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Dear My Doctor  作者: 美月沙紀
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Topic 1〜脳死・臓器移植 続き

「これからディスカッションを始めます。まず、脳死は人の死と言えるのか、について、賛否両論あると先程説明しましたが、皆さん、どう思いますか?」


「私、人の死だと言えると思います!」


夏希さんの問いかけに、入部したばかりの高岡さんがいち早く反応した。勇気あるなぁ…


「だって、脳幹も機能しなくて、人工呼吸器つけて延命してるだけで、復活することもなく、そのうち死んでしまうんでしょう?それだったら、脳死の地点で死と認めて、そんな延命措置しないで安らかに死なせてあげたほうがいいと思います。」


「どうかなぁ、僕は疑問だなぁ」

医学部3年生の中村さんがやんわりと言った。

「え、どうしてですか?」

「医療従事者や臓器提供を受けたい患者さんの都合で、別の誰かの死を決めるのはどうかと思うんだよねぇ。」


確かに、臓器移植の必要性から、脳死を死とするかどうかの問題が出てきてる面もあるので、それもどうかと私も思う。


「人の死って、肉体が物質的に機能しなくなったら終わりって、線引きできるようなものでもないしね。」

「じゃあ、中村さんは、臓器移植を待ってる患者さんを見殺しにするんですか!」

高岡さん、あんた、見殺しって…


「いや、別にそういう訳じゃないけど…」

好戦的な高岡さんの態度に、中村さんがちょっと怯んだ。


どうも、医学部の人って、自分の意見が否定されたりすると、すぐカチンときて、攻撃的になる人が多い気がする。プライドが傷つくのかな?私もそういうとこあるけど。そういう自分嫌いだけど。


それについて少し議論があった後、夏希さんは、「自分や家族が脳死になったら、臓器提供したいと思うか」と皆に問いかけた。


「私は自分の臓器は提供したいな。自分の臓器が誰かの中で生き続けて役に立つのもいいかなと思う。」と、看護学部の3年生で、夏希さんと仲の良い松野弥生さんが、なんとなく嬉しそうに言った。


「家族だったら?」佐藤さんがニヤっとして聞いた。

「家族だったら…、考えちゃうなぁ。」

「私は、家族でも臓器提供してもらいたいと思います!」と高岡さん。積極的だ!


「沙希ちゃん、どう?」夏希さんが振ってきた。

「私は…臓器提供してもらいます。両親にはそう伝えてるし、両親もそうして欲しいって言ってます。」

「家族でちゃんと相談してるんだ。エライね!」と佐藤さん。


まぁ、エライというより、そういう議論が好きな家族だからな…。



その後、法制に賛成か反対か、など議論がされ、研究会自体は終わった。


「これから飲み会するけど、新入生、みんな来れる?」

「私行きます!お酒飲めないけど」と高岡さん。

「渡辺くん、どう?」

「あ、大丈夫です、行きます。」

「三杉くんも一緒にどう?入るか決めてなくてもいいから」

「じゃあ僕も…」


やった!誘った甲斐あった!お手柄、私♪


そして、みんな飲み屋に移動した。


昔よく議論しましたが、だいぶ忘れてしまいました…。ちなみに、法制化したのは1997年で、この話はその前、という設定です。

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