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Dear My Doctor  作者: 美月沙紀
9/17

お昼の部室

結局、ゴールデンウィーク後、僕は地域医療研究会に正式に入部した。新入生は、僕と高岡さんと渡辺くんの3人。他にも数名見学には来たが、入部には至らなかったようだ。


入部して半月ほど経ったある日、昼休みにたまたま部室の前を通ろうとすると、背後から、「三杉くん!」と呼ぶ声が聞こえた。振り向くと、美月さんがこっちに向かっていた。


「こんにちは、これからお昼?」

「いえ、もう昼ご飯は食べて、どこかで時間潰そうと思って…」

「あ、そうなんだ。じゃあ、部室寄っていかない?誰か来てると思うから」

「えっ、あ、はい」


特に断る理由もないので、僕は彼女と一緒に部室に入っていった。中には、佐藤さんと高岡さんがいて、何やら楽しげに喋っていた。


「お、三杉くん」

「あ、どうも、佐藤さん」

「お昼来るの、珍しいね」

「美月さんに声かけられて…。みなさん、いつも集まってるんですか?」

「人によるね。だいたい毎日、入れ替わり立ち替わり、誰かが来てるよ。この部室、綺麗でしょう?冷暖房完備だし。本とか漫画とかあるしね」


なるほど…


「美月なんかはしょっちゅう来てるよね」

「う〜ん、そうですね〜。私、集団行動できないから、グループでランチするの、苦手で」


へぇ〜、なんか意外…


「ランチの時に限らず、基本的に単独行動してる方が好きかも。ここでたまたま来た人とお昼食べながら喋ったりするのはいいんだけど」


「彼氏と一緒は好きじゃないの?」

間髪いれずに佐藤さんがニヤリとして聞いた。彼氏?


「この人、教育学部に彼氏いるの」

「いいじゃないですか、彼氏のことは!」

「どうやって教育学部の人と知り合ったんですか!」

高岡さんが目をキラキラさせて聞いた。

「まぁ、知り合いの友達だったんだけど…」

「でもあれだよね、キャンパス別になったから、一緒にいられなくなっちゃったね」

と、佐藤さん。


あ、そうか、教育学部は隣の市にあるんだよな…


「いいですよ、私のことは。佐藤さん、自分の心配してくださいよ。夏希さん、実習で忙しいから、あまり一緒にいられないんじゃないです?」

「まあね。別に僕は構わないんだけど。三杉くんは?彼女いんの?」

「は?」この人はいつも唐突に話を振ってくる。

「いや、僕は…。あ、僕、もう行かなきゃいけないんで」

「そう?まぁ、また今度ゆっくり話しよう」

「いや、まぁ、あの、失礼します!」


僕は逃げるように部室を去った。



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