手錠
「助けて」
そんな声を出しても誰も拾ってくれない。「辛かったら「助けて」っていうんだよ」って教えてくれたのに。
世界は無常だ。「当たり前」「常識」を押し付けてもそれを「当たり前」にできる人なんていないのに。
「これをできるのは当り前です」
「これは当たり前にできるようにしましょう」
なんて言っても、「当たり前の常識」すらできないじゃん。
「辛かったら相談して下さい」
「相談することは「当たり前」です」
確かに「当たり前の常識」を教えてくれた人は「助けてくれる」なんて言ってなかった。それでも、教えてくれた「常識」には「手を取り合って助け合いましょう」なんて言葉もあったよね?
いざ手を出したら手を差し伸べてくれる人なんていないくせに。
「なんでも自分の思い通りになると思うな」「世界は甘くない」「やるのが当たり前だよ」「それは常識的に考えてふつうしないよね?」なんて言葉。「当たり前の常識」をできないのに他人にそれを押し付けて。
優れている人だって、劣っている人だって手を無理やり手錠で繋がされて。人は人それぞれなのに自分のできない「当たり前」を「常識」を押し付けて。
「誰か助けて」
「当たり前」の手錠に掛けられた私を。