「みんな」の鎖
「暗い言葉を吐かないでよ。みんな心配になるよ」
みんなって誰だよ。お前だって心配してないくせに。周りの数人を「みんな」と呼んで数人の心配を重くさせやがって。立場上止めた方がいいからって。
周りと感情がそろわないのがつらかった。
表面上は楽しく、うまくやって。それでも、周りの熱さについていけず頻繁に身体を壊すようになった。
「具合が悪い」と言ってもそれを誰も信じてくれない。いつも元気に見えるから。
「この前もそういってたよね?」
「みんな嫌でも行ってるよ」
ほんとに嫌な人は休めてるよ。そう思うも口を紡ぐ。
「みんな」ってその行けない人から目を背けても「みんな」になるんだね。
「みんなの意見だよ」
その「みんな」には私達の意見は含まれていないんだな。
「男らしく」
「男はみんなこうだ」なんて決めつけて押し付けて。
「みんなと違うね」だからなんだよ。そう言いたかった。苦しくて言えなかった。「みんな」に押し付けられて。
人は「みんな」という言葉に気軽に信頼を置いている。
「みんなが彼を信じているから」と一人を信用したりする。
少数派はその「みんな」には含まれないことはわかっているけれど。
その「みんな」という言葉でどれだけの人が心を壊したのか。