席替え
「はぁぁ、席替えかぁ……」
「やっと、席替えかよ、二ヶ月とか長すぎ」
「お前は、俺が隣で楽しくなかったのかよ!!」
「楽しかったけど、もう充分かな」
「ひ、ひどい!! あんなことも話したのに」
「お前の下世話な話に付き合った俺に、よくひどいとか言えたもんだな」
「もういいし、可愛い女の子の後ろの席になって、うなじとか死ぬほどガン見してやる」
「気持ち悪い宣言は、お控え下さい」
「女の子のうなじについて、どう思う?」
「毎日見るものではない」
「そういう考え方もあるのか……」
「たまにとか、浴衣姿のときに見るから素晴らしく思えるんだろ。つまり、毎日見るものではない」
「でも、見えたら見るんだろ?」
「そうだろうな」
「結局、毎日見るべきものだ」
「ブスが前に座ればいいのに……」
「不吉なことを言うな」
「もしくは、一番前の席になればいいのに」
「やめてくれ」
「とにもかくにも、明日の朝には分かるんだから、悩んでもしょうがないだろ。まっ、成績が悪い人間は、前の席に座らせられるかもしれないな」
「その点、お前は頭は良いからなぁ」
「どうも、学年五位の男子高校生です」
「チクショーー」
翌日。
「はぁぁ、席替えどうなってるかな?」
「朝からうるさい。どうせ、中途半端な場所になるんだから」
「俺、昨日寝れなかったんだぞ」
「バカじゃねぇのか」
「不安で不安で」
「で、どうする? このまま帰る?」
「帰らない。結果は見届ける」
「遂に、学校が見えてきたぞ」
「前に可愛い女の子で、隣がお前」
「お前が一番前で、俺が後ろから二列目」
「だから、やめてくれ」
「さてと、教室が見えてきたな」
「お前が先に入ってくれ」
「別にいいけど、結果見て笑うかもな」
「やっぱり、一緒に見よう」
ガラガラガラ。
「あの紙が座席表だぞ」
「よし、それじゃあ、運命の瞬間だ」
「ドラムロールでも、流れるのかな?」
「ジャン!!」
「どこだ?」
「良かった。一列目には名前がない!!」
「チッ」
「今、完全に舌打ちしただろ」
「あっ、俺、後ろから二列目だ。ラッキー」
「俺は、俺はどこだ?」
「はぁ」
「どうした? ため息なんかついて」
「俺の横見たら分かると思うぞ」
「ま、まさか・・・よっしゃあ~隣だ」
「また、聞かないといけないのかよ」
「お前は俺から逃げることは出来ないと思え」
「ちなみに、お前の前の席は誰?」
「えーと、最悪だ。ブスだった」
「お前、本当に酷いな。女性は顔じゃないんだぞ」
「すげぇ、棒読みで何か言ってるし」
「ちなみに、俺の前の席は清水さんだけどな」
「あの清水さんだと……お、お前、卑怯だぞ!! 席変われ」
「今日からうなじ見放題だな(笑)。ハハハハハハ」
「チキショーーーー」