出会い2
あれぇ?いないのかなぁ?
どこかの部に連れて行かれちゃったのかなぁ?
いい加減に疲れてきた私は、ハァっと1つタメ息をついた。
先輩に頼まれて(命令されて?)三杉琢磨くんとやらを探しているが、それらしき人は見当たらない。
といっても、私が持っている情報は、彼が福岡県出身で、高校時代は帰宅部だったってことだけだから、わかるもわからないもないのだが。
どういう手段を使っているか知らないが、毎年上級生が新入生の個人情報を引き出して、それを元に新入生を自分達のサークルに勧誘する。その個人情報は、出身地、出身高校名、高校時代の部活や業績(インターハイ出場、とか)などなど。カッコいいとか美人だとか、そんな情報まで出まわる。
まぁ、もうちょっと頑張るか…と校舎の出口を見たとき、ある男の子と目が合った。
えっ、外国人?
色黒で、大きい目をクリクリさせている。タイとか、その辺の人かな?
すると、彼はそろそろとこちらの方に寄ってきた。
「あの、えっと、僕、三杉琢磨ですが、その、あの、…」
あ、やった!この人が三杉くんか!日本人だったんだ!九州の人って、こんな顔なんだな…
「はじめまして、私、美月沙紀っていうの。2年生なんだけど。これから、ランチ行くんだけど、一緒に行かない?」
「え、あの、どういう…?」
「あ、これね、新入生歓迎企画なの。サークルの紹介兼ねて、部員と新入生でランチするの。おごるから、来て来て!」
「でも僕、地域医療研究会に入るなんて決めてないし…」
「いいのいいの!それは後で考えてくれればいいから」
ハァ、それなら、と彼は承知した。やった!これで、先輩のミッションclear!私は彼と、他の新入生2人とともに、ランチ会場へと向かった。
それが、私と三杉琢磨くんとの出会いだった。