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どうか、神さま  作者: 大石ゆう
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まえがき


僕にとって生きる事は辛い事、

願いは死ぬ事だ。


でもそれは、君に出会うまでの話。


僕が5歳の時に病に冒され、それ以来入退院を繰り返す日だった。いつ倒れるか分からない為、心配した両親は僕をろくに学校にも通わせなかった。その為、友達も1人もいなかった。

ほんとんど病院から出る事がなく、いつでも死と隣り合わせだった僕は将来の夢も憧れもなく、全ての事に対して無関心だった。

そして、17歳の時。

12月3日の朝、半分寝ぼけながらゆっくりと体を起こした。窓の外を見ると大雨が降っていた。(なんだろう、この胸騒ぎは...)急に胸がざわついた。その日は、僕の誕生日で両親が会いに来てくれる日だった。

すると、主治医の先生が慌てて僕の病室に入ってきた。

「今、警察から連絡があってね、君の両親が事故に会ったらしい!」

頭の中が真っ白になった。

先生は1度僕を勢い良く抱きしめた後、部屋の片隅にある車椅子に僕を乗せ、一緒に警察の人の話を聞きに行った。


両親は僕の入院している病院に向かっていた。その途中、交差点で右折しようとした両親の車に大型トラックが突っ込んできだという事だった。父は急いでハンドルを切ろうとしたが、大雨が降っていた為前が見えづらく気づいた時にはトラックと衝突し、何メートルも先に飛ばされ即死だったらしい。

そんな事をいきなり言われてもすぐに受け入れられる訳がない。これから僕は誰を頼りに生きればいいんだ。まだ親孝行もしてないのに、「ありがとう」も「ごめんなさい」の言葉も伝えてないのに。いきなり全てを失った僕は、みっともないくらい大粒の涙を流して泣いた。泣いて、泣いて、泣きじゃくった。


そしてその1週間後、食欲も気力も湧かずただ抜け殻のように過ごしていた僕はいきなり主治医の先生に呼び出された。診察に入ると普段しかめっ面しかしない僕に対していつでも笑顔の先生がその日は笑顔が全くなく曇った顔をしていた。

「…話ってなんですか?」

そして、静かな小さな声で

「……君は、もう…長くない……。」

それは僕の命が、後2年しか持たないという余命宣告だった。

両親が死んでから父や母は自分のせいで死んだと思うようになり、さらには余命2年という生きることに期限がついてしまった僕は生きる事が罪になり苦痛になり、生きる事を諦める様になった。むしろ、早く死んでしまいたいと思った。

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