3.
前回のあらすじ
森でイノシシに突然攻撃され、負傷した愛美。たて続けにイノシシが愛美に突っ込んできて目を閉じたのだが何故か体が浮く感覚に陥る。
急に体が浮いたので目をあけると木にキバを刺して動けなくなってもがいているイノシシがいる。そして私が何かに抱きしめられながら上にどんどんあがっている。木を登ってるようだ。
抱きしめている人の動きがピタリと動きが止まった瞬間イノシシに狼と思われる動物が一匹でイノシシの背中に噛みついた。痛みからかキバが木にささったままイノシシは暴れ出す。狼はイノシシに噛みついたままどんなに体を振られても絶対に離れず、見ていると突然狼が耳と尻尾を残したまま人になりイノシシの首もとに手をあてた。その瞬間イノシシはビクビクと痙攣をおこしながらイノシシは力なく倒れた。ほんの一瞬の出来事かのように早く、目の前で起きていることに整理がつかずに自分のお腹を抑えながら私は1人混乱していた。
私を抱いていた人が木から音もなく降りた。何か話してるみたいだ。血が少なくなったからか、だんだん意識が朦朧としてきた。木を背にして座らせて貰ったみたいだけど視界がぼやけて誰なのかわからない。そのまま私は目を閉じた。
・・・
・・・・
目が覚めた。私はまだ死んでいなかったということだろうか。
「おーにーくー♪おーにーくー♪」
「食べないぞ。」
「えっそうなの!?」
「まぁね・・・あの魔物のお肉って凄くまずいらしいし・・・」
「えぇー!?」
「せっかく仕留めたのに落とすなよ。」
「やったの僕なんだけど???」
会話が聞こえてきて目をあける。目を開けたら太陽の光が眩しくて思わずを覆う。
『うっ・・・』
動きと会話がとまった。
「起きた!?」
「あんまうるさいと怖がらせるぞ。」
「ごめんね、まぶしかったね。日陰行こうか。」
少しして目をあけると耳が生えたイケメン1人と美女1人と私をお姫様抱っこする別の耳の生えたイケメンがそこにはいた。意味がわからなくて目が点になった。美女は大きめのフードをかぶっていてその隙間から綺麗な黒髪が見えて、目はかなり明るい水色をしている。美女の隣にいる人の耳
は犬に近く、赤い髪と緑の目をしている。私を抱いている人の耳は多分猫で白い髪と澄んだ灰色目。
固まっている私に美女が心配そうに私に話しかけてきた。
「大丈夫?お腹の痛みとかない?まだあるなら言ってほしい。・・・一応即効性のあるものを塗ったんだけど・・・」
試しにお腹を触ると痛くはなくなってる。それに私を抱いてるイケメンの胸の服に私の血がべっとりついてしまってることに気がついた。
『あの、血、ごめんなさい。あとお腹はだい、じょうぶです』
美形の前で平然とできず、完全に目が泳いでいたと思う。
「そっか、ならよかった。あ、名乗るのが送れちゃったけど私はマガイ。」
「俺はステル。」
「・・・。」
もう1人の子は口に手をあてて話さない。
「ふざけてんの?」
「だ、だってステルが喋ると怖がらせるって」
「・・・」
「ええっと、この子はアデルね。」
「はい、アデルです・・・」
アデルが小声でニッコリと笑う。ステルが近くの木に寄りかかるようにして私を座らせた。マガイさんとアデルがしゃがんで同じ目線にくる。
「あなたの名前は?」
『・・・私は・・・』
名前を思い出そうとしても何故か出てこない。確かに覚えていたはずなのに。
答えを探してしばらく黙り込んでしまった私をみてマガイさんは訪ねる。
「もしかして覚えてないとか?記憶喪失だったりする?」
『名前が思い出せない、です』
「えっ!そうなの!?」
『はい・・・名前だけが何故か出てこなくて・・・覚えてたはずなんですけど・・・』
「じゃあ住んでた国とか街の名前は?それがわかれば知ってる奴もいるだろ。」
様子を見ていたステルが上から話しかける。それを聞いたアデルが「確かにぃ!」と笑う。
「えぇーと、”ケム”と”フォルガナ”と”エイリー”と・・・」
アデルが候補をあげるも、私にはどれも聞き覚えのないものだった。
『どれも聞いたことありません・・・』
「そっか・・・どれも覚えがないならどうしよう・・・」
再びうーんと唸っているとアデルがハッとした顔になり思いっきりマガイさんの方に振り向く。
「主!手!手!」
アデルが慌てるように左の手の甲を叩く。マガイさんもハッとした顔になりつけていた手袋を外す。肌が白くてきれいだなぁと思っていたら焦った様子でマガイさんの手が私の元へきた。
「ちょっと触ってみてくれない!?」
『は、はい』
手の甲を触るとマガイさんと私の手の甲が小さく光ってお互いに星の模様が出てきた。その瞬間全員が驚いた顔をした。
「転生者か・・・!?」
『えっ?』
転生者って・・・?
更新出来るうちにいっぱい更新しといたほうがいですよね。長すぎても読者様が飽きるので短くしています。