恋愛経験
「私好きな人いるんだ。誰だと思う?」
仲のいい同じ部活、クラスの女子からそう聞かれた。私は見当も一切つかないし、興味もなかったため「同じクラスの人?」と気だるそうに尋ねる。
「そうだよ」
「うーん。なんか他にヒントある?」
「そうだなぁ。同じ部活の人かな」
そうやって笑って言う。私の部活は男子が約6名ほどしかおらず、自分のクラスには、自分しかその部活の人がいなかった。
いままでこちらが好意を渡し、答えてくれたことはあったが、初めて受け取った好意はとてもなまめかしくてとても重く感じた。
「またまた」
私はそうやって笑い流す。その彼女の「好意」を直に浴びた瞬間私は彼女が怖くなった。気持ち悪く見えてしまった。答えははぐらかしたものの。
「付き合おっか」
そうやって違う人と付き合った。どうでもいいから誰かといたかった。
その人は「好意」ではなく「行為」を求めて何度も誘ってきた。不純な「好意」ですら怖くて、私は三度目の恋愛で女性恐怖症になった。
特に何も悪いことなんてなかった。理由だってない。
ただ、「異性の好意」に怯えてるだけだ。
男を好いて生きていこう。そうやって決めた。
「生きていればいつかいいことが起こるサ」
呟いた。