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枯れ花に口づける鬼  作者: 夢咲 紅玲朱
穢土城編

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45/58

死人

流血表現あります

「うわああっ!?」


家来が悲鳴を上げる。


次から次に棺の蓋が開き、這い出てくる死人しびとたちは、歯をむき出しにして次々と襲いかかってきた。


城中の者が刀を手に応戦するが、普段から刀を握らない者ばかりだ。あやかしを相手にしたものも少ない。――無惨にも死人の餌食となった。


「上様を守れぇ!!」


皆、必死に将軍を取り囲み、盾となる。白木蓮は先頭切って死人の首をはねていった。


「上様を安全な場所へお連れせよ!」


だが、将軍は首を振った。


「あの小梅とかいう小僧がいる限り、どこへ隠れようと無駄だ。この城に、安全な場所などない。――・・・それに」


将軍は抜刀すると、家来の首へ迫る死人の口内を突き刺した。ズ・・・と引き抜けば、死体は崩れ落ちた。


「俺も久しぶりに暴れてみたくなった」


返り血が顔に飛ぶ。白い軍服を朱色に染める将軍は、どう見ても守られるだけの男ではなかった。


家来たちは眼を丸くする。将軍は「どけ!」と一声怒鳴る。あっさりと家来たちは道を開けた。


「し、しかし上様! なりません、お命が危のうございます!」


「武士でありながら刀すら満足に振るえぬ貴様らよりマシだ。――それより、大奥や女中たちのところへゆけ! 足手まといだ」


将軍は白木蓮の隣へゆくと、ニヤリと笑った。


「血がたぎるな、佐々木。あやかしは、人を斬るのとはまた違った趣がある」


「は。何匹斬っても罪にはなりませぬ」


将軍はもう一度、後ろを振り返り、もたもたする家来たちに「早くいけ!」と檄を飛ばすと、刀を構え直した。


「ゆくぞ、佐々木!」


「はっ! どこまでもお供いたします!」


二人はともに死人の群れへ突っ込んでゆく。次々に首をはね、血の花を咲かせていった。


将軍の腕は龍胆に引けを取らない。誰に教えられたのかは不明だが、隣で戦う白木蓮を追い越し、あっという間に先へゆく。


(この方は、将軍の器に収まる方ではないな)


もし世継ぎとして生まれていなければ、下手をすれば龍胆と同じく人斬りになっていたやもしれない。


高揚した頬、すがすがしい汗、絶えず唇を彩る獰猛な笑み――・・・。それらは明らかにこの状況を楽しんでいる。


あやかしを斬るのが楽しくて仕方ない。そう全身が物語っている。



――おもしろい。



白木蓮は笑う。この男の顔を龍胆に見せてやりたかった。きっと、三人、よい友になれるだろう。


そんなことを思いながら、白木蓮は付かず離れず将軍の背について行った。



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