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主人公補正がないみたいなんですけど泣いてもいいですか?

初めて書きました。

拙い文章ですが、読んで頂けると幸いです。

 2032年 3月24日

 一年の浪人生活を終え、見事第一志望大学の合格を掴んだ俺は今日も見たいアニメを見て、漫画を読んで、寝たいだけ寝て、、、というまぁ怠惰な生活を送っていた。4月からは講師のアルバイトも決まっているが、今は自分への一年良く頑張りましたご褒美タイムとでもいうべきか、最高な日々を送っている。思えば浪人中は辛くてもう死にたいなどと考えた最低な日もあったが、今となってはもう昔の話、全てが好転してまさに毎日が記念日☆という考えに至っている。

 しかし、そんな俺とは正反対に世は今もまた混沌の中にある。2020年に史上最恐と言わしめた某新型ウイルスが蔓延し、人々を恐怖のどん底に陥れて早10年……いややっぱ早すぎるだろっ!新しいやつ来んの!とおもわず突っ込まずにはいられない。またしても10年経った今新たな謎ウイルスが世界中に広がっているのだ。このペースでウイルスに進化されてしまってはいよいよ世も末と言ったところだろうか。おかげで教育機関はどこもオンライン授業である。当然俺の入学する大学も例外ではない。夢のキャンパスライフは一体いつになるのやら……そんなことを考えながらベッドでスマホ片手にゴロついている俺に求人アプリから通知が来た。若干の期待の気持ちを抱きながらアプリを開くと、、、


――――――――――――――――――――――――


✳︎単発バイト(1日のみ)50000円!VR被験者募集!!

〜あなたの目で!仮想空間を覗いてみませんか?〜

〜先着500名様限定〜

ご応募いただきありがとうございました。下記日時指定場所にてお待ちしております。。。。


――――――――――――――――――――――――


「っしゃ!」

そこまで読むと俺はスクロールする指を止めて高らかにガッツポーズをかましていた。

遡ること約3週間、合格発表が知らされた頃、俺は早速小遣い稼ぎにバイトを始めようと息巻いていた。そんな時求人アプリに先程のVR被験者募集のバイトがあるのを見つけた。日給50000円。10年前まではこんな設定どう考えても詐欺だろうなと誰もが思ったであろう。

しかし、2020年代の急速な世界各国での科学技術発展に伴い、仮想空間への世間の注目が集まり、研究費用も今まで以上に国が負担することになったこと、(某ウイルス後の世界中の国の経済危機を乗り越え成長していく様は目を見張るものがあった)また、10年前までのVRの次元からは遥かにレベルが高くなったものらしく、仮想空間が人体に与える影響も考慮したところ、今では割と頷ける給料設定となっている。ただ、VR仕事は不定期で人気も高く、先着順であり定員も限られていたので、半ば宝くじ気分で申し込んだのだが、見事当選したことに喜びを隠せないでいるのだ。俺は掲げたままであった握り拳をしまうとその後を読み進めた。




3月26日

空は晴天で今日はまた素晴らしい散歩日和である。気温も徐々に上昇してきてそろそろ冬も終わりを迎えたと言っていいだろう。こんな日に森でキャンプなんて実に最高だ。などと秋葉原の雑多な人混みの中で場違いなことを俺は考えていた。何故こんなことを考えているかというと、俺の家族は今日キャンプに行っているからだ。家族水入らず、俺を除いてキャンプなんてさぞ、楽しいだろう。そんな皮肉めいたことを思って歩いていると、目的地は目の前にあった。高いビルだなー、そんなことを思ってエレベーターに乗り、36階のボタンを押す。腕の時計は13時57分を指していた。

「チンッ」そんな無機質な機械音の後扉が開いた先には無菌室の研究所みたいなところがあった。中を少し覗いて見ると奥の方はここからじゃ見えないが、器具やベッドがあり、人が何十人か座っているのが確認できた。しかしある程度の広さはあってもこの一室に500人も入る訳がない。やっぱ騙されたのかな、、とここまで来て急に不安になり、中に入ろうかどうか逡巡していると、エレベーターの横の通路を行った男性トイレから人が出てきた。

「君はVR被験者の応募者かな?」

「あっ、はい。」

「じゃあこれで全員だね。早速始めようか。佐々木さん、準備してー」

黒縁メガネで白衣を着た30半ばくらいののその男はいつのまにか俺の後ろにいた助手のような女性にそう言った。




「今回この秋葉原研究所に集まってもらったのは君たち50人。他にもここらへんだと新宿とか池袋、関西とか九州、地方にもいくつか研究所はあって全国に10こある。僕はここ、秋葉原研究所の担当を任されている須藤だ、今回はよろしく頼む。続いて今回の内容説明をしていくね。。。」

授業のようなスタイルで彼の話を聞いているのが45人残りの5人は椅子が足りなかったため一番後ろに立つことになった。椅子くらいちゃんと人数分用意しとけよと思っていると、隣で立っていた20代後半くらいの男がヒソヒソ声で話しかけてきた。

「なんかこの状況恥ずいよな」

「え、あ、そうですね」

「俺VR興味あってさ、まさかこのバイト当たるなんて思わなかったよ、まじで、今日は仮想空間内で生活体験するらしいぜ、空とか飛べたらいいよな」

「そうですね」

「仮想空間内でまた会うかもな、今日はよろしくな」

「こちらこそよろしくお願いします」

俺とは違う側の陽の気を纏った感じの話し方だったが、不思議と嫌な感じはしなかった。

30分くらい続いた説明が終わると一人一人個別に部屋に連れて行かれた。さっき話した男と入れ替わりで50番目に俺が入っていった。

「ガチャ」

「さっきの説明では話してなかったんだけど今回君たち自身は行かないんだ、仮想空間には。君たちのコピーを転送することになっててね、今からこの機械で君の脳のデータをコピーするからこれを被ってくれるかい?」

「あっ、はい」

須藤に言われるがままに俺は管がいっぱいついたヘルメットみたいなものを被る。個人情報流出とか大丈夫なんだろうか?など一抹の不安を感じていると10秒くらいでスキャンと呼ばれるその作業は終わった。

「終わったよ。次に君のコピーの実体をそのまま転送するから君のマネキンを作るんだ、横になってくれるかい?」

5分後、作業を済ませるとプラスチックでできた俺そっくりのマネキンができた。

「じゃあこいつを転送させて終了なんだけど、準備はいいかい?」

準備も何も転送されるのはそこにいるマネキンだろう、、、いや、待てよ、何か恐ろしい事が起きているのではないかと振り返ってみたときにはもう遅かった。須藤は不敵な笑みを浮かべて最新型機器のENTERを押してこう言った。

「間違えちゃった☆」

「は?」

その瞬間、俺の意識は飛んだ。

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