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プロローグ あの空の向こう

初めまして

夕凪です。現在中学生です。

本気で小説家を目指しています。

拙い文章ですが読んでくれると幸いです。

春の風が校舎の窓を叩く。昼休み俺は弁当を片手に、いつものように屋上のドアの前にいた。


「また鍵、閉まってるじゃん…」


その時、誰かが階段を登ってくる音がした。振り向くと、あいつ──風間湊飛が、重そうな工具箱を抱えて立っていた。


「おう、藤堂。今日こそ開けるぞ。」


「いや、開けるつったって…それ、物理的にか?」


湊飛が満面の笑みで頷くと、ドアノブの鍵にドライバーを突っ込んだ。


「だってさ、屋上から見たいじゃん。俺たちが飛ぶ空。」


その言葉に。俺は思わず笑ってしまった。


風間湊飛は、いつだって「空」に憧れていた。


夢は──自分達で作った飛行機で、大空を飛ぶこと。


普通なら、そんなの冗談で終わる。けれど湊飛は、冗談のままにしないタイプだった。


「…ぃよっし、開いた!」


カチリと錠が開く音とともに、屋上の扉が軋んだ。


湊飛が振り返り、誇らしげに笑った。


「行こうぜ藤堂!俺らの空を見に!」


俺は苦笑いを浮かべながら、彼の背中を追いかける。


あの背中を、俺は嫌というほど見ている。


「なぁ、湊飛。何回も聞くようで悪いんだけどさ。本気でやるつもりなのか?」


「当たり前だろ。…もうあんまし時間ないし。」


「時間?」


湊飛は柵の向こうに広がる青空を見上げた。


柔らかい風が頬を撫でる。


「親父が死んでもうだいぶ経つ。あの時決めたんだ。’’次は俺が飛ぶ’’って。夢を夢で終わらせないって。」


そう言う彼の声には、微かに震えがあった。


強がりでも冗談でもない。


その言葉は、あの時からずっと胸の奥に閉じ込めていた痛みの延長線上にあった。


俺は何も言えず、ただ湊飛と並んで空を見た。


澄んだ青、白い雲。


決して届かない場所なのに、なぜか手を伸ばしたくなる。


「…で?湊飛先生よ、どうやって飛ぶつもりなんだ?」


湊はニヤリと笑い、カバンから分厚いスケッチブックを取り出した。


ページをめくると、びっしりと描かれた設計図。


翼の角度や水深装置、素材の強度計算。


ただの高校生の落書きレベルをはるかに超えていた。


「’’sky project’’ だ。動力はドローンとかのモーターを4つ組み合わせて、ボディは軽量フレームで…」


「待て、湊飛。それ人を乗せるんだよな?」


「もちろん。──俺と、藤堂、お前だ。」


俺は一瞬、言葉を失った。


彼の目は、本気の光を宿していた。


「俺一人じゃ飛べねぇ。でも、お前がいれば、俺はどこまでだって行ける。」


ずりぃな湊飛。お前は。


心のどこかで、またあの頃のワクワクが蘇る。


子供の頃、夢中で紙飛行機を投げ合った放課後のように。


「やれやれ、お前って奴は。本当に止まらなぇな。」


「おう。止まったら、落ちるからな!」


そう言って湊飛はニッカリと笑った。


その笑顔は、あの空より眩しかった。


──その日から、俺たちの’’空’’が始まった。




風間湊飛 現在高校生


藤堂響也 現在高校生

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