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6.

案内された部屋で窓の外を眺めながらボーッとしていた。起きていることがまだ夢のようで今が信じられなかった。自分が怪我をしたときのあの痛み以外は全く現実味を感じないからだ。

これからどうしようかとふと窓に薄く反射した顔がみえた。自分の顔ではなかった。慌てて棚の上にあった小さな鏡に手を伸ばし顔を見る。髪は茶色でよくみると長くのびており目はピンク色になって顔の形がかわり前の自分より少しはマシになっている。

マジマジと自分の顔を見ているとノックと共にステルの声が聞こえ、ドアがガチャりと開いた。


「入るよ。ご飯できてるから来れば、ってなんで鏡なんか・・・あぁそうか。」


ステルは自己完結するとくるっと私に背を向けた。棚に鏡を戻し彼のうしろについていく。ステルはマガイさんやアデルとは全然違う雰囲気で近づくな話しかけるなっていう雰囲気を常にまとっていて少し緊張する。それに私を睨むようなことも何度かあって私に良い感情は抱いていないのがわかる。

下を向くと私の歩く足の横を子狐がチラチラこちらを見ながらトコトコ歩いていた。遠くから話し声が聞こえてくるまで食堂に近づいてきた。両開きのドアの片方が少し開いていてそこをすっと引けば良い匂いがいっぱいに広がった。その瞬間グゥっと小さくお腹が鳴った。恥ずかしくて顔に熱が集まるのがわかる。そんな私にアデルが気を遣ったのかはわからないが大きな声を出す。


「あのね!実は昨日作りすぎたシチューが今日のご飯なんだ。」

「本当はもっと良いのを作りたかったんだけどあいにく急だったから何にもなくて。ごめんね。」


マガイさんが申し訳なさそうに謝ってくる。ご飯が貰えるだけありがたいのに。


『謝らないでください。私はご飯が食べられるだけで凄く感謝しているんです。』



ステルが既に椅子に座ってまっている。


「君はこれ」


アデルが子狐に小皿にお肉が乗ったものを置く。


「座って。あなたは私の隣だよ。」

『はい!』


言われた席につくと小走りでアデルも席についた。両手をあわせていただきますと行ってシチューを食べた。

空腹も助けたのか今までにないくらいすごく美味しくて手がとまらなかった。そんな自分にも驚いて泣きそうになってきた。こんな美味しいご飯は本当に本当に久しぶりだったから。


・・・

・・・・


ご飯を食べた後マガイさんと船の上にでて話をしていた。


「みんなに敬語使わなくていいし私も呼び捨てにして貰ってかまわない。その方が私も楽だから。」

『わかりまし・・・わかった』


マガイはにこりと笑った。風が彼女の黒い髪をサラサラと撫でた。


「あ、そうだ。もう少し時間がたったら子狐ちゃんと一緒にお風呂入ろうね!」

『・・・』

「どうしたの?」

『・・・なんで私に色々してくれるの?私が転生者だから?』

「それもあるよ。」


それ"も"?私はこのあと続く言葉を待った。


「私達冒険家なんだ。特に空の。」


マガイとステルとアデルは3人で"ウィスティリア"というメンバーを組んでいて、陸と海と空の中で一番貰えるお金が高い空の冒険家をこの飛行船でしている。何故高いかというとそもそも飛行船を操作出来る人間があまり多くないから。浮かぶダンジョンを攻略していくけど出来ないとお金が貰えない。だから私はまだ何の能力があるかわからないけど戦力は多いに越したことはない。あと同性の話相手が欲しかった。


「・・・っていうのが理由だよ。あぁそろそろお風呂入ろうよ。」


マガイは私の返事を聞かず、手を握り歩き始めてしまう。

歩いてる途中で小さく


「何も心配することはないからね。」

『うん・・・!』


・・・

・・・・


同時に入るとしたら5人くらいは入れそうなやや広いお風呂についた。服を脱いで中に入る。振り返ると子狐は嫌なのかドアの前でうろうろしている。マガイがヒョイと持ち上げてドアを閉める。


「これがシャンプーで・・・」


お風呂の説明をうけて私とマガイは先に頭と体を洗う。終わったあとに子狐の体を洗うのだが・・・


『うわっ』


子狐が逃げようと必死で暴れまくる。私がなんとか抑えてマガイが洗う。洗っているうちに疲れたのか気持ちよかったのか、子狐はだんだんおとなしくなっていった。


・・・・・・


お風呂からあがってマガイが魔法を使って乾かすと子狐はモッフモフになっていた。いつの間にか私は眠りについていた。

見所が特にない回です

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