世の中で許せない奴
「はぁ~、やっと授業終わった~」
「今日帰り暇? 部活ないから寄り道したい」
「分かった」
「今日家帰っても誰もいないし、晩ごはんどっかで食べに行きたい。俺千円しか払わないけど」
「誘ってんの? まぁ、別にいいけど」
「よし、二人でのんびり遊ぶぞ~」
「そろそろ試験もあるんだけどな」
「俺は、普段から勉強してるおかげで順位がお前より圧倒的に上だから、せいぜい頑張れよ」
「お前、俺以外に友達とかいんのかよ」
「お前がいるから大丈夫」
「そ、そんなこと言ったら照れるだろ」
「それじゃ、ゲーセンに行きますかっ」
「お前は、俺を馬鹿にするために、いくつ特技を持ってるんだよ」
「う~ん、これぐらい努力すれば何とかなる」
「大きいぬいぐるみばっか取ってんじゃねぇよ」
「200円で意外と簡単に取れたな」
「それよりもさ、これどうすんの? 軽いけど幅が大きいんだけど」
「ん~、じゃあ、あげる」
「貰っていいの?」
「全部はあげねぇから、4個とったから2つあげる」
「お、おう、サンキュー」
「さて、晩ごはんどこにする?」
「焼肉にでも行く?」
「金あんの? 俺、千円しか」
「残りは俺が払うから、とっとと行こうぜ」
「・・・うん」
「俺は焼肉をすることでいくつか腹が立つことがある。今日は俺が喋る」
「珍しいな。お前が何かに腹立てるなんて」
「なぜ集団で来ると、仕切るやつが出てくるのか」
「それは、いっぺんに全部するとガチャガチャするからだろ」
「確かにお前の言う通りだ。だが、明らかに肉焼きすぎだと思うぐらい焼こうとする。どうして、一気に八枚も焼こうとするのか意味がわからない」
「まぁまぁ」
「その上、仕切るやつに限って喋ってばっかりで、肉を焦がしてしまう。初めからトング持つなよ」
「そういう話は学校でお願い。せめて、焼肉してる最中にその話するのはやめて」
「そもそもトングが一つのテーブルに一個って! 人数分確認して持ってこいや。在庫が無いのかよ」
「これ以上はストップ」
「団体で行ったときの仕切るやつは害悪だわ」
「・・・」
「『肉焦げてるから早く取って』じゃねぇんだよ。おめぇがトング持ってるから、こっちは箸でやらなきゃなんねぇんだよ」
「はぁ」
「多分一人焼肉してるやつは、みんな俺と同じこと思ってるはずだ。自分のペースで焼かせろやと」
「もうやめてくれ!!」
「俺と焼肉行ってくれてありがとう」
「二度と行きたくないな。お前とは」
「だから、俺が奢ったんだろ。千円しか払わないとか言ってたらファミレスになると思ってたから」
「はいはい、また明日な」