1/27
あるものの独白
とあるところに人間がいました。
その人間は当たり前のように普通に生まれて、普通に生きて、普通に死んでいくはずでした。
しかし、何の因果でしょうか。
その人間は「普通」の道を踏み外してしまいました。
理由なんてものは知りません。
もしかしたら、そんなものは無かったのかもしれません。逆に、やむにやまれぬ理由があったのかもしれません。
ですが、そんなことは考えてみても憶測の域を出ません。言ってみれば、考えるだけ無駄です。
だから私に言えることは一つだけ。
自ら「普通」を拒絶し、「異常」の道へと進んでいったその人間は、すでに普通に生きることは許されませんでした。
まあ、まずは……ね?