ライキとカイラの関係!
「遅いな、あの野郎」
ライキは、集合住宅の一角にある一軒家の前で悩んでいた。
(カイラを連れ戻すのは簡単なんだけど、魔力の流れを感知されて逃げられたら面倒だしなー。どうすっかな)
ライキは、先ほどぶっ飛ばしたカイラがなかなか帰ってこないため、自分で連れ戻すか帰りを待っているか、どちらにするのか悩んでいた。
(あいつ、元勇者みたいだから、あれぐらいじゃ死なないと思うんだよな。まー、死んでも死霊術で俺の人形にするけどな。でも今は、奴隷のほうが欲しいから人形はいいや)
そんな事を思いながら、さらっとカイラの秘密を暴露するライキ。
そう、実はカイラは元勇者である。しかも、S級勇者だった。ライキが勇者になるまでは、ダントツで世界最強勇者と言われていたぐらいである。ライキは、そこまで強い勇者とは思っておらず、せいぜいB級ぐらいだろうと思っている。
そんな、勇者がなぜライキのマネージャーをしているのか、それは、後ほど明らかになる。
(よしっ、決めた。あれやるか)
あれ、とは逆空間転移魔法のことである。
逆空間転移魔法とは、自分の魔力でマーキングしたものを自分の今居る場所に転移させる魔法のことである。ライキは、さっきカイラをぶっ飛ばしたとき一応マーキングしておいていた。
しかしなぜ、ライキが最初からこの魔法を使わなかったのか。それには、深い理由があった。
逆空間転移魔法は、相手の了承なく転移する、そのため相手が何か大事な事をしていた場合、大変迷惑なのである。例えば、用を足していた場合。
(よーし、座標確認!逆空間転移魔法発動!)
そして、ライキの前方が光に包まれる。
「さーて、鬼が出るか蛇が出るか、いや小なのか大なのか見ものだな」
そして、目の前に現れたのは・・・。
一方その頃、カイラは何がなんだか分からなかった。
ライキにぶっ飛ばされて死にそうになりながら何とか治癒魔法を行い、近くにあった酒場に入って飯を食べ始めたらいきなり光に包まれ、目を開けたら酒場ではなくライキの姿があるのだから。
ライキは暫く、そのアホを見ていた。手に肉を持ったカイラの姿を。そして、ある感情が湧き出てくる。それは怒り。
「なんで、すぐ帰ってこなかったんだよおおおおおおおおおおおお!」
そして、カイラの持っていた肉を奪い去りそのままローキックをぶちかます。
メキャッブチブチブチッ!
「うんぎょえああああああああああああああああっっっ!」
カイラはあまりの激痛に倒れる。そして、カイラの脚は骨が折れ肉を突き破り膝から下が今にも捥げそうだった。
「このぐらいで許してやるよ」
ライキにとって、膝下が取れかかるのが、このぐらいといえるらしい。
その後、十分ほど放置して治癒魔法をかけたライキであった。
そして、このやり取りは五回目である。
いつまでも学習しないカイラは、すでにMっ気があるのかもしれない。