まだかなまだかな~、覚醒まだかな~
まだかなまだかな~、覚醒まだかな~。
毎日魔力覚醒を待ち続けてるんだけど、一向に覚醒しない残念ガール、ベルこと成留鈴花でございます。
さて、本日は何をするかと言いますと…ずばり読書よ。
こないだ掃除の合間に、魔石の事が書いてある読み本を見つけたから、目をつけてたんだよね。
今日はこっそりこれを読むのだ。
教会のバザーの時に人工魔石が光って見えたでしょ?
でさ、一度意識しちゃうと目についちゃうっていうか…なんと、森の中や川の中に光る石が落ちてることがあるって気付いちゃった。
それまでは全く見えなかった…と、思う。
不思議よねぇ…。
人工魔石を捨てる人がいるとは思えないからさ、もしかして…他の魔石も光って見えるのかもしれないなんて、思い始めちゃったんだけどさ。
魔獣の死骸から出た物なのかなぁ。
まだ3個しか見つけてないけど、俄然、魔石に興味がわいてきちゃって…。
***
【魔石】
魔力の込められた石。魔道具のコアとなる。現在、魔石とされているものは天然魔石、人工魔石、魔獣魔石である。
【天然魔石】
大地、空気、水、あらゆるものに自然界の魔素は在る。それが何らかの理由で固まって、やがては固形の状態になり、石のような塊となったものが天然魔石である。
魔素が内包された天然魔石はそのまま置いておいても、魔素放出がない為、永久的に保管ができる。天然の魔素をため込んでいる石の器は、その内包された魔素を使い切っても、新たに魔力を継ぎ足して使える。その為、魔石の中では一番高値で取引されている。
だが、見つけることが非常に難しい。
【人工魔石】
一般的に魔術師、魔石生産人などが魔力を圧縮して作る使い捨ての魔石の事を指す。魔力耐性のある岩石や鉱物に、人工的に魔力を込めて魔石とするもの。岩石の人工魔石が主流。
微量の魔力放出がある為、気になる場合は魔石箱での保管が望ましい。おおむね戦闘で使うような、高魔力出力にて使用する魔道具に使う場合では使い捨てとなる事が多い。
【魔獣魔石】
魔獣討伐後、その体中から取り出すことにより得ることができる魔石。
魔獣魔石は急所に一つついている。
もし一撃で急所を狙えれば即死となるが、急所の位置は個体によってばらつきがある為、非常に困難とされている。
魔獣魔石は体から取り出した瞬間から微量ではあるが魔力の放出が始まるため、気になる場合は魔石箱、あるいはアイテムボックス持ちが保管する事が望ましい。
小さな魔獣から出る魔石は雑魔石と呼ばれ、魔力量も少なく不安定な為、使用に適さない。
***
へぇぇ。魔石って一言で言っても3種類もあるんだ。なかなか興味深いわ。
私が森で拾ったのって…雑魔石とかなのかなぁ。
天然魔石だったら、トレジャーハンターになれるかも…なんて、都合よく色々妄想したりもするけど、もの凄い貴重らしいから、そんなにポンポン森に落ちてたりはしないだろう。
こういうのって、どうやって調べたらいいんだろう。
ベルちゃんの資産になるようなら積極的に集めたいけど、雑魔石は魔石に適さないみたいだし、魔力が微量ではあるが放出するって書いてあるしなぁ…。
でも、拾った魔石は光が三重になってるから、すっごく綺麗なの。
しかも青と青と赤、とか。緑と青と黄色、とか。
色が違うの。虹っぽい。
人工魔石は一重というか、一つの輪っかみたいに光って見えたんだよね。
鉱物にも一つの色しか入ってなかった。
天然やら魔獣の魔石だと三重、とか…そういう仕組みなのかなぁ…誰にも危険、いや、聞けんのが辛い…。
雑魔石で使い道がないかもしれないけど、拾ってベッドの横に飾ってるんだ。
絶対に誰も盗まない、ただの石っころ。
でも、私にとっては綺麗な宝物だもん。
魔道具にはめ込まれてる魔石を見せてもらいたいけど、どこにあるのかよくわかんないのよ。
それに、多分人工魔石がはめ込まれてるから、見ても参考にならない…。
しかも、コンロとか玄関の点灯具はあるけど、魔道具自体が大きすぎて…恐らく裏面とか、無意識に触れたりするリスクが少ないような所にあるんだと思うけどさ。
背がね…低すぎて、なーんにも見えないの…
他の魔石を見る方法って…あ、アギーラに頼んでみようか…。
でも、何となく本当のベルちゃんだけが知ってれば良い秘密な気もする。
みんなと違う事って、どう転ぶかわかんないから…私の一存で相談しちゃうのもなんだかなぁ…
◇◇◇
この世界で生まれた人族はね、通常3歳から4歳頃に魔力が覚醒するの。
色魔法やスキルがあれば魔法が使えるかもしれないよ。
かもしれない、って言うのは色魔法やスキルがあっても魔力がない人や、その逆で適性魔法も何のスキルもないのに、魔力はそこそこある人なんかが存在しているから。
その適正魔法やスキルがない者の魔力は何かに使えるのかなって思ったら、それには魔石が関係してくるらしいの。
魔石に魔力を込められる人は魔石生産人って言って、それを職業に出来るくらい重宝されてるのよ。
それほどの魔力じゃなくても、使う度に一定の魔力を通すと使える魔道具も多いから、特に魔法が使えなくても魔力があれば、そういった便利な魔道具が使えるようになるしね。
もし魔法が使えなくてもスキルがなくても、魔力の用途は十分にあるって事。
もちろん、生活魔法が潤沢に使える場合もあるし。
逆に言えば、適性魔法があっても魔力が少ないとほとんど魔法が使えない事もある。
特に色魔法は多量の魔力を必要とするからなのか、扱える人が年々減少しているらしいの。
そうそう、スキルにも多量の魔力量が必要なものがあるから、注意が必要らしいってさ。
原因はわからないけど、強い魔法が使える人がどんどん減ってきてるらしいよ~。
その代わりと言っちゃなんだけど、魔道具がすっごく発達してきてるんだって。
魔力が沢山あって魔法も使える人だって中にはいるんだろうけど、平民にはほとんどいないそうなのよ。
貴族は魔力の高い者が縁づいて婚姻を繰り返すらしいから、自ずと魔力も高くて魔法が使えて…学ぶ環境も時間もある人が多いけど、平民は魔法だ魔力だっていう前にその日の糧を得るのに必死なんだよね。
ちなみに、魔力量が1000を越えている人、色魔法・高職位・高固有スキルを持つ人は王宮・魔法省への入宮・入省も可能…だそうよ。読み本の最後に書いてあった。
でもさ、ここまで使える人が少ない魔法より誰でも使える魔道具の方が、便利な感じがするんだけど…気のせいかしら。
◇◇◇
なーんか魔法って思ったより万能感がないわ~。せっかくドキドキしてたのに。
全然無尽蔵に使えるって感じじゃないもん。
しかも色魔法持ちは減ってるって…つまんないの。
色魔法…あるなら見たいなぁ。異世界の醍醐味と言っても過言じゃないしさ。
せめてファイアーボールだけでも見たい!
色魔法って攻撃魔法だけって訳でもないんだろうけど…成仏する前にせめて一回…なんでも良いから見せてくれー!!
いかんいかん、先を読まねば…ふんふん…この書き方だと魔力量が1000以上の人だとエリートって感じかな?
エリートは国のお抱えになれます、ってやつ。
安定志向な公務員はこの世界でも人気なんじゃないの?
庶民からしたらきっと高嶺の花だね。
でもさ、ドロドロな感じがあるのかも。平民いじめとか、さ。
おぉ、いやだいやだ…。
噂によると、貴族は貴族、平民は平民ってお互い不干渉を貫く事で、均衡を保ってる節があるのよ、この世界って。だらかね、お貴族様なんて絶対に関わり合いにならない方が良いに決まってんだわ。正直、就職先としては人気が高いお屋敷勤めだって、私は嫌だなぁって思っちゃう。
ベルちゃんはどうかわからないけど、私だったら、そんなメンタルけっちょんけっちょんにされる可能性がある場所で働くより、モフモフをモフモフしながら畑仕事なんかして、ゆっくり過ごしたいなぁ。
もう、他人との軋轢とか、締め切りで胃痛とか、お偉いさんにヘコヘコとか…そういうのは日本に居た頃の記憶で、お腹いっぱいなんだから…。
魔力かぁ…獣人族はみんな魔力覚醒が早くてさ、3歳になるとすぐにほとんどの子は覚醒するの。
同じ年のラナもジルももうとっくに覚醒してるんだよ。
はぁぁ…