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第6話 帝国陸海軍再編1

どうも、クラウスです。第6話を投稿いたしました。


読者の皆様から感想・意見を頂きましたが、一部に問題があるとの意見を頂きました。


今後は、読者の皆様の意見を加味した上で、よりよい作品に仕上がるよう努力して参ります。


しかし、この作品は作者のご都合主義が度々作品内に現れます。


故に、余りに酷いと思われる読者の皆様が思われるかも知れませんが、そこはご容赦ください。


それでは、長くなりましたがスタートです。

1944年の12月20日


この日、呉の海軍工廠では4隻の大型正規空母が改装作業を行っていた。


開戦当初から活躍し、初期の帝国海軍の大進撃を支えた歴戦の空母『赤城』・『瑞鶴』の2隻と、開戦後に完成した現第3艦隊旗艦の新鋭装甲空母『大鳳』と、大和級戦艦3番艦として建造され、途中から空母へと改装された装甲空母『信濃』の2隻を合わせた4隻が、改装作業を受けていたのである。


当初こそ資材不足が叫ばれていたものの、未来日本からの援助もあって、改装作業はほぼ予定通りに進んでいた。


『どうかね?』


『はっ、凡そ予定通りに進んでおります』


『うむ…頼んだぞ』


『はっ!』



さて、4隻の空母は具体的にどのような改装作業を受けているのであろうか?


まず『赤城』と『瑞鶴』であるが、2隻は艦の全長を伸長させると共に機関を未来製の新型ガスタービンエンジンに換装し、カタパルトやレーダーの搭載、防空火力の増強などが行われた。


『大鳳』と『信濃』の2隻も細かい内容は殆ど前述の2隻と同じであるが、唯一の違いとして飛行甲板の「アングルド・デッキ」化と装甲飛行甲板の廃止であった。


結果として四隻の空母(特に後述の2隻)は、改装前と後で大きく姿を変える事となった。


*因みに『赤城』・『瑞鶴』の飛行甲板が、何故「アングルド・デッキ」化されなかったのかは、現在でも不明である。一説には、少しでも早く戦列に復帰する必要があったからだと言われている。現に、46年の初めには2隻とも飛行甲板の改装作業を受けている。



空母が改装作業を受けている横では、帝国海軍が世界に誇る戦艦部隊の改装作業も行われていた。


まず目を引くのは、長く連合艦隊の旗艦として国民から親しまれ、海軍休日時代は「世界のビッグ7」として知られていた長門級戦艦『長門』・『陸奥』の2隻が改装作業が行われていた。


この2隻の長門級戦艦は、米国の新型戦艦・・・主に『アイオワ』級戦艦・・・への対抗の為に、主砲・装甲を含めた全ての部分において改装されていた。


改装後の長門級戦艦の主な性能:


全長:245.7m 全幅:32.2m


武装:45口径46cm連装砲4基8門、50口径12.7cm単装両用砲8基8門、55口径40mm三連装機関砲12基36門、55口径25mm三連装機関砲22基66門、55口径13mm単装機関砲6基6門


速力:30.1ノット 航続距離:16ノット/10,800海里


更に艦の装甲は、全ての部分において平均2割〜3割増しに厚くなり、一部においては4割増と言われる程強化された場所もあった。


当然他の戦艦部隊の改装作業も行われていたが、損傷の比較的大きい艦が優先して行われていたため、損傷の少ない『大和』や『山城』の改装作業は後回しにされ、金剛級の作業が優先された。


改装後の金剛級の性能:


全長:244.7m 全幅:33.8m


武装:45口径35.6cm連装砲4基8門、50口径12.7cm単装両用砲8基8門、55口径40mm三連装機関砲16基48門、同連装砲2基4門、55口径25mm三連装機関砲22基66門


速力:30.7ノット 航続距離:18ノット/10,100海里


装甲は、一部に対40.6cm砲対応防御が施され、少なくとも数斉射は防げるようにされた。


ただ、元の艦齢が20年を超えているため、多くの人から延命措置と見られていた。



改装は残存の巡洋艦・駆逐艦も行われていたが、元々大型艦艇を中心にして行われていた為に遅々として進まなかった。


代わりといっては何だが、陸海軍共に新兵器の開発を進めていた。


例えば航空機開発であるが、未来日本軍からの援助物資に大馬力航空エンジンがあった。


「春欄」エンジン:未来日本軍が、タイムスリップ後に大日本帝国軍に譲与した航空機エンジン。


航空機用エンジンとしては異例の3千馬力の出力を出す空冷のモンスターエンジンである。


ただ、これらのエンジンは非常に整備に手間がかかるため、スペックダウンした「秋欄」エンジン(出力:2100馬力)の方を採用した航空機を帝国陸海軍共に開発・量産して各部隊に配備した。


大日本帝国海軍採用新型艦上戦闘機:「雷鳴」一一型


全長:10.48m 全幅:13.12m 全高:4.08m


全備重量:4024kg 動力:「秋欄」15型空冷20気筒エンジン(2100馬力)


最大速度:672km/h 実用上昇限度:1万380m 航続距離:1898km(増槽なし)


武装:翼内20mm機関砲4門(携行弾数各180発)、機首12.7mm機銃2門(携行弾数各250発)


この機体は、既存の機種(主に『雷電』・『紫電改』・『零戦』の各種)の生産を一時的に中止しさせ、その埋め合わせという形で中島・三菱の両工場で生産されて、再建された機動部隊の艦載機となる予定であった。


一方の陸軍である。


陸軍は、当初こそ海軍への対抗心から新型戦闘機の開発を目指していたものの、大陸方面及び南方戦線での迅速な戦力展開を必要としていた事情から、既存の『飛燕』・『疾風』の2機種の改良を優先し、新型機の開発は後回しにされた。


「秋欄」搭載型三式戦闘機「飛燕」二型改


全長:9.68m 全幅:12.84m 全高:3.98m


全備重量:3642kg 動力:前述の『雷鳴』と同様


最大速度:688km/h 実用上昇限度:9,800m 航続距離:1580km(増槽なし)


武装:翼内20mm機関砲2門(携行弾数各155発)、機首12.7mm機銃2門(携行弾数各240発)



「秋欄」搭載型四式戦闘機「疾風」一型甲改


全長:9.98m 全幅:12.04m 全高:3.68m


全備重量:3468kg 動力:前述の『雷鳴』・『飛燕』改と同様


最大速度:701km/h 実用上昇限度:10,780m 航続距離:1540km(増槽なし)


武装:翼内20mm機関砲4門(携行弾数各155発)、機首12.7mm機関砲2門(携行弾数各300発)


これら2機種は、当分の間帝国陸軍航空隊の主力となって連合国軍の高性能戦闘機と、互角以上の戦いを演じる事となる。


無論、これまで生産された各機体が使われなくなる事は無く、陸軍では改良型の2機種以外にも一式戦闘機「隼」や二式戦闘機「鍾馗」も前線では使用されているし、海軍でも「零戦」・「雷電」・「紫電改」など各種各型の機体が大空を飛び交う事になる。


さて、ここまでは航空機について説明してきた。


次は、陸軍の戦車などについても説明しよう。


陸軍の現在の主力戦車は、一式中戦車「チヘ」が主戦力であった。


しかし、米国が主力戦車として採用されているM4中戦車「シャーマン」には、あらゆる面において劣っており、陸軍が新たに配備が進めている三式中戦車「チヌ」をもってしてもM4を撃破するのは、難しいと言わざるを得なかった。


三式中戦車でもM4への対抗が厳しいのならば、開発中の四式・五式の両新型戦車の正式配備を急がなくてはならない。


しかし、主力である一式中戦車の開戦時からの総生産台数ですら3千台をようやく超えた数しか生産できていない以上、急に生産ラインの変更に難色を示す者は多かった。


更に、肝心の両新型戦車の開発自体も遅れていた。


そこで妥協案として陸軍では、一式中戦車の生産台数を減産する一方で三式中戦車の増産を決定。


同時に一式・九七式中戦車の車体を流用した三式砲戦車(自走砲)の増産を決定し、前線への配備を急いだ。


この三式砲戦車は、主砲に三式中戦車に採用されていた38口径75mm戦車砲を搭載し、可能な限り生産性を高めており、日本軍の兵器としては比較的量産性を考慮した兵器であった。


陸軍では、戦車などの車両以外にもトラックなどの車両も増産しており、その大半が支那戦線に運ばれて活躍する事となる。



年が明け、1945年の1月を迎えても帝国に新年を祝う余裕は軍民共に無かった。


まず改装作業を終えた海軍の艦艇(主に空母部隊)が、工廠から出てきたと思えばすぐまたその後に別の艦艇が納まり、改装作業に入った。


それは、比較的規模の大きい工廠を持つ軍港は皆そうであり、改装作業を終えた艦艇は部隊の再編の為にすぐに訓練を始める。


折しも南方からの輸送船団が昨年末に到着後という事もあり、また未来日本軍からの膨大な量の燃料・弾薬を譲り受けたことも相まって、かなり濃密な訓練をする事を可能としていた。


他方、1月の末には南方からした旧第3航空艦隊所属の艦艇群と、大型艦艇の中で比較的損傷の浅かった大和級戦艦『大和』を中心とした艦艇の改装作業もついに始まった。


この時の改装作業の焦点となったのは、伊勢級航空戦艦の改装についてであった。


大和級戦艦の改装計画は、艦首・艦尾の延長と、副砲の撤去、新型電探の装備と対空兵装の強化など既に凡そがまとめられていたのであるが、伊勢級に関しては中々まとまらなかった。


主砲などの全ての兵器・設備を降ろして完全な航空母艦にしようと主張する者もいれば、艦尾部分一帯を全て延長して完全(?)な航空戦艦にしようと主張する者もおり、中には元の姿に戻す・・・つまり伊勢級戦艦の姿に戻そうと主張する者もいたが、さすがにこれは少数意見でありすぐに却下された。


また、武装などの簡単に換装できる部分のみを増強しようと主張する者も多かった。


武装だけを強化するなら、艦全体を改装するより比較的短時間で済むというのが、彼らの主張の根本であった。


結局、紆余曲折の末に艦尾一帯(飛行甲板部も含む)を延長して航空戦艦としての機能・性能を一段と強めようという意見が最終的に通り、大急ぎで改装作業が始まった。



伊勢級航空戦艦 第2次改装後


全長:298.7m(飛行甲板部:約150m) 全幅34.28m 


武装:45口径35.6cm連装砲4基8門、50口径12.7cm単装両用砲8基8門、55口径40mm三連装機関砲24基72門、55口径25mm三連装機関砲28基84門、同単装砲6基6門


速力:28.3ノット 搭載機数:48機(常用40機+補用8機)



大まかに言って、この様な形で落ち着いた伊勢級航空戦艦の改装は、改装を受けた艦艇の中で最も大規模なものであり、未来日本軍から工具・資材、更には未来日本からこの世界にタイムスリップしてやって来た工員達の協力をもってしても約4ヶ月掛かり、戦列復帰はかなり先となってしまった。



45年1月7日


この日、艦隊の編成作業が行われ、以下のような艦隊が編成された。


第1艦隊


第1戦隊:『長門』・『陸奥』


第2戦隊:『金剛』・『榛名』


第3戦隊:陽炎型駆逐艦4隻


第4戦隊:同級駆逐艦4隻



第2艦隊


第1戦隊:『妙高』・『高雄』・『鳥海』


第2戦隊:『大淀』


第3戦隊:『阿賀野』


    :夕雲型駆逐艦4隻


    :同型駆逐艦4隻



第4航空艦隊


第1航空戦隊:『赤城』・『瑞鶴』


第2航空戦隊:『信濃』・『大鳳』


第3戦隊:『利根』・『筑摩』


第4戦隊:『矢矧』


    :秋月型駆逐艦4隻


    :同型駆逐艦4隻


第5戦隊:『能代』


    :陽炎型駆逐艦4隻


    :松型駆逐艦4隻



第5航空艦隊


第1航空戦隊:『隼鷹』・『瑞鳳』・『龍鳳』


第2航空戦隊:『千歳』・『千代田』


第3戦隊:『酒匂』


    :吹雪型駆逐艦3隻


    :睦月型駆逐艦4隻


第4戦隊:『仁淀』


    :松型駆逐艦4隻


    :同型駆逐艦3隻



…のように、一応書類上では再編された。


だが、それは飽くまで書類上の事であり、実際にはこれらの艦艇以外にも未編成の艦艇がおり、完全には編成は終わっていなかった。


特に、潜水艦部隊に限っては殆ど手が付けられておらず、一応第6艦隊として編成されておるものの、あってないようなものであった。


そんな中でも、比較的規模の大きい第4航空艦隊は、ある程度まとまった艦艇が揃ったら南方のブルネイに進出(回航)され、訓練を開始した。


第4航空艦隊艦載機戦力:


艦上戦闘機:160機 艦上爆撃機:130機 艦上偵察機:47機 計337機


内訳…


『赤城』… 艦戦:36機(内補用4機) 艦爆:40機(内補用5機) 艦偵:8機(内補用2機)


『瑞鶴』… 艦戦:28機(内補用4機) 艦爆:40機(内補用5機) 艦偵:10機(内補用3機)


『信濃』… 艦戦:60機(内補用8機) 艦爆:25機(内補用5機) 艦偵:21機(内補用4機)


『大鳳』… 艦戦:36機(補用なし)  艦爆:25機(内補用5機) 艦偵:8機(補用なし)


因みに、艦載機は全て最新鋭機で固められており、特に艦戦部隊は高性能艦戦である「雷鳴」一一型の登場により、パイロットの腕次第では同規模の米機動部隊と互角以上に戦える戦力を保有していた。


だが、彼らが完全に戦力の一つとして頭数に数えられるようになるまで、短くても4ヶ月〜半年近く掛かり、それまでの間の帝国の防衛は、未来日本軍の力に頼らざるを得ない状況であった。


他方陸軍では、新たに内地で3個師団を完全機械化した上で戦力化を終え、早速彼らは満州方面に送られた。


彼ら3個師団には、現在の大日本帝国陸軍にしては珍しく、三式中戦車・三式砲戦車とも定数を保っており、トラックなどの車両も充実していた。


帝国陸軍は、彼ら3個師団を満州に派兵する一方で満州に駐留している関東軍指揮下の3個師団を内地に戻し、機械化を推し進めるつもりなのである。


ゆくゆくは、支那戦線に派兵されている部隊も機械化するつもりであったのだが、さすがに資材も時間も掛かるために見送られ、止む無く関東軍指揮下の師団のみとされた。


いまや満州方面に展開されている兵力は、開戦前の80個師団総勢108万人から、相次ぐ南方・支那戦線への引き抜きにより、総兵力は44個師団総勢61万にまで減少していた。


しかし、これは当初の予想よりも多かった。


史実で行われた陸軍の「大陸打通作戦」・「インパール作戦」の二つの作戦が実施されなかった事により、更なる引き抜きが行われなかったからである。


さらに、満州・支那戦線立て直しの為に未来日本陸軍が合計で20万人も派兵される事が44年の末に決定していた為、戦力は実質的に増強されたと見る事も出来る。


これが、後に満州に侵攻してくるソ連軍を撃退する大元となる。



しかし、全部が全部上手くいく事などあり得ない。


現にいくつかの問題も抱えていた。


それでも、帝国は歩みを止める事をしない。いや…出来ないのだ。


この世界の為にも…

如何でしたでしょうか?


次回は、今回の内容の続きを書きたいと思います。


今回のお話では登場してこなかった部隊・人員・兵器が登場予定です。


乞うご期待。それでは、また。

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