chapter6 要介護認定?
【作者より】
久しぶりの更新です。
いつもより短めですが、ご覧いただけると幸いです。
祖母を施設に入所する決断をした今井家。
彰と里奈はインターネットで調べた資料を見ていた。
「要介護認定?」
「そんなものが必要なのか?」
「ええ。確か、お義母は受けてないわよね……?」
「そうだな……」
彼らは介護については素人のため、何からどう準備を進めていけばいいのか分からない。
複雑な表情をしている両親。
それを横目に沙耶は祖母を見守りながら、ペンを走らせている。
「パパ、ママ。この機会に「要介護認定」を受けてみた方がいいんじゃない?」
「……そうね……」
「それをやったら、すぐに施設に入所できるのか?」
彼女はペンを一旦止め、彼らに提案してみたが、両親の意見が合わない。
「パパ、それは私に訊かないでよ。実際に「要介護認定」をやってみないと分からないんだから!」
沙耶も社会科の授業で少し触れただけの内容だったので、そのことについてはあまり詳しくないのだ。
「す、すまん……」
「もう!」
「近々、「要介護認定」申し込みをしないとならないわね……」
「ああ。おそらく市役所だと思うから、平日だけだよな」
「そうなのよ」
彰は今までと同様に仕事をこなしているが、里奈は祖母の介護のため、休業している。
沙耶は普通に授業があるため、学校に行かなければならないので、彼女が祖母と一緒に市役所に行くしかない。
「沙耶、本当にごめんな」
「ううん、私こそさっきはごめんね」
彼は沙耶に謝った。
「あなた、今から準備しておくことをまとめておきましょう」
「例えば?」
「例えば、疑問点とか……」
「そんなんでいいのか?」
「いいのよ。些細なことでもなんでも。書いておけば忘れないでしょう?」
「そういえば、要介護認定の日は仕事を休まなきゃな」
「ええ。いつにしますか?」
「それはまだ…………」
彰と里奈の二人が話し合っているところを見ていた祖母が「楽しそうだねー」と沙耶に話しかける。
彼女はペンを置き、マグカップに入ったココアを飲みながら「そうだね」と答えた。
2017/08/06 本投稿