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第七十七話 「天罰に呑まれる前に」


「………」


大崎君が死んじゃった。右腕が切断されてるし血塗れですごく血生臭い。ああ、本当に終わっちゃったんだなぁ……便利だったのに。

先生やみんなからの信頼も失った。頑張って積み上げてきたのに。


これからどうしようかな………もう何もかも無くなったから何もできない………


本当なら大崎君たちに邪魔な人たちを消してもらおうと思ってた。でも、何故か神代奎……

あいつは見透かすように私の秘密を浮き彫りにした………


こんなはずじゃなかったのに……


「ね、ねぇ陽菜ちゃん、なんで凛太郎君がここに?」


遠山は円道寺に聞く。


は?そんなの私も知らない。そもそもあなたたちが私を眠らせててたんだから知るわけないでしょ。まあ、先生が私のために魔力を使ってくれたのはちょっと嬉しかったけど。


「ねぇ、答えてよ……!」


遠山は何も答えない円道寺に掴み掛かる。そしてその時部屋に新たな人影が入ってくる。


「何かすごい音がしたけど……って、大崎君!?」


「神代たちが相手をしていたはずでは……?」


入ってきたのは相澤と寺岡。彼らは部屋の中の惨状に目を疑う。


あぁ……何でそんな目で私を見るの?私何もしてないのに。勝手に大崎君が死んだだけでしょ?

何で私が……


するとまたしても部屋に人が入ってくる。

入ってきたのは西園寺。そしてそれを見た円道寺は飛びつく。



先生!!今ならまだ挽回できるかもしれない。信頼を取り戻せるかもしれない。いや、そもそも私何も悪いことしてないし!!


確か大崎君は先生たちからしたら敵なはず……そうだ!


「せんせっ!!大崎君は私が仕留めたよ!!すごい?すごいでしょ!?私役に立ったでしょ?」


「円道寺さん……」


何……その目。なんで先生まで私をその目で見るの……!先生は私の味方でしょ!?前言ってくれたじゃんっ!!

うぅ、、痛い。痛い痛い痛い。

心が痛い。また、この気持ち……もう嫌なのに。なんでこうなるの。

嫌だ。私を独りにしないで。お願い。何でもするから。


「先生……?私本当は先生を助けようとしてたの。だから——」


すると円道寺は大崎の死体の方へと手を向ける。すると……


「えいっ!!」


大崎の死体は動き出し、それは懐に入った小刀を抜くと、それを寺岡へと突き出す、、、


「やめなさい!!」


「きゃっ!!」


その時西園寺が鬼の形相で円道寺を掴んで両腕を上げさせる。すると、大崎の死体はバタリと倒れた。


……なんで?なんでそんなに怒った顔……こんな汚いデブとは誰も一緒にいたくないでしょ?私みんなの役に立とうと……


「先生……!なんで!?私は役に立とうとしたのに!!あんなデブみんな言わないだけで誰も一緒にいたいと思わないでしょ!?」


「え………うぅ……」


「寺岡君…!」


円道寺に己の存在自体否定された寺岡は静かに泣き、隣にいた相澤が宥めている。


なんで……そんなデブ気にかけるの。せっかくの異世界だよ?不慮の事故だって言えばそんなカスいつでも殺せる。チャンスなんだよ!?


「円道寺さん、よく聞いて。」


何?先生?なんで、杖を向けるの。また眠らせるの?嫌。嫌だ!!眠っててもずっと悪夢を見るの!


「私は貴方が変わってくれたと思ってた。でも、貴方は変われなかった………」


何言って……変われなかった?そんなことないよ!私は変わった!あの頃とは違うの!!一緒にしないで!!


「だから、さようなら。」


次の瞬間、西園寺の杖から突風が発射された。それは円道寺を吹き飛ばして窓から天空に飛ばした……


「ぁぁあああつつつ!!!先生っ!?なんでつつ!!」


なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで!!!!


なんで私を突き放すの!?おかしいよ!それに、こんな知らない世界で独りで生きるなんて嫌だよ……


苦しい。痛い。風に頬が裂かれてる。肺がひっくり返りそう……


なんで、こんなことするの。私のこと嫌いになっちゃったの!?いや、そんなわけない。嫌われるようなことしてないし。


超高速で空を弾丸のように進み、速度が落ち、高度が落ちてきた頃、円道寺の視界に地上の景色が映った。それは、恐ろしいほどに広大な海。


え……?先生?こんなの私死んじゃうよ?私泳げないよ!?


円道寺は自分の生命の危機を感じて怯えた。その時だった……何処からか声が聞こえた。叱責の声。独りを晒し者にする声。


嘉山茉凛(かやま まりん)何故お前はこんな問題も分からないんだ!!』


え……嫌。なんでその名前を………嫌だ!!

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