ラジオ体操
「ラジオ体操の中で、一番エロい運動って何だろうか、考えてみたくはないか?」
「ノー、アイ、ドント」
「お前がノーと言っても、考えるぞ」
「なら、質問すんな」
「一番エロいなら、ジャンプかな~?」
「第一の話だよな」
「そりゃ、第一がベターだからな」
「あっそ、それでどの辺がエロいの?」
「それはだな、ジャンプするたびに、胸が揺れるんだぞ、これ以上のエロさが他に存在するだろうか?その答えは否だな! よって、ジャンプがエロい」
「俺は体を前後に曲げるのがエロいと思うけど」
「ほほぅ、どうして、そう思うのか答えろ」
「だって、ジャンプは胸が無いやつは、大してエロさが出てこない。それに対して、曲げる運動は、まず、最初は前に屈むだろ。その時に、体操服から少しだけ隙間が出来て、胸が見えたりする。そして、今度は後ろに曲げるとき、体操服をきちんと着ていない女子は、へそが見えることもある。へそというのは、男からしたら意外と興奮する材料にもなりうる。従って、この運動が一番エロい」
「何という、長い説明。そして、破綻の文字すら感じさせない完璧なまでの、この理論・・・クソ」
「俺の提案に異議は無いようだな」
「ハーハッハッハッ、ハーハッハッハッ」
「誰だ!!」
どこからか、声が聞こえてくる。
「先ほどの話を聞かせてもらったよ、諸君。ラジオ体操からエロさを見出だそうするのは、感心だな。だが、貴様ら二人は、根本から間違っている!!」
「俺たちの何が間違ってるんだ?」
「お前たちは、ラジオ体操のみに限って、エロさを見出だそうとしているということだ」
今、ノリと勢いのみでやってるから。
「そのときの、女子の体操服を想像したのか?」
「「ハッ」」
「クックックッ、気付いたか? この時期、つまり夏というのは、俺たちにとって、地獄であり、天国でもあるんだよ」
「そういうことかよ」
「そう、夏というのは非常に暑い。そのため、汗というものが分泌されている。そして・・・・・・」
少しの沈黙が流れる。
「服が肌に張り付いて、ブラジャーが透ける」
俺たちは、膝から崩れ落ちた。
「そこから、繰り広げられる下着の妄想。妄想こそが、男子高校生にとって、至福の時ではないか」
「俺たちが辿り着いた結論は間違ってたのか……」
「いや、間違ってなどいない、ただ、もう少し視野を広げれば、もっといいものに辿り着いたかもな」
キーンコーンカーンコーン。
そして、時間が来る。
クラスのみんなが席につき、授業が始まる。
そして、翌日の体育で、何故か女子が全員長袖の体操服を着てきて、途中で何人もの人が熱中症になりかけていた。