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第22話 戦機熟す 〜日米決戦 in 沖縄・台湾〜 1

読者の皆様、どうもです。作者のクラウスです。


大学の試験が残っている中での執筆活動…


しんどいです(苦笑)。


まぁ、何とか頑張っております。


それでは、本編のスタートです。


どうぞ。

帝国軍と、それに協力する未来日本軍が、スターリンの野望を打ち破り、5月9日のヤクーツク占領に合わせて「勝利宣言」をする約1ヵ月前…


南方と本土の間にある重要な中間地帯を巡って、未来日本海空軍と米機動部隊との決戦が起こった。


戦史上にも、歴史上にも名高い「沖縄・台湾沖海空戦」である。


この一連の海空戦は、僅か4日間という短い間に起こった戦闘であったのだが、帝国には天国を、米国には地獄を…それぞれに見せた。




1945年、4月11日……日ソ両軍が、満州・東部シベリアで激戦を繰り広げている頃、ハワイ諸島の真珠湾港から出撃した大艦隊が、一路進路を西に向け、自分達に戦争を挑んだ愚かな東洋の帝国を打ち倒すべく、意気揚々と出撃した。


攻撃目標は…帝国が占領している南方の資源地帯と、本土を結ぶ中間点に位置する「沖縄・台湾」である。


今回のこの作戦は、来月以降から実施されるマリアナ諸島からの日本本土爆撃の前段階として、帝国に一撃を加える事と、南方からの資源輸送ルート上にあるこの2つの島々を攻撃する事によって、帝国の物資輸送に致命傷を与える事の2つが目的であった。


但し、これは表向きな話であり、裏を返せば陸海軍は元より新たに創設された空軍との合衆国内での権力争い・主導権争いがあった事は、否めない。


要は「ニューギニア攻略に梃摺る陸軍や、これから戦果を上げるであろう空軍よりも、点数を稼げ」と言う思惑が働いていたのである。


しかし、そうは言っても帝国にとって重要な位置にある「沖縄・台湾」に対して目標を定める辺り、抜け目が無いと言うべきか…



だがしかし、帝国軍を率いる陸海軍の上層部や、彼等に協力する未来日本軍の各司令官達が、この重要な位置に存在する拠点の防備を、整えない筈が無かった。


但し、陸海軍の主戦力を支那大陸や満州・シベリア戦線に振り向けている現在、台湾や沖縄諸島の防衛に回せる戦力は、残念ながら殆ど無かった。


陸上戦力として、一応は2個師団が其々台湾と沖縄諸島に配備されていたものの、この4個師団は戦中に新たに編成された師団であった為に、練度の点で非常に不安が大きかった。


更に、航空戦力は台湾・沖縄諸島の其々を合計しても、200機をギリギリ上回る程の機数しか無かった。


この数字は、陸海軍の…戦闘機や爆撃機、偵察機などを全て合わせての数字である。


異常に少ないと考えられるだろうが、それも仕方ない。


何せ航空戦力の大半は、前述の通り支那戦線や満州・シベリア戦線に配備されていたからだ。


お陰で日ソ・日中の戦闘は有利に運ぶ事になる。


しかし、台湾・沖縄諸島を守備する部隊が「とばっちり」を受ける事になってしまったが…




 −−− 1945年4月14日 −−−


ハルゼー大将が率いる艦隊がハワイを出港してから3日後…


米軍が占領しているトラック環礁から、ハルゼー艦隊に先んじて台湾・沖縄諸島を叩くべく出撃した艦隊があった。


エセックス級正規空母8隻と、インディペンデンス級軽空母11隻を中心とした合計109隻にも及ぶ大艦隊である。


指揮官は、エドガー・クルーゼ中将である。



『司令、本当に我々だけで実施するのですか?』


『…参謀長、心配かね?』


『いえ…そう言う訳では』


『心配は無用だ。今頃ジャップの連中は、赤の連中相手で忙しいからロクな戦力は残っていないさ』


『はい…』


『どうしたんだ、参謀長。そんなに不安そうな顔をしていたら、周りの皆にも伝染するぞ?』


『……そうですね、その通りです』


『ハハハッ、いいぞ参謀長。その調子で頼むぞ?』



エドガー中将が乗り込んでいるエセックス級空母『オリスカニー』の艦橋は、適度な緊張感を保ちながらも笑い声が響いていた。


エドガー中将の笑い声であった。


しかし、司令官の笑い声とは対照的に、彼の参謀長を務めるオルガー・トリスン中佐の心中は、エドガー中将程穏やかなモノでは無かった。


彼には、一つ気がかりな事があった。


出撃前に、何度かハワイの司令部に日ソの動向(この時は、まだ開戦前だった)について、幾つかの情報を聞いていた。


トリスン中佐の中では、ハワイから得られた情報の中でも、特に日本軍の戦力配置について驚いていた。


何せ支那戦線だけでなく、南方や台湾からも戦力を引きぬいて配備していたのだ。


これは、米軍に『どうぞ攻めて下さい』と言っているようなモノであり、俄かには信じられなかった。


特に、日本軍…いや、日本人の気質からして、台湾は兎も角、沖縄は日本の本土の一部であり、それを汚されると言う事は、満州を失う事と同等の衝撃を与える筈だとトリスン中佐は考えていた。


それにも関らず、現在の台湾・沖縄諸島は申し訳程度の航空戦力と、2線級の地上兵力しか配備されていないと言うのは、トリスン中佐の考えから言えば、明らかに不自然と言わざるを得なかった。


無論、司令官であるエドガー中佐を始めとした艦隊司令部の面々にも意見したものの、一笑に付されて取り上げられる事は無かった。


それどころか、この事が一部の将兵に口伝えで広がり、艦隊の将兵の中には『臆病者』や『艦隊の御荷物』・『親日家』などといった陰口を叩かれてしまい、艦隊内では非常に肩身が狭かった。


しかし、彼の懸念は消える事が無かった。


そして、艦隊が出港していっても、その懸念は消える所か段々大きくなっていった。


そしてその懸念は、艦隊が台湾沖にて帝国軍の攻撃を受ける事によって、最悪の形で的中するまで続く事になる…




 −−− 同日 沖縄本島嘉手納基地 −−−


大日本帝国を形成する国土の一つ…沖縄諸島。


その沖縄諸島の中でも一番大きな島である沖縄本島が、軍政問わず「沖縄県」の中心となっている事は、疑い様が無かった。


その沖縄本島にある一大飛行場である嘉手納基地には今、未来日本空軍の精鋭部隊が配備されていた。


この嘉手納基地は、開戦当初こそそれ程規模の大きい基地では無かったのだが、未来日本軍が現れた44年の10月以降、帝国陸海軍の上層部に許可を得た上で、4000m級滑走路5本に2800m級滑走路3本の計7本の滑走路を保有する一大基地へと変貌を遂げていた。


*同様の基地として、4000m級滑走路4本と2800m級滑走路1本を擁する「普天間」基地や、3500m級滑走路3本と2800m級滑走路2本を擁する「与那原(よなばる)」基地などが上げられる。


嘉手納基地には現在、未来日本空軍(及び海軍)の最新鋭機であるFA−2000「蒼穹」制空戦闘機や、未来日本空軍において長らく主力を務めていたFA−1000「蒼籟(そうらい)」制空戦闘機を中心に配備されている2個航空師団+2個中隊が、展開していた。


未来日本空軍は、2機編隊を部隊の最少単位として、基本は2×2の4機編隊を1個小隊、1個小隊×3の12機編隊で中隊を形成し、3個中隊で大隊、3個大隊で1個航空師団を形成している。


つまり、未来日本空軍は、1個航空師団=108機で構成されていたのである。そしてそれは、未来日本海軍の空母艦載機部隊においても基本は同じであり、海軍の艦載機部隊との違いは、1個航空師団を3個大隊では無く、2個中隊としている事位であろうか…


この時、嘉手納基地には未来日本空軍の第3航空師団と第4航空師団、そして第7航空師団隷下の第1・第2中隊の総勢240機のジェット戦闘機部隊が配備されていた。


*因みに普天間基地には、第5航空師団と第6航空師団、そして第7航空師団隷下の第3中隊の総勢228機が配備され、与那原基地には第8航空師団揮下の108機が、玉井浅一大佐指揮下の帝国海軍「第二〇一海軍航空隊」所属の零戦36機・九六式艦戦24機・九七式艦攻18機・一式陸攻18機の合計96機と共に、配備されていた。


6個航空師団計648機のジェット戦闘機が配備された沖縄本島の守りは、鉄壁と言えた。


少なくとも、航空戦においては圧倒出来る程の機数を揃えたと言える。


また、いくら空の防備が鉄壁を誇ったとしても、完全に陸の防備をお座なりに出来るものではない。


しかし、未来日本陸軍にしても主力は満州・シベリア戦線と支那戦線の2つに廻さなければならない為、一線級ばかりの部隊や人員を揃える訳にもいかず、配備される部隊は必然的に二線級の部隊…所謂「予備師団」とか「予備兵力」と呼ばれる部隊が中心となった。


とは言っても、いくら未来の世界で「二線級」と呼ばれていても、この第二次世界大戦の時代においては「最新兵器」を通り越して「超兵器」とさえ言えるのだから、いくら二線級と揶揄しても、米軍にとっては厄介所か危険極まりない代物と言えた。



沖縄に一応配備された未来日本陸軍の部隊は、九十式重戦車「鎮西」や一式機動戦車「蓮華(れんげ)」といった未来日本軍が主力としている兵器から約二世代前の兵器で身を固めている第301戦車師団・第303戦車師団の他、多数の歩兵師団・砲兵師団が配備された事で、万一米軍に上陸されても、互角以上に戦えるだけの戦力が配備された。


九十式重戦車「鎮西」


車体長8.12m×全幅3.29m 重量59.2トン


武装:48口径120mm滑空砲1門、7.7mm車載機関銃1門(主砲同軸)、12.7mm単装機関銃1門(砲塔上部)


解説…未来日本陸軍が百式重戦車「紅洋」を開発・生産するまで、長く日本の国土を守って来た、歴戦の戦車。流石に未来日本の時代では、旧式化が著しくなっているものの、第二次大戦期の欧米の戦車だったら圧倒できるという事で、この世界に多数が持ち込まれた。この戦車は、後に東部ニューギニアやオーストラリアでの戦闘で、活躍を見せる。



一式機動戦車「蓮華(れんげ)


車体長7.22m×全幅3.06m 重量48.9トン


武装:48口径105mm滑空砲1門、12.7mm単装機関銃1門(砲塔上部)


解説…未来日本軍が、1980年代の後半に完成させた戦車で、当時は「一式重戦車」と呼ばれていた。しかし、未来日本と敵対関係にあった中華連邦と韓国共和国の軍拡に伴い、前述の九十式重戦車を開発した為、本戦車を新たに機動戦車という車種に変更し、晴れて「一式機動戦車」という命名に落ち着いた。本戦車も、九十式重戦車と同様に多数が持ち込まれ、後の東部ニューギニアの戦いや、オーストラリアでの戦いで活躍を見せる事になる。




さて、これまでは主に沖縄方面についての説明だったが、では台湾方面はどうだったのであろうか?


台湾は、1894年に始まった日清戦争に勝利した帝国が、深刻との講和条約である下関条約を結んだ事によって、帝国領へと編入された(影響下に置かれた)。


その台湾には現在、帝国海軍の第298海軍航空隊(「紫電」装備:定数42機)や第299海軍航空隊(「雷電」装備:定数36機)を中心とした航空隊に、現在主力が西部ニューギニアに展開している第251海軍航空隊…旧台南海軍航空隊…の一部が帰還し、台湾方面に再編入されていた。


そしてその再編入された第251海軍航空隊の面子の中には、嘗て台南空と呼ばれた時代のエースであった笹井醇一に鍛えられた搭乗員もおり、戦中に新たに新設された第298・299の2つの航空隊よりも、搭乗員の技量は圧倒的に上と言えた。


惜しむらくは、そんな歴戦の搭乗員である第251空の面々が搭乗する機体が、零戦三二型であることだろう。


満州・シベリア戦線に廻された「雷光」や「雷鳴」とまでは言わないまでも、「紫電改」辺りの機体を彼等に配備させれば、かなりの戦果を上げられるかも知れなかった。


もっとも、現在の帝国にそれ程の余裕は無く、機体・搭乗員共々不足している現在では、無茶な注文であった。


更に、いくらこれまでの戦闘を生き抜いてきた歴戦の搭乗員とは言え、多少性能が高い「紫電改」に乗った所で、高性能機を保有する米国相手にどこまで戦えるかは、未知数であった。


いくら一騎当千の搭乗員とは言え、数が少なければ米国の数を生かした戦法にやられるのは、明白であった。



ただ、少なくともこの台湾には頼もしい味方がいた。


未来日本空軍の8個航空師団(864機)…内2個航空師団は、対艦・対地攻撃を専門に行う攻撃隊…と未来日本陸軍の3個戦車師団、4個歩兵師団の計7個師団8万7千人が、台湾の防備を完璧にしていたと言えた。


また、主力は満州・シベリア戦線やニューギニア戦線、ビルマ戦線といった最重要戦線に集中的に配備されているものの、最低限の火器火力を備えた部隊が少なくとも2個師団ばかり配備されていた。


*もっとも、飽くまで主力は満州戦線・シベリア戦線に廻されていた為、台湾に展開していた帝国陸軍の兵力は決して精強な精兵であった訳ではなく、特にその機甲兵力に問題があった。しかし、未来日本陸軍の機甲戦力が強力な事も相まって、さほど問題には成らなかったが…



そんな鉄壁に近い備えを敷いている帝国軍に対して、遂に米機動部隊が攻撃を仕掛けようとしていた。


エドガー中将率いる19隻の空母が、沖縄近海にまで表れて攻撃隊を発進させたのだ。


第1次攻撃隊として出撃した336機の攻撃隊が、沖縄に向かって突き進んでいった。


当然、帝国軍側も迎え撃つべく迎撃・反撃行動に移る。


沖縄本島の嘉手納・普天間・与那原の3基地から、次々と戦闘機部隊が出撃していく。




それは、日米のこれまでの立場をひっくり返す、一大決戦が始まった事を意味する合図であった。



如何でしたでしょうか?


最近、「話の進む展開が急すぎるのではないか?」といった事を自問自答しています…


まぁ、執筆活動は当然進めて行きますが(苦笑)。


さて、次回の話は、日米の決戦が起きます。


もっとも、圧倒的な未来戦力に挑む米軍…という構図になる可能性が高いですが(苦笑)。


それでは、また次回。

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