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ぼんくら王家のまともな采配。

 ――事件です。


 もうすぐ6歳になるベルに困った事態が発生しております。

 魔力がある事はわかっているのですが魔力が覚醒しません。

 この事態は収束するのでしょうか。依然、深刻な状況が続いています。


 現場からは以上です――


 ◇◇◇


 なーんて、レポーター気取りで遊んでるバヤイじゃないのよ。

 ここでつまずくとは思わんかった…。

 異世界転生がここにきてヤバい方向に作用してたり…しないわよね…よね…よね…。


 6歳半になっても魔力が覚醒しなければ、強制的に魔力回路に手を加えないといけないんだって。

 魔力詰まりや魔力暴発したりする可能性が出てきて危険らしいんだ。

 魔道具の中でも『魔導具』って言われてる、魔力を誘導する特殊な道具とお薬を使って、無理矢理覚醒させることになるらしい。

 どちらも体に負担がかかるとさ。

 泣いていいですか…。


 獣人の子供はどの種族も覚醒が早くて、ほぼ全員が3歳になるとすぐに覚醒するんだよ…。

 ここの孤児院は獣人の子が多いからさ、ちょっと不安になってた所で只今、院長室に呼び出され中。


 不安にさせたい訳じゃないけど、その時になって急に言われるよりって。

 覚悟はしといてね、って話だった。


 あと、このままだとジルやラナと一緒に初期学校に入れないらしい…


 ◇◇◇


 通常6歳から入学が出来る、日本の小学校みたいなポジションの教育機関があるんだけど、入学の条件がなんと魔力の覚醒なんだって。くそぅ。


 何故ならば、授業の中に魔力操作や魔法の基礎訓練、スキルの基本座学があるから。


 基本的には各ご家庭で基礎訓練はするものらしいけど、試しにカリキュラムに取り入れたら、自分のスキルと違うスキルが使える子供を持つ親に凄く評判が良かったらしく、そのまま初期学校の授業に組み込まれたらしいのよ。

 今では、識字率の向上と簡単な計算に並ぶ、重要なカリキュラムなんだって。


 すっごく珍しいスキルじゃなければ先人が必ずいる訳で、初期学校にはその蓄積されたノウハウがあるって事でね。


 魔力が覚醒してももちろんすぐに使える訳じゃなくて、適性を見ながら訓練してコントロールを学んで…って、自分が使いやすくなるように練習するものなんだってさ。


 そうは言ってもいわゆる平民は魔力も少ない人がほとんどだし、魔法も生活魔法が一つ使えれば良いほうだから、そんなに時間も取られないし評判は良いしって事でね。

 入学条件が変わったんだって。


 もし珍しい魔法が使える子供がいたら、国が青田買いで召し上げる事も出来るしさ、一石二鳥って感じらしいよ。



 貴族とか平民でもお金持ちな家の子供は、家庭教師で初等教育は済ませるらしいから、学校に来るのはザ・庶民の面々。

 初期学校は6歳から12歳の間で、合計3年間の初期教育を受けるんだって。


 家庭の都合でなかなか通年で通うことのできない子供の為に、1年目①②/2年目①②/3年目①②という半年コースを6つ受ければ終了という仕組み。


 4月~9月と10月~3月の半年ずつで区切られて、常に授業が行われているの。

 そうそう一年って1月~12月で日本と同じ。うん、ありがたい。


 ①②は同時に履修可能なので、やろうと思えば最短1年半で終了出来る。

 一期は週2.5日、①②同時履修で通うなら週5日になるらしい。


 家業によって繁忙期が決まっているのなら、6年かけて通って10月~3月の時期だけを学校に充てるなんて事もできるし、頭の良い子ならさっさと1年半で終わらせることも可能。


 でもね、1年半で卒業できるような頭の良い子だって、ほとんどが3年間は通うの。

 何故ならば初期教育が国策なもんだから、国から無料で給食が出るのだ。

 子供の昼食の用意が3年要らないのは、どこの世界のどこのご家庭だってありがたいよね。


 じゃぁ、6年通えばいいじゃん!って思ったけど、そこはそうでもないらしい。

 何故なら6年通われちゃうと困る…というご家庭も多いから。

 10歳で即戦力なんてこともザラだからさ。


 それに子供の方だって、早く跡継ぎ修行や自分の専門分野に邁進したかったりもするもん。

 だから、家業でどうしてもっていう訳じゃなければ、通常は6歳から3年間通って卒業していくらしい。


 この給食制度、近年の国がした仕事で一番まともじゃないかって言ってた。

 あとは町中にある街灯の整備ね。これのおかげで、夜遅くまでお店を開ける商店なんかも出てきたんだから、ありがたいって。


 ぼんくら王家のまともな采配。


 な、何よ…違うからね…。

 確かに私が言いそうではあるけれども、私が言いだしっぺじゃないわ。そこんとこ絶対間違えないでよ…。


 本当はボンクラーノ王家って言うらしいけど、みんながぼんくら王家って…。

 なんか斬新なファミリーネームだけど…スペイン語でニンニクの事をアホって言うらしいからさ…そういう感じかな。あ、インドネシアのキンタマーニ高原とか…。

 なんだか偶然の一致ってやつ。


 初期学校は教会の一室を使うから、敷地内の移動だけで済むんだ。

 町をぶらぶらできるチャンスだと思ってたけど、私、おちびちゃんなんで往復2時間とか困るし…。

 敷地内、大いに結構でございます、はい。


 青・白(午前のみ)・黄が①。

 赤・白(午後のみ)・緑が②。


 この色とか花とかは何かというと、曜日なのよ。

 一週間は青・赤・白・黄・緑・黒・花の7日なの。


 月曜日から金曜日までは魔法の対応色みたいなんだけど、黒と花って、なんだ?って思ってたら、アリー先生が「花は先生もわからないけれど、黒は闇魔法と言われていた魔法の対応色と言われているの。今はもう使える人がいない魔法なのだけれど、名残りで使っているのかも」って、教えてくれた。


 あー、確かに『今年から土曜日を天曜日にします』とか言われても、各所から面倒臭すぎて苦情が出ると思うわ…

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