目指せ、引きこもり脱却!(1)
私が願えばなんでも叶った。それこそなんでも。
それは別に誰かが私の事を見ていて、私が願ったのをみて、誰かが叶えてくれるわけではなく。
特別なことなど何一つとして必要としない。変な儀式や言葉すらも必要としない。「誰かに伝える」という行為なんて、要らない。
「神さま」なんていない。
ただ、「願う」だけで叶ってしまう。
その「神さま」は、私だった。
例えば、明日晴れになってほしいと思えばその通りに晴れるし、学校が休みになってほしいと思えば休みになる。
例えば、私が飛びたいと思えば飛べるようになる。それがおかしいとは誰も思わない。そのように「世界」が「変化」する。
そして、私が誰かに死んでほしいと願っても、その通りに死ぬ。
誰も変には思わない。
誰も違和感を抱かない。
そのように、私の願いが叶うように、世界が――改変される。
全ては私が過去に願ったこと。欲してしまったこと。
本当に、どこまでも愚かなことに。
初めは、それがおかしいことだなんてわからなかった。それが当然だと思っていた。誰もが、願いが叶うものだと思っていた。サンタさんは誰にだってやってくる。誰もがソレを信じるように。
でも、たまに私の常識がズレることはあった。
それでも、おかしいのは自分だと思っていた。
全ては私が常識知らずなだけであると。悪いのは私であって、みんなじゃない。
私が知らないだけ。そう、ただそれだけ。
でも、実はそうじゃなくて。
でも、確かに悪いのは私で。
変わっていたのは周りだった。
おかしいのは私以外のみんなだった。
それに気づいたとき、私はすべてが嫌になった。何もかもが嫌いになった。
今、目の前に起こっている事象は、本来のあるべき物事ではなく、もしかしたら私が改変した結果なのかもしれない。
私のせいで、世界が歪んでしまったかもしれない。
何も見たくない。
何も知りたくない。
何も信じたくない。
その時から、私はすべてが怖くなったのだ。
私の存在がすべてに影響を与えているのかもしれない。全てが私のせいで起こっているのかもしれない。
ただ、願うだけで。
ただ、望むだけで。
全ては私のために廻る。私のためだけに。この世界の法則すらも。
全ては歪む。私のためだけに。
それが嫌で、私は自らの殻にこもった。
自分だけの世界を創って、誰も彼もを排除して。唯一人、誰とも関わらないように――。
・・・・
雨が降り止んだ。
私は帰りの電車に一人で乗り込み、家路を一人で歩く。
ぬかるんだ地面から土が跳ね、靴を汚す。先ほどまで降り続いていた雨で服はびしょびしょになり、まだいくらか冷たい風が身体を冷やす。
目撃者はいくらかいるかもしれないし、というか確実に数人入るだろうし、じー君を轢いたのはトラックだったので、ドラレコも搭載されている可能性は高い。
ブーツや服装もろもろで、若干の見た目の操作、顔が周囲に見えにくいようにフードの角度を調整などはしているが、その場をさっさと離れることに越したことはない。
まだ明るい昼間の道路を一人、急ぎ足で歩く。
だがよっぽど急ぐ必要はない。あくまで自然に。不審には見えない程度の速さで。
順調に進む足。だがその歩行がぴたりと止まった。
「…………また、貴方ですかー?」
進む先には、ふー君がいた。
「やあやあ~、おっ久しぶり~。元気してた~?」
「学校でも会ってますよねー?それで、私になんか用でしたかねー?できれば貴方とは話したくないんですけどー」
こういう奴に好きに話させると大体用件を後に回して好きに話しまくるので、こちらから率直に用件を聞くのが吉だ。
まあ、できれば目にも入れたくないレバルなのだけど。
「え~用って程でもないんだけどね~……」
「ではさようならー、また明日―、学校はできるだけちゃんと言った方がいいですよー」
話を無理やり中断させて、さっさと歩みを進めようとする。
「ごめんごめん、すぐに終わるからちょっとくらい自分の話を聞いておくれよ~」
はあ、とため息をつく。まあたぶん引き留めるだろうなとは思っていたが、こいつと話してろくなことになるとは思えないため、本音を言えばこのまま帰っても良かったのだが。
「では三秒で終わらせてくださいねー」
「……流石にそれは無理かな~」
ふー君はのんびりと答える。
「それで、その話とは?」
できるだけ早く切り上げるため、こちらから問いただす。
「う~ん?それはね~?やっぱり自分の言ったとおりになったな~と思ってね~」
「……チッ」
確かに。
こいつは最後に、私がじー君を殺す、と言ったのだ。こいつの依頼を了承したわけではないとはいえ、こいつの望み通りに動いてしまった。そのことはかなり癪に障る。
「それでー?そんなことを伝えて私の神経を逆なでするのが目的ですかー?」
「いやいや~、ま、それも主目的ではあるけどね~?本来の目的は一つだけ~」
「それなら早くいってくださいなー」
お互いににこやかに話しながらも、その間には明確な敵意が混じる。私は殺意を滲ませる。
下手なことを言えば、すぐにでも目の前のこいつを殺せるように。
不死身なこいつを殺すのは難しいが、少なくとも一定時間動けなくはなる。もしくは拷問でもなんでもかけるのもありだろう。
とにかく、警戒しながら私は話の続きを待った。
「そう、たった一つだけ~。たった一つだけ、自分は質問をしたいだけ~」
「……して、その質問は?」
ふー君はここで、一拍置き、大きく息を吸った。理由は知らない。もしくはきっと理由などないのだろう。
「君は、本当に彼を殺す必要はあったのかね~?」
くだらない。
ああ、その質問は全く持ってくだらない。
「そんな質問に意味は無いですねー。私はただ、彼が「殺して」といってから殺しただけですよー。それ以外の他の何物でもありません」
私は真っ直ぐにふー君の眼を見つめた。
「貴方も知っているとおり、私は殺し屋なんですよー。では依頼はしっかりとこなさないとねー?」
ふー君の眼には微塵の揺らぎはない。もちろん私にもだ。
「ただ、それだけのことですよ」
私はそう言い、言葉を締めくくった。
「ふんふん~、つまりこれは依頼だった、ということだね~?ではなんで明確に依頼される前から彼に関わって、彼からその言葉を聞き出すまでひたすら待ち続けたのかな~?」
私の視線が揺らいだ。
「君の仕事は依頼されてからが仕事だろう~?じゃあなんで、彼が死にたくなるように仕向けたんだい?」
「……」
ああ、うるさい。
そんなの、どうだっていいだろう。どうだって。
「何が、目的ですかー……?」
頭が痛い。
「いや、自分には特に~?ただ自分は面白いことを求めているだけだよ~。それに関わって、それを観て、ただ愉しむ。そう、それだけなんだよ~。だから君には期待しているんだよ~、殺し屋さん?」
なにを言っているんだこいつは。
「じゃあ、自分はこれで~」
「待て……!」
どこかへ行こうと歩き出したふー君を止めるようとしたが、ひどい頭痛でよろめく。
彼が歩いていった方向を見ると、いつの間にかその姿は消えていた。
「……チッ、うざったいやつですねー」
ひとまず虚空に向かって文句を放つ。
幾分か経つと頭痛も引いてきたので、再び帰路を歩きだすことにした。ふー君がなんて言ったか、そんなことはくだらなさ過ぎてもう忘れてしまった。
ああ、きっとどうでもいいことなのだ、それは。思い出す必要もないくだらない些事。
ただそれは、私に気持ち悪さだけを残していた。
・・・・
体調管理も大切な仕事である。いつ何時依頼が舞い込むかもわからないのに、それを体調不良でできませんでした、では信用を失ってしまう。
だから今のこの状況は、完全な私の気の緩みだ。
「……げほっごほっ」
せき込む。
体がダルい。熱も三十八度。まごうことなき完璧な風邪だ。
昨日は体調不良という名目でただサボっただけだったが、本日本当に風邪をひいて学校を休むことになってしまった。まさかこんな形で嘘が現実になるとは。世の中どうなるかわからないものである。
風邪なんて数年ぶりだ。学生時代にひいたぶりではないだろうか。風邪ってどんな風にしとけばよかったっけ。
頭が働かない。
なんで風邪を引いたかって、若干の予想はついてはいるのだ。昨日、雨の中を傘もささずに歩いていたのだ。それに加えて、家に帰ってからも特にはあったかくもしなかったし。大体はそのせいだろう。
かといって、それだけで体調を崩すとは予想外であったことも事実だ。高校生になって数か月経ったとはいえ、この若い身体にはまだまだ慣れていないのかもしれない。これからは一層気を付けていかなければ。
「げほっごほっ……ぐぉっほっ!」
ひときわ大きく咳き込み、乙女らしからぬ声が出る。
(いかんいかん、これでは殺し屋失格どころか社会人失格ですねー。いやその前に女性として終わってるのでは)
何はともあれ、今日はゆっくり休んで、体調を戻すことに専念することとしよう。無駄に動き回って風が長引く、なんてことは流石に愚かすぎる。
お休み私。
どれだけ経っただろうか。
ふと目覚め、時計を見てみると、すでに学校も終わり、皆は遊びに行くか帰るかであろう夕方近くの時間帯になっていた。
(おっとー?よく寝たようですねー自分。まあたまにはこういう日もいいでしょう、うん)
しっかりと休みを取ったおかげか、気分は随分と良くなり、ほとんど治ったといっても過言でもないくらいとなっていた。
布団から身を起こし、大きく伸びをする。
(今日の授業は何をしたんですかねー?)
あまり気になるわけでもないが、普段はそこにいるはずの場所に自分がいないとなんだか妙な気分になるのも確かだ。私もここでの生活に随分と慣れてきた、というか順応してきたということか。悪く言ったら毒されているのかもしれない。
悪く言った意味は特にないけれども。
気になることといえば。
私は昨日じー君を殺害した。それは確かだ。その帰りのことを思い出す。
(ふー君……あの不死者は何をしていたのだろうか)
昨日は当然のことながら平日昼間のため、そもそも学校があるだろうし、偶然出会ったとは非常に考えにくい。
あいつは私が昨日、じー君を殺しに行くことが分かっていたのだろうか。いや、きっとわかっていたのだろう。
出なければわざわざあの時間に、あの道に出張っているわけがない。
あいつは私が殺し屋であることを知っていた。
ということは私をここに連れてきたあの女とつながっている可能性がとても高い。かといって本人であるかと聞かれれば、その可能性は低いだろう。
声が全く違っていた、ということもあるにはあるが、それよりもそれぞれの状況がそれを物語っている。
あの女は私に誰かを特定されないように姿を一切見せなかった。かつ余計な情報を与えないよう、私とのまともな会話すら絶っていた。
それと比べてふー君はそれが全くない。
私の目の前には頻繁に現れるし、自分の正体に関して隠す素振りすら見せない。私のことを知っているということも露骨にアピールするし、情報の断絶という事柄に関して、あいつはあまり興味がないように感じた。
それすらもブラフである可能性ももちろんあるが、おそらくそれはあるまい。それがあったとしたら、大した役者だと褒めるほかない。
だが逆にだ。
ふー君は情報の漏洩に対して興味がなく、あの女は情報を漏らしたくない。そこの相違に付け入る隙があるかもしれない。しばらくはふー君から情報を抜き出すチャンスをうかがうのもアリだ。
まあ、必ずしもあの女の情報をいただく必要は全くない。私は別にあの女をどうこうしたいわけでもないし。
私が半分だけ体を起こしながら、しばらく思考に沈んでいると、
ピンポーン。
チャイムの音がした。
(どなた何事何用か)
少しリズミカルな感じで思いながらも、とりあえず返事をすることにする。
「はいはーい、どなたでしょうかー?」
しばらく間が開く。
「あっ、返事聞こえたよー!元気してるみたいだよー!」
「……はあ……」
扉の向こうでくぐもってはいるが、すでに聞きなれてしまった二人分の声が聞こえた。
体調がよくなったとはいえ、起き上がってみるとやっぱりまだまだだるさは残っていたので、ゆらゆらと緩慢な動作で部屋の扉まで向かう。
扉を開ける。
「いらっしゃー……」
「大丈夫!?元気してた!?倒れてもう元気なくてそれでなんかどうかなってるんじゃないかと心配してたんだよー!?」
予想外の勢いを持ったそこの少女に気圧され、言葉が途中で切れる。
その少女の後ろには、見慣れたほの暗い顔をした少女が立っている。今のその顔は、はあと溜息でもつきそうな表情をしていた。
いうまでもなく、そこにいたのはげんちゃんとしーちゃんで。その様子はいつも通りで。ただ、いつもと少し違うところといえば、げんちゃんの手には何かのビニール袋を持っていた。
「それで、何しに来たんですかー?」
とりあえず二人を家に上げ、テーブルの席に着かせる。
その様子からある程度の予想はついていたが、まあ一応聞いていた方がいいだろう。私の勘違いだったら恥ずかしいし。
「フッフッフッ!さあ!逆に聞きましょう!一体全体何しに来たのでしょう!」
今日も相変わらず元気だなぁ。
質問とは全く関係ない考えが頭に浮かぶ。
「……病人にそんなこと聞いてどうするの……?わたしたちはさっさとずらかって、しっかりと休んでもらった方がいいでしょう……?」
しーちゃんは相変わらず辛辣だなぁ。
まあ、ここはちゃんとげんちゃんの問いに答えて行った方が無難だろう。
「もしかして……」
「そう!お見舞いだよ!お・見・舞・い!これはその品!これ食べて元気出してね!」
答えようとした矢先、げんちゃんが自分で言った答えに、私の答えは完全に呑み込まれてしまった。
まあいっか、そんなことは。
「その袋には何が入ってるのかなー?」
その白いビニール袋は完全に不透明なやつで、中身はよく見えない。若干見えるものとしては、赤い……丸い何か?
平時ならばきっとわかったのだろうが、思ったよりも頭が回っていないらしい。それが何なのかうまく認識できない。
「この中身はねー……?」
げんちゃんがその袋に手を伸ばす。
でも、そこで私は一体何を考えてしまったのか。
げんちゃんがソレを取り出す。
――私の眼には、それは紅い紅い、人の頭に映った。
それが誰かも知らない、でも見覚えだけはある、誰かの生首。
違う、違う、違う、違う、違う――!!
私は思わず、それを弾き飛ばす。
「……!!」
げんちゃんが驚いた顔をする。
「……どうしたの……?」
しーちゃんが冷静に私に尋ねる。
床には、赤い、ただの林檎が転がっていた。ただ赤いだけの普通の果実。
「え、いや、これは……」
自分自身の予想外の行動に、私は激しく動揺していた。
とりあえず謝ろう。
私がそう思い、げんちゃんの方を改めて見る。
だが。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……っ!」
そこには見たこともないげんちゃんの姿があった。その眼は焦点が合っていなかった。
「……え……?」
しーちゃんもそんなげんちゃんの姿に驚いているようだ。
私たちが驚いて何もできずにいるのも束の間、げんちゃんは私たちの方を改めて見つめると、
「……っ!」
一瞬だけ、何か言いたげな顔をしたが、結局何も言わずに扉を押し開けて出て行ってしまった。
「……待っ……!」
いくばくか遅れて、思わず手を伸ばすが、当然のことながらその手は何もつかめずに空を切った。
「……なんだったんでしょうか……?」
しーちゃんが言葉を漏らす。
それは私にもわからない。げんちゃんと私は出会ったせいぜい数か月だ。彼女が背負っている物も何もかも知らない。私が知っているのは彼女の表面だけ。
ただ、今の私にはそれがとてつもなく寂しく感じた。
たかだか数年程度で、きっと断たれる関係であるのに。唯の仮初以外の何でもないのに。なぜかそれだけが、私の心に引っ掛かった。
しばらく呆然と立ち尽くしていたが、幾分か経つと流石に我に返った。
「……貴女、なんであの子の手を振り払ったの……?」
時間がたち、私の頭も落ち着いたので冷静に答える。
「……いや、アレは別に違くてだねー……。」
「……じゃあ何なの……?」
しーちゃんは追及する。
「いや、ただ……」
それでも私が歯切れ悪く口ごもっていると、
「……まあ、いいでしょう。どうせ貴女のことですから、きっとろくでもないことでしょう……?それをわざわざ掘り返す気はありませんよ……」
理由はともあれ、それ以上の追及は諦めてくれた。
そうだ、流石に林檎が人の首に見えただなんて言えない。それも、その首にどこか見覚えがあるだなんて。
ただの私の見間違えだ。勘違いだ。気にするほどでもない。別に伝える必要があるほどのことでもない。
黙っとくことがきっと最善だ。
「……なんにせよ、あの子の様子は尋常なものではありませんでしたね……」
そんなことよりもそれだ。
「そうだ、げんちゃんのアレは一体何だったんですかねー?」
「……ごめんなさいって何度も謝っていましたね……。それにしても、なんであんなに執拗に謝っていたんでしょうか……?」
仮にげんちゃんが、私の気に障るようなことをしたと思って謝っていたとしても、流石にあの姿は異常であった。
何度も繰り返す謝罪の他、アレはどう見ても怯えていた。それも尋常じゃなく。
どう見たって普通じゃない。
「でも……、何も知らないのにいくら考えたって仕方がないねー。ひとまず今日は解散しようかー?」
誰かと一緒にいたい気分ではなくなったので、帰りを促す。
「……そうですね……」
しーちゃんも同じような気持ちだったのか、素直に承諾する。
「とりあえずお見舞いに来てくれてありがとねー。見舞い品は有難くいただくよー、もちろんこの林檎もね」
床に転がっていた林檎を拾う。
「げんちゃんにも感謝していたと伝えておいておくれー。あとごめんって」
「……そんなことは明日、自分で伝えてください……。そのためにもそれ食べて元気出して、明日には元通り学校に顔を出すようにしてください……」
「全く、その通りだねー。たまに出るしーちゃんの正論にはぐうの音も出ませんよー」
しーちゃんの言葉に頷く。
「……それはどうも……」
「ではではー、また明日―」
そうして、しーちゃんも扉から出て行き、私は再びこの部屋で一人となった。
「はぁ……」
思わずため息が出る。
林檎が生首に見えるなんて、私はどれだけ疲れているのか。いや、それとも……?
私はかぶりを振る。
そんなことを考えても仕方がない。明日からこういうことが起こらないようにせねば。
私はげんちゃんからの見舞い品を覗く。
中には林檎などの果物を中心とした、身体によさそうな食べ物が多く詰まれていた。
「……ごめん」
聞こえないことなど百も承知で、でも私のことを思ってくれたげんちゃんに申し訳がなくて、思わずつぶやく。
落ちてしまったリンゴの皮を剥き、食べやすい大きさに切って、それを口に入れる。
風邪だからかその味はとても薄く、ほとんど味がしなかった。