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幼馴染は息をしない  作者: Sin権限坂昇神
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第一峠 5年ぶりのゲーム

ゲームのやりすぎにはご注意を……、というわけで始まります。完全に友達風吹かせていた主人公が生まれ変わった幼馴染を見てどう変化するのかをお楽しみください。

第一峠 5年ぶりのゲーム


 僕と――は産まれた時から一緒だった。――は体を動かすことが好きで、僕は部屋でブロックを組み立てるのが好きだった。

 九才の夏、二人で山登りに行った。僕と――の両親はまたいつもの所だろうと思って二人を見送った。……それが大きな間違いだと気づいたのは、僕が泣きじゃくりながら服をぼろぼろにして――の両親に助けを求めて戻っていった時だった。


(なで)(じま)はすぐへばるなぁ~」

「だって……」

「ほらほら、こっち来て」

「え、っでもそこ――」


 (がけ)の上で余裕の笑みを見せる――。確かに身体能力は段違いに良くて、近隣の山という山を幾度も踏破してきた。


「大丈夫だってぇ~。アタシ恐くないもん」

「僕が怖いの!」

「ふーん、じゃあ、もう一緒に遊んであげな~い」

「え!? 嫌だ!」

「じゃあ、こっち来てよ」

「う~ん、わかったよ……」

「ほら、見て見――


 ボロ……


「ん?」


 ピシィ……


「あ――」

頭乃(かしらの)!」

「と……う――」


 崖の先端と一緒に崩れ落ちる――に向かって手を伸ばす。けど、――の手も僕の手もどれだけ伸ばしても、届けやしなかった。あの時、僕が山登りを止めていれば、あんなことにはならなかった。






 カチカチカチ……。今日も起きた瞬間からテレビゲーム三昧(ざんまい)の朝が来た。学校に行かずにストレスフリーな組み立てゲームを遊ぶ日々。中学に入ってすぐにいじめに()ってからずっとこんな毎日を送っていた。親は最初の頃は何度か学校に行けと言ってきたが、一カ月も経つと(あきら)めたようだった。自分がここまで心が壊れやすいとは思わなかったが、今思えばどうしようもないと思う。学校の先生もグルだったし、親に言えばもっとひどい目に遭わされる。

 だから僕はこの道を送るんだ。

 全部あいつらが悪い。

 早く神様が下りてきて天罰を下してほしいと願いながら、今日も何度やったか分からないくらいのゲームを飽きずに遊んでいた。


 そんな日の朝。


――ぴんぽーん


「お届け物です」


 ……。

? 母さんの声がしない。そういえばさっき買い物に行ってたんだった。


――ピンポーン


「どなたかいませんかー?」


 うるさいな……。はあ、別に自分のじゃないけど、ま、いいか。さっさと終わらせよっと。


ふう……。やっとうるさいのが居なくなった。……けど――、何だろ。父さんと母さんどっちのだろ……? 自分宛て? でも友達だって――、


 ……いや、いいよ。もう何でも。


 結局持ってきてしまった。自分の部屋は出来るだけ広くしておきたいけど、しかたがない。

 でだ。これはなんだ? 自分の胴体(どうたい)よりも一回り大きいや。

中身を開けて見ると――、


『1分の1スケール-幼馴染- 君だけの長馴染みをあなたに……』


 でかでかと文字が書かれた割に絵は全くない。側面も注意書きと名前だけ。

 そもそもこんな商品を買った覚えが全くもってない。他の家族なら前もって言っているはず、……忘れてるとか? ……まあどうでもいいか。


「……」


 文字だけだと、やっぱり気になる。中に何が入っているか。一度開けて見るだけ……。そう思いながら箱の誘惑に負けた僕はいざ、透明な(うす)い袋を()いで、箱を開けた。


「……ちょっと大きい……けどただのプラモデルの原型じゃん」


 少し期待していただけに、これといった意外なものは見当たらない。僕はため息をつき、箱を戻した。丁度二人揃っている時に両親に白状すると、父と母は顔を見合わせて「お前の物じゃないのか?」と首を(かし)げてきた。でも通販なんて一度もやったことがない。そんなこんなでこの箱は僕のものになった。


 箱には送り主の情報が一切ないし、郵便局員の人の服も観ていなかったので、とりあえず郵便局に連絡してみたが、そもそもその日は自分の家に送った局員はいないそうだ。謎が深まるばかりだ。


 だが、それよりも――、


「だったら作ってもいい……よな」


 だんだんと組み立てたくなった。ずっとやっているゲームは組み立てて物を作るゲームで、家具でもロボットでも、更には人間やモンスターでも作れるゲームで、何度やっても飽きないのだ。そう、僕は組み立てるのが大好きなのだ。

組み立てたいな……。どうしようもなくそう思ってしまった僕は、受け取った日の夜から謎のプラモデルを組み立て始めたのだ。


 ――それから一年後、パーツ数十万個を全て組み立て終わり、ついに最後の工程。


“最後に『(たましい)』と書かれた赤い液体を口の中に流し切れば完成!”

「……これが……魂」


 説明書に書かれるまま、手のひらサイズのビニール袋の中に入った赤い液体を鋏で開けると、(こぼ)さないようにしながら慎重にこれの口の中に流し込んだ。全部流し切ると、僕は全ての集中力を使い果たしたように大きなため息をついてベッドに突っ()し、


「やっと……完成したぁー」


 そしてそのまま、深い眠りに落ちていった。






 チュンチュン……。

小鳥の鳴き声が聞こえる。そういえば完成したのが深夜の四時ごろで……、あ。もう昼の三時か。はあ……また朝と昼ごはん食べ忘れた……母さんに叱られる……。しかも風呂も入り忘れた……最悪だ。そんなことを思っていたその時。

カチカチカチ……。いつの間にかテレビが付いていて、いつの間にかゲームが起動して、テレビの真ん前に――、


「ん~と、これがこうで……。あ……しくった」


 完成したプラモデルがまるで最初から生きていた人間のように、テレビゲームで遊んでいた。そしてどこなく見覚えのある後ろ姿を見て、ふと思った。


あれ……? え、でも……嘘だろ。五年前に死んだ幼馴染の『頭乃(かしらの)峠爪限無(とうげつめかぎりなし)』のことを思い出した。

何か思いついたので書きました。また思い出したら続き書きます。続きが観たい人は待っていてください。

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