表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/97

出会い 『ボランティア部』

「はーい、みんな。来てくれてありがとう。まだドリンク頼んでないけど、先に挨拶だけやらせてね。これより、ボランティア部の新歓コンパを始めまーす!」


 部長の掛け声で、新歓コンパは始まった。

 記念にすると言って、片手にはビデオカメラを持っている。


 会場は、駅の近くにある居酒屋の宴会用座敷を貸し切って行われていた。

 これで一年生はタダなんだから、大学生ってすごいと思った。


「俺は部長の麦畑(むぎばたけ)幸一(こういち)でーす! みんなからはムギって呼ばれてるから、そう呼んでねー!」

「副部長の米富美礼(こめとみみれい)でーす! コメって呼ばれてるから、そう呼んでねー!」


 ムギさんは陽気な人で、元気の良さなら信二といい勝負になりそうだ。

 コメさんも明るくて、ショートカットが似合うきれいな人だった。


 第一印象では、本田たちにあった違和感を感じることはなかった。二人とも三年生で、ムギさんが僕らと同じ日本文学科。コメさんは、外国語学科だそうだ。


「えー、みんなも知っての通り、この部は部員もボランティアで成り立ってる、ゆるい部です。つまり、ほとんどの人がかけ持ちってことね。だから、べつに気負うことなく気軽に入ってくれていいから! ま、今日は先輩や同級生と仲良くなるいい機会にしちゃってくださーい!」


 来ている人は先輩も合わせてだいたい三十人くらいか。

 あのときの経験からつい、怪しい人がいないか警戒してしまう。


「大丈夫だよ。なんかあったら、あたしらが守るって」


 正面に座るアキラちゃんが、ずいぶんと頼もしくて男らしい言葉をかけてくれた。

 悔しいが、すごくかっこいい。


「あ、ありがとう。そういえばアキラちゃん、どうして誘ってくれたの?」

「だって、あんなことがあったし。サークルに自分から入ろうなんて思わないでしょ? でも、せっかくだったら見れるもの見といたほうがいいじゃん。みんなが一緒なら安心だし、ここの部長と副部長は、信用できると思うから」


 なんだ、そんな気遣いまでできるのか。

 惚れそう……っていうか惚れる!


「ときめいてるとこ悪いが、ドリンク決めてくれ」


 人が恋に落ちかけていると、衛が横からメニュー表で遮ってきた。


「はい、じゃあみんな飲み物は来たかな? そんじゃ、乾杯!」

「「「かんぱーい」」」

「おれ、永犬丸信二! よろしく!」


 信二はさっそく席を回って、周囲の人と乾杯をしていた。


「コミュ力高いな~」


 信二のこういうところは、本当に尊敬する。


「みんな、かんぱーい」


 ムギさんとコメさんは、両端から順にグラスを当てていった。

 席は、長い二つのテーブルに男女で向かい合って座っている。最初に先輩の誰かが「合コンかよ!」とツッコんでいた。


「鳴水さーん。友達誘ってくれてありがと~」


 コメさんがグラスを持ったまま、アキラちゃんのところへやって来た。


「いえ、みんなが優しかっただけです」

「あ、超絶美人アキラちゃんだ!」

「……なんですか、それ」


 いつの間にか、僕の後ろにムギさんが立っていた。


「あはは。いいじゃんか。それより、はい! みんなカメラに向かって自己紹介!」


 照れながらも僕と衛、いづみちゃんとアキラちゃんが名乗っていると、離れていた信二も戻ってきてムギさんと熱い握手を交わした。


「いいねぇ、みんないいキャラしてるねぇ。ま、入るか入らないかは別にして、今日は楽しんでよ」

「はい、ありがとうございます」


 ムギさんとコメさんは手を振ると、他の新入生にもカメラを向けてまわった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ