髪ゴムを作ろうとしていたところへ帰ってきたケサラとパサラ。

 自分たちの毛も髪ゴムに使ってくれって…。


【うん】

【混ぜて~】


「あはは。伸びる糸じゃないと髪ゴムにはならないんだよ。それにさ、ケサラもパサラもちょっと毛の長さが足りないと思うなぁ」


【大丈夫大丈夫】

【パトナ、これを持って飛んでくれる~?】


 パトナがケサラの毛を持って、ふよふよと部屋の中を飛んだ。

 ケサラがすっごく高速でクルクル回ってるんだけど…ずっと見てると毛玉がコサックダンスしてるみたいに見えてくる不思議。これはなんだ?可愛いテロか?


「そ、その高速回転は何?」


【丈夫にするの~】


「うん、全く意味がわかんないね。あれ…超長い…どうなってんの?」


 パトナが部屋のドア付近まで飛んでいく。


「え…え…あの…ダメだよ!ハゲ、ハゲが出来ちゃう…もうやめて!」


【【ハゲ!】】

【ハゲないもーん】

【【ね~!】】


「いや、おかしいでしょ。なんでこんなに小さな体からこんなにたくさん毛が…何でこんなに長いのよ?」


【なくならないもーん】

【毛はいっぱいあるんだもーん】


「いやいやいや。これで十分だから、もうやめて~!」


<全部、取ってみたら面白いのに…>


「パトナ、あんたねぇ…」


<きゃはは~>


 パトナから毛先を貰って、ケサラの毛を小さな木の棒へ巻き付けていく。

 いやもうほんと…これ、どうなってんのよ…。


「これ、本当に貰っちゃっても良いの?伸縮性がないから髪ゴムには使えないけど、私が使いたいな。パトナにも何か作ろうね」


【いいよ。たくさん持って行って~】


「いくらでもはダメ。フワッフワ君じゃなくてツルッツル君になっちゃうかもしれないんだよ」


【【ツルッツル君!】】


「そうだよ。そうなったら困るでしょ?」


【【困らないよ?】】


「私が嫌なのー!だからダメなのー!!」


【なくならないもーん…】

【もーん…】


「いやいや、普通に考えたら毛は取ったらなくなるからね。新しく生えるのに時間がすっごくかかるかもしれないでしょ?ううう…なんて言ったらわかって貰えるのか…」


【早く早く】

【なんか作って~】


「そうだね。あ…せっかくだからさ、パサラも少し毛をくれたり…」


【いいよ~】


 パサラも例のコサックダンスを披露。

 可愛い可愛い言いすぎて自分でもウザいと思うけど、語彙力がない。可愛い!


「あれ…洗った時には気付かなかったけど…パサラの毛ってずいぶん伸びるんだ」


 鈴花名物、伸びる系ネタ、多くない?

 これはパサラの毛だけどさ、どうも伸びる糸にご縁があるのよねぇ…


 せっかくケサラとパサラがくれた毛だしなぁ。

 うーん、何作ろっかなぁ…


 ***

【鑑定】

 ケサラの糸

 解説:風や大気を司る幻獣フーテンの体毛から出来た糸

 その他:ベルによりケサラと命名されたことにより変異種となったフーテンの体毛/幻獣自身が選んだ5本の毛を束ねて一本に紡ぐ事で出来る丈夫な糸

 効能:変異種となった為、風の精霊シルフの加護効果である風・大気の力による防御力・俊足力の強化

 料理:ないね~

 裁縫:蔦系染料(市販品可)で染めあげた糸で文字を刺繍すると、その文言を強化する性質がある

 ***


 ………。

 何作ろっかなぁ…なーんて、ほんの少~し考えただけです。

 私は悪くないもん。勝手に鑑定されちゃったんだもん。

 あのコサックダンスで毛を紡いで糸にしてくれてたんだねぇ。


 いや…それより何より…これまたヤヴァイブツだった…


 ◇◇◇


 初期学校の前期がそろそろ終了するから、ラナもジルもなんだかソワソワしてる。

 9月の最終週と10月の最初の週は学校はお休みなんだって。

 二週間お休みって感じになるらしいよ。


 お休みが嬉しいのはどこの世界でも一緒だね。

 孤児院の初期学校組はソワソワ。

 私も10月からは初期学校に入学出来るから、一緒にソワソワ。


 ケサラとパサラは見た目には変化がないけど、風を使えるようになってきたらしい。

 出会った時は風に飛ばされちゃってたのにね。

 吹いてる風に乗って移動したり、風が微弱なら増幅したり…自分たちで風を作りながら移動したり出来るんだっていうから、凄い成長だよねぇ。


 で・も・ね。

 ぜんっぜん、旅立つ気配がない。

 色々出かけてはいるけど必ず【ただいま~】って言って、ここに戻ってくるの…これって良くないよね。


「ケサラもパサラもここに戻ってこなくても良いんだよ?もう風に飛ばされて、離れ離れになるって事もないでしょ?寂しいけどさ、せっかくたくさん移動できるんだから、もっとたくさんの世界を見てきたら良いのに」


【【なんで?】】


「え?何でって…だって、幻獣だよ?マボロシのケモノなんだよ?なんか使命とか…あるんじゃないの?」


【【ないよ~!】】


「あ…ないんだ。じゃぁさ、あれがしたいこれがしたい…とか、そういう希望や野望はないの?」


【きぼう】

【やぼう】

【【ベルの側に居たい~】】


<名前貰っちゃったもんね~>


 それは…どういうことじゃろか。

 私、なんだかマズい事しちゃった?


<それだけ名前って大事だって事だよ>


「意味わかんないけど…もしかして、名付けちゃったから私と離れられなくなっちゃったりとか?名付けで、ここに縛り付けられてるとかだったら嫌だよ?」


<無理矢理じゃないよ~>


【居たいから居るの】

【好きな所に居るの】


「なら…良いけどさ…もし名前で縛られてるなら…取り消しとかって出来ないのかな…」


<出来ないもーん>


【【もーん】】


 うーん。これって良いのかなぁ。

 鑑定に出てきた、風の精霊シルフさんとやらに後々怒られたりとか…しないよね…

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