過信と安心
「さて、どうしたものか 鉄格子何かされたら、どこにも逃げ場はないな」
一方その頃、悠斗は逃げ出す方法を考えていた。
「くそおおお。どれだけ考えても無理だああ。それにしても、おっさん いや、ベルムンクだったかな? 騙されてたなんて」
どこか、安心があったんだ。心が読めるという能力のせいで。
この能力が自分を安心させてしまった。
「どういうトリックかはしらないけど、心を読まれないようにしてたのは事実らしいな」
怒りより、悲しみが押し寄せる。
悠斗の目から一粒の涙が出るかと思うと、次々と涙は滝のように流れ出した。
すると、その時
「おい。泣いてなんかいられないぜ。悠斗」
顔いっぱいに浮かべた涙を拭いて、前を見るとそこには男が居た。
「あ、あんた 誰? それに俺の名前を知ってたようだけど。見張りかなにかか?」
「う~ん、あながち間違ってはないな。だが、見張りをする対象が違う。俺が見張るのはいかれた神様だ」
「いかれた神様?」
「ああ、悠斗も見ただろ。ベルムンクと言う奴とランダという奴だ」
「また、俺を騙すのか?」
「今はそう思うかもしれないが、これだけは信じてもらわないと困る。
後、少しで悠斗は死ぬかもしれないんだぞ」
「え、死ぬ?」
「ああ、詳しい事は今は話せない。あいつらが戻ってきたら困るからな」
そう言うと、その男はおもむろに鉄格子に触れる。
次の瞬間、マグマにでも照らされたかのように鉄格子は次々と溶けだした。
溶けだしたかと思うと言葉を出す時間もないぐらい素早く俺の手を握り、溶けきったろうのような鉄格子を後に外を出る。
先が見えないくらい狭い通路をもくもくと走る。
とりあえず、俺は男に質問をする。
「これから俺はどうすればいいんだ?」
「少し、離れてから説明する」
少し走ると、さっき走っていた道とは思えないほど、大きな空に出た。
そこで、思い出す。自分は雲の上に居た事を。
「よし、説明する。いつ、あいつらに気づかれるか分からないからな」
「ああ、分かった」
「まず、簡単に言うと、悠斗の力を使ってよからぬことを考えている。それは分かるな?」
「まぁなんとなく」
「そこで、こっから信じてもらえないかもしれないが、今の状況を打破するため、君には過去に行ってもらいたい」
「過去!?」
「ああ、あそこに丸い円が見えるな?」
指を差された方向を見ると、そこには確かにあった。
丸い円の輪郭に温かい光が灯っているかのように綺麗に光り浮いていた。
「あの円を使って過去に行くんだ。行く方法は簡単だ。あの円に入ればいい。それだけだ」
「本当・・・ なんだな?」
「本当だ」
俺は、その円をしばらく見つめて覚悟を決める。
ちょうど、その時だ。
俺は絶望を目にする。