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ゲンソウトーレ  作者: 黒須
3/36

スズトーレRe03

人間

人里の住人のほかに外の世界からやって来た外来人が存在する。

基本的に弱者であり妖怪の糧であり、絶滅こそしないものの妖怪に対立する運命を持たされている。

もっとも大半の人間はそんな事情も知らず、妖怪と一緒に酒盛りをする程度にのんきである。


なお、妖怪じみた人間を「人妖」と呼ぶ。

○月○日

この日は運命の日だ。

私は店番をしながら以前、霊夢さんに封印してもらった艶書の写しを眺めていた。

私も一度くらい、こういうのを貰ってみたいな……と。

しかし、そう思い耽っている時に限って客が来るものだ。

そこに現れたのは……


×月○日

あれから時が経ち、あの人が鈴奈庵にいることは当たり前のようになっていた。

あの人の文に敬意を払い、書を踏破し、本を大切にする姿は私を魅了した。

ときどき現れる「あの方」とは別の魅力……

もしかしたら私は再び艶書の霊に憑かれていたのかもしれない。

それでも、止まることは出来なかった。


×月×日

阿求にあの人を取られた……いや、この表現では意地が悪いだろう。

阿求はあの人を稗田の大きな屋敷に招いて外の世界について聞いているのだろう。

外の世界の話なら鈴奈庵でも出来るのに。

阿求は自警団の稼ぎでは手の届かない紅茶や茶菓子であの人をもてなすのだろう。

あの人は本当は珈琲が好きなのに。


×月△日

その日、私は湖にある紅い屋敷に来ていた。

以前の礼がしたいということらしく、豪華な食事をいただいた。

その後は私が妖魔本を集めているという話題になり、大きな図書館に案内された。

ぞくぞくする感覚とあの人がいない虚しさが同居する中、私はある本を見つける。

魔女の方からは薦められないと言われたが、お嬢様からの言もあり私はそれを手に入れた。


△月○日

あの人と阿求の逢瀬が終わることはなかった。

いいや、そんな男女の用事じゃないことくらいは分かっている。

どうやら本当に艶書の魔力に中てられたのかもしれない。

いつも通り、返却された本からあの人が欲しがる外来本を予測する。

だが、その日は目当ての本の隣に別の本を用意しておいた。


△月×日

効果はてき面だったようだ。

あの人が鈴奈庵を訪れる時間が早くなり、帰る時間が遅くなった。

まるで、鈴奈庵こそが自分の居場所であるかのように……

違う、鈴奈庵はあの人の居場所なんだ。

私とあの人、二人の日常が鈴奈庵の日常なんだ。


△月△日

あの人が稗田の屋敷で粗相をしてしまったようだ。

吐き戻すなんて、やはりあの人はあの場所にいるべきではない。

きっと屋敷を出たらすぐに鈴奈庵に来てくれるはずだ。

服を汚してないだろうか、まだ体調は優れないだろうか。

そうだ、そんな体で夜道を歩くなんて危険に決まっている。


□月○日

今日は慧音先生がやって来た。

半人半妖というだけあって彼女は昔から変わらない美しさと、年々積み重なる深みを持っている。

あの人と二人きりで話がしたいと言われたので、一瞬ドキリとしてしまった。

いやいや、これでも私は妻なのだ。

時には黙って夫を信じるのも妻の仕事のうちである。


そう、考えた私は台所に向かった。

今日は両親ともに留守なので、お夕飯は私が一から作ることになっている。

良い魚が手に入ったのだからお鍋にでもしようか?




こちらの支度が終えたところで呼びに行ったが、どうやらあちらの話も終わったらしい。

慧音先生もお夕飯にご一緒するとのことなので食器を増やさなくては。

戻って来たら先生が面白い顔をしていた。

いや、白というよりは青い顔に見えるのだけど。

今日は鍋なのだから、もう少しはしゃいでも良いのではないだろうか。


「……小鈴、この鍋の出汁は何だ」


ああ、それに気付いたのか。

流石は半妖、鼻もそこそこ利くらしい。

私は答えなかった。

いや、沈黙こそが答えだった。

きっと、その顔なら私が何を入れたか予想がついているだろう。


遅れてあの人が入ってきたところで慧音先生は帰っていった。

まったく、せっかく食器を用意したのに困ったものだ。

だが、あの人との夫婦の時間を過ごせるのだから良しとしよう。


今夜は父も母もいないのだから、少しばかり夜更かしするのも悪くない。

結婚したとはいえ、まだまだ子供だと言うことで夜更かしが見つかったら怒られてしまうのだが今夜は特別だ。


微睡むまで、二人で本を読み明かそう。

5~6話を繋いだり伸ばしたりしたので無理があるかも。

まぁ、もともと句読点すら使い方が分からない奴のかいた文章だから……

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