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Dear My Doctor  作者: 美月沙紀
10/17

夏休みのMac

私、美月沙紀の2年生の夏休みはアッと言う間に過ぎた。8月には、サークルの合宿で、山の中のとある村の診療所に行って、農村医療の勉強会やフィールドワークを行った。合宿から帰った後、数日間実家に帰ったが、小間使いとして母にこき使われるだけなので、早々に下宿に戻ってきて、夏休み限定の食堂のバイトをしたりしていたら、いつのまにか、夏休みはあと数日になってしまった。


ある日、最寄り駅の前のMacで、たまにどうしても食べたくなるポテトをボーッとしながらかじっていたら、三杉くんがトレイを持って歩いてきた。こちらには気づいていない。


「三杉くん!」

一人みたいなので、私は声をかけた。

「あ、どうも…」

彼はペコっと頭を下げた。

「あ、もし良かったら、ここ来ない?」

一人でボーっとしているのにいい加減飽きた私は、彼を手招きした。

「あ、じゃあ…」

彼は私の向かいの席に腰かけた。


私は、久々に正面から三杉くんの顔をマジマジと見た。相変わらず異国情緒あふれる顔だが、表情が柔和なので、何となくこの顔を見ていると落ち着く気がする。


「どしました?」

彼に声をかけられるまで、私は不躾なぐらい、じ〜っと彼の顔を見ていた。

「ううん、なんでもないけど。…ねぇ、三杉くんて、歩いてて、よく人に道聞かれたりしない?」

「は?…まぁ、結構聞かれやすいほうかもしれないですね〜」

「観光地に行ったら、写真撮ってください、とか言われるでしょ?」

「たまに言われますねぇ。…どうしてですか?」「いや、ある意味得だなぁと思って。きっと、医者になったら患者さんの間で人気でると思うよ、話しやすいって」

「う〜ん、そうだと良いですけどね〜。美月さんこそ、人気でると思いますよ」


私はちょっとびっくりした。

「どして?」

「いや、なんというか…愛嬌あるから…。病院のマスコットキャラクターになったら、病院の収入上がるんじゃないですか?」

マスコットキャラクター⁈

「…それ、誉めてるの?貶してるの?」

「いやぁ、誉めてるんですよ〜」

彼はフニャ〜っとした顔をして、ヘラヘラ笑った。


と、その時、「沙紀!」と呼ぶ声がした。顔を上げると、私の彼氏、鈴木達也がトレイを持って立っていた…


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