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脱・昆布巻!

 パトナに物を渡すと、他の人からは見えなくなるみたいだって話さぁ。

 毛糸ポンポンが欲しいって言うから、一つ渡してじっくり観察してみたのよ。


 パトナに渡した途端、パトナと同じ淡い光に毛糸ポンポンが包まれちゃって、それで他の人からは見えなくなるみたいなの…たぶんだけど。


 パトナが持って飛んでる途中で落としちゃうと、急に落し物が見えちゃうと思うから、ホラーにならないように、すっごく気を付けてもらわないとね…。


 ポンポンを持ってもらったままのパトナが、孤児院に暮らすみんなの視界に入ったけど、やっぱり無反応。

 ちなみに超絶ちっさいポンポンをブレスレットみたいにしてるんだ~。

 可愛いは正義。


 でさ、思っちゃったんだよね。

 これは服も渡せるんじゃないかって。

 パトナの服…服なのかなぁ…ってさ、おせちとかによく入ってるお正月に食べるやつ…昆布巻?昆布にかんぴょうが巻いてある…あんな感じなの。


 布を巻いてウエストを紐で縛ってる感じ?

 服なんだとは思うけど…ダメだ、一回昆布巻だと思ったら昆布巻にしか見えなくなってきた…。


 羽のところ、どうなってんの?って思うけど、どうやっても細部までは見えないのよね。

 これってもしかして認識阻害とかそういう感じの…かっけぇ~!


 パトナに話を聞いたら、妖精女王様はどうやらドレスらしきものを身につけてるらしい。

 じゃぁ、パトナだって可愛い服を着ても良いよね?

 そういう訳で、脱・昆布巻!

 本日はパトナの服を作りまーす!!


「パトナはさ、こういうの着るのって嫌?」


 自分の服を指さして確認してみる。


<嫌じゃないよ!作って作って~!!>


「ふふ…肌触りが良くって、すっごく可愛いのにしようね!」


 小さい服だけ作ってると、変人認定くらっちゃいそうだから、ダミーの着せ替え人形を作って…お人形のおもちゃを作っていると見せかけて、パトナの服を量産するのだ!


 パトナは身長20cmくらい。

 そして背中に羽が生えてる。

 これが問題なのよ…背中部分ってどうしたらいいのかなぁ。

 羽を傷つけちゃったら大変だもん。


「ねぇねぇ、パトナの背中って羽があるでしょ?そこの部分ってどうなってるのか知りたいんだけど…パトナの昆…服を貸してもらえないかなぁ?」


<いいよ~>


「わわわ、脱ぐな~!ここで脱ぐんじゃありません!!」


<…別に良いじゃん。ほら、見て~。見えないでしょ~?>


「あ、本当だ。って、ダメ!確かに見えないけど…だからって、人前で裸を晒さない!!ちょっとこの布をさ…」


 凄い、ちゃんと見えない!ナニコレ。

 粗い麻っぽい生地と植物っぽい紐だった。

 麻の生地は誰が作ったんだとか、蔦なのか?とか、ここでツッコミまくってたら日が暮れるからね…やめとこう。


 布を羽織って貰って、いわゆる普通の布で服を作っても着られるかを確認したい。


 うんうん、大丈夫そう。

 毛糸ポンポンの時みたいに、淡い光に包まれたから、これでみんなには見えなくなるんだろう…たぶん。


 それよりも、妖精公然わいせつ罪とかあるかもしれないから、よ~く言い聞かせなくては…。いや、私にしか見えてないみたいだから良いのか…いやいや、やっぱダメ。


 あれ…?昆布巻に羽用の穴が開いてない。

 パトナを見ると、渡した布をグルグルと体に巻きつけて遊んでる最中だった。


「パトナ、そんな事したら駄目じゃない?羽が傷ついちゃうかも」


<うーん…たぶん、大丈夫じゃないかなぁ…ほら、見て~>


 ん?羽が…生地をぶち破ってる?

 なんだこれ、異世界ロジック?


 それなのに、私の手元に戻ると…ジャジャーン!破れてなぁ~い。

 なんだこれ、異世界マジック?


 確かに座ってる時、背中を壁に密着させてても平気だもんなぁ。

 羽の素材はな・ぁ・に?なんだか恐いから別に聞きたくないけど。


 もう考えるのはやめよう…要するに普通にお人形の服を作れば良いって事でしょ?だよね??


 ダミーのお人形には何着かワンピースを作っておく。

 この世界、女子は老いも若きも全員ワンピースなのよ…制服かい!いや、法律で決まってるんかい!!ってくらい、みーんな揃いも揃ってワンピース。

 だから、ダミー用にはワンピースを量産。

 パトナには色んなの作っちゃうんだもんね~。


 お芋ちゃんの糸のおかげで、アトリエやら製糸工房と繋がりが出来て、端切れとか半端な量の糸やらリボンやらビーズやらを定期的に寄付してもらえる様になったから、素材は潤沢にあるの。

 色々な素材を使って作るのは勉強になるからって言われてさ、これで裁縫品作りを推奨されてるから、ダミー人形作戦はうってつけ。


 じゃんじゃんダミーワンピースを量産。

 ダミーと言えども、リボンでフリフリなスカートを作ったり、ビーズをブローチみたいにしたり。髪の毛は毛糸で縫い付けて…これはこれですんごく楽しい…。


 とにかく私は手が早いのよ。

 …また変な言い方しちゃったけど、とにかくすっごく早く縫えるんだから。

 それに…実はさぁ、簡単なものなら型紙なんかも不要になっちゃったの。脳内でイメージ出来ればそのまま手が動いちゃうみたいな感じ。


 裁縫親衛隊ブートキャンプで鍛えられたってのもあるけど、ここまでくるとスキルの恩恵をたくさん頂けちゃうタイプだったんだろうなって思う。

 スキルがあっても、あんまり恩恵を感じない人もいるらしいからさ。


 これってきっと、スキル七不思議のうちの一つよね。

 他の六不思議は知らんけど。


「可愛くしたいけど、あんまり重くならないようにもしたい…むぅー」


<重さ?服の重さなら、あんまり気にしなくても大丈夫だと思う~>


「そうなの?」


<うん、布を全部巻いても全然重くないよ~。手で持つのとは違うみたい。動きも…うん…平気~!>


「じゃぁさ、こういうビーズなんかも付けて大丈夫かなぁ?」


<これ、すっごく可愛いねぇ。このビーズ、付けてくれる?>


「うん、可愛い服にしちゃうんだから、任せて~!」


 脱ぎ着が大変だろうから、ワンピースが基本かなぁ。

 でもチラリ防止にはズボンの方が良いかも…って、あれ?…これって完全にピーター〇ンのまるパクじゃ…。


 ◇◇◇


「パトナ~、ファッションショーするよ~!」


<ふぁっしょんしょー>


「そうそう、何枚か作ったから着てみせて~。あ、そっちはダミーだから、こっちを着てね」


<この子達もかわいーね!>


 確かに。我ながら、ダミー人形とダミーワンピース達も上手く出来たと自画自賛。

 これ、小さい子達にあげたら喜ぶかなぁ。


 処分するシーツの端切れでお人形の本体を作ってね、顔のパーツは刺繍で…デフォルメしたパッチリおめめなお人形に仕上げたんだけど。

 お友達をあと何体か作っておこう。

 男の子も作ろう…獣人族タイプも…ぐふふ。


 そう言えば、布で出来たお人形って見た事ないんだよね。

 おもちゃ自体が少ないけど、お人形くらいあっても良さそうなんだけどな。

 こういうのって、贅沢品の扱いになっちゃうのかもしれない。


 でも、着せ替え人形を作るのが楽しくなってきちゃった。

 ベッドの頭上に並べて置いたら、パトナがちょこんと一緒に並んでた。

 お主、萌えポイントを心得ておるな…。


 ちなみに木製のお人形は孤児院にもあるんだよ。

 何故かトーテムポールっぽいの。

 可愛いっていうより…うん…

誤字報告、ありがとうございます!

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