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出会い 『星降る裏話』

「……もういいよ、アメ」


 僕が呟くと、空から星が落ちてきた。

 いや、それはもちろん星ではなく、空に展開していたアメの光だった。


 さっき好き放題言われたが、僕だって実はちゃんとやることはやっていたのだ。

 まぁ、厳密に言えば僕がではなくアメが勝手にやったのだけれど。


 金髪豚野郎が現れ、ファイアボールを放とうとした瞬間、アメは勝手に空へと舞い上がり、結界を作った。その結界は、僕らがいた場所の周囲を無人の土地で囲んだ。


 つまり、あのとき僕たちが見ていた景色は本来あるべきものではなく、この近辺に存在する無人のエリアをかき集めて作られたものだった。

 だから、あれだけ派手に暴れても誰も来なかったし、ヨイチが戦っていたこともわからなかった。


 恐らく、ヨイチだけが男たちの襲撃に気づいたのもアメの仕業だ。


 アメはヨイチの近くの景色を男たちがいる場所と繋げた。

 ヨイチが迎撃に向かうと、僕らが気づかないようにまた別の土地に繋いだ。その後、また繋げ直したもんだから、ヨイチはまるであの場に発生したかのように現れたし、本来いるはずのない場所からのヨイチの奇襲はなんなく成功したのだろう。


 無意識のうちに、ため息をついた。


 こんなこと、僕にはできない。


 アメの意思で力を使ったときだけ、こんなむちゃくちゃな芸当ができる。

 情けないと思う反面、こんな力を恐ろしく感じる。力の強さはもちろん、この力の存在が周りの人に与える影響が、恐ろしくてたまらない。


 みんなに言いたいけど、言いたくない。


 どんな反応をされるのか、不安でしかたがない。


 みんな少なからず個性を見せてくれた。それは、ある意味信頼されているということだろう。なのに、僕は隠し事をしたままだ。


 僕は築きかけたこの関係を壊したくない。

 話すにしても、もっと関係を深めてからでないといけないだろう。

 いや……できることなら言わずに終わりたいくらいだ。なにより、暴露したところで、どうせ信じてはもらえないだろう。


 だって、今の僕とアメは不完全なのだから。


 なんだか、とても眠たくなってきた。


 重い瞼を必死に持ち上げ、なんとか家に帰ったときには、とっくに日付が変わっていた。

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