裏切り
「上手くいったようだな。ベルムンク」
と、突然、現れた男はそう言った。
「はい 上手くいったようです。ランダ様」
「え?おっさん、何言ってんだ」
口ではそう言いながら、心では分かっていたのかもしれない。
瞬く間に僕は黒い鎖で拘束された。
僕は騙されたのだ。
「お前を騙すのは難しいと思ったが案外うまく行ったわい」
「おっさん...説明してくれ。どういうことだよ。おっさあああああん」
僕は何もできずにただただ、叫んでいた。
薄暗い、教会の中で。
気付いたら僕は黒い鉄格子の中だった。
どうやら、意識を失っていたらしい。
「どこだよ ここ」
「ところで、ベルムンク あいつはあのままで大丈夫なのか?」
「はい ランダ様 恐らく問題ないと思います。あの鉄格子から我々の場所までの距離はざっと、1キロありますので」
「そうだな おまえが言うのだから大丈夫なのだろう」
2年前~
「ベルムンク ある少年をここへ連れてきてほしい」
「少年ですか?分かりましたが、何故?」
「今はまだ言えない」
「分かりました」
「そのためにはこの少年の事を、詳しく調べてみる必要があるな」
「そうですね。その方が連れてきやすいですからね」
「そのためには2年はいることになるな」
「2年ですか?」
「ああ それほど、難しい相手なのだ。まずは心を読まれないように、しないとな」
「それほどまで、ランダ様が恐れる相手なのですか」
「ああ」
現代~
「ところで、ランダ様。あの少年は本当に凄い力を持っているのですか?
もうここへ連れてきたことですので、もう教えてもらえないでしょうか?」
「ああ、自分では気付いてはいない強大な力があの少年にはある」
「それはいったい・・・」
「あの少年の発する、磁場の量が他の人間とはまったく違うのだ」
「でも、磁場なら我々も人間以上に・・・」
「それが驚くことに我々より、磁場が強いのだ」
「まさか・・・」
「そこで、ある事を思い付いた。
この磁場を使って、放射線を作り人類をリセットする」
「リセット・・・ですか?」
「今の人類は私の想像以上に発展しすぎた。
神である私に追いつこうとまでしている」
「流石です。ランダ様」
「ふふふふははははははははははは」
薄暗い部屋に響き渡る、不快な笑み。
一体、この不快な笑みはいつまで続くのだろうか・・・