世界の狭さ
「君の将来の夢は?」
そう聞かれた。
幼く、限りなく広く、そして狭い世界の中にいる僕は答える。
「サッカー選手!」
何年過ぎてもそれは変わることはないんだろうと疑っていなかった。その「狭い世界」で生きていたたった一つの夢だったからだ。
「趣味は?」
そう聞かれる。
「身体を動かすこと」
今では生活に必要な程度しか動かしていない。最低限の歩行、会話。
その時は三つ程のクラブに入っていたっけな。
嫌なことだってすべてやった。言われた通りに。
本心を隠すことは当たり前だと、普通だと信じ込んで。
「パソコン触ってみるか」
そうやって言われた。
最初はゲームから始めてみた。とても三歳児に触らせるようなゲームではない、血の表現、命の弱さがわかってしまうゲームだった。
「この漫画読むか?」
親の背中をなぞって親がやっていることをすべてやった。
「テストは百点取ったか?」
「なんでそんなことするの?」
悪いことはなぞらせてくれないのに。
「貴方はパソコンが好きだから理系ね」
本当は文字を書くのが好きだった。
僕の世界が広がる度に自分の事を、周りを憎んだ。
狭い世界の私を見ていた世界の目を。