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3話 思い出

 とりあえず荷物をまとめるか……。まず鞄の中に洋服などを入れて上の方に必要になりそうなものを入れる。これで完了です。

「皆準備終わったか~?」

「いやまだだわ」

「同じく」

「……俺も」

 三者三様の返事が帰ってくる。振り返ってみればそこには閉まらないバックと格闘している若人の姿があった。なにやってんのんこの子達。

 結局全員が支度し終えたのは十分後だった。まあ、とりあえず全員準備も出来たことだし部屋を後にする。この時電気を消し忘れたら怒られるんだからね!



「はーいそれでは荷物をバスの運転手さんに渡してくださーい」

 と教頭の声が聞こえてきたのでバックを運転手さんに渡しバス内に入れてもらいバスにに乗り込む。

 しばらく外をぼんやり見ていると昔のことを思い出してしまった。

 

 確かあれは六歳ぐらいの時だ。あの頃の記憶は曖昧だけど一つだけ思い出した事がある。それは美久との出会いだった。小学校の砂場で遊んでいたときのことだ、この頃も俺は友達と呼べる人は数人しかいなくてその子達が別の子と遊んでいる時はいつも一人だった。そして決まって一人で砂場に行くと一人の少女がいた。なのに人見知りということもあり俺達は関わるということはせずいつも一人で遊んでいた。でもある日その子は声をかけてきた。

「一緒に遊ぼ」と言ってきた。俺はその時初めてその子を正面から見た。その子はとても可愛かった。でもなぜそんなにも可愛い子がいつも一人でいるのだろうか。今なら答えを出すのは簡単だ。単純に嫌われていたのだ。でも俺はその子に興味を持った。

 それからというもの二人で遊ぶことは多くなりこの幸せは永遠に続くものだと思っていた。でも出会いがあれば別れは必ずある。未久は東京から遠く離れた地に行ってしまった。


 そんな思い出に浸かっていると声をかけられた。

「空君となりいい?」

「ああ、いいよ」

 いつの間にか結構時間が経っていたらしいバスに全員乗り込み席に皆座っていた。

「それでは出発致しまーす」

 バスの運転手さんがそう言うとバスは出発した。

「そう言えば空君明日って暇?」

「まあ、特に用事はないけど」

「じゃあ明日久しぶりに遊ばない?」

「いいよ、どこで遊ぶ?」

「じゃあアミナ行こうよ」

「あの馬鹿でかいショピングモールか」

「そうあそこ。あ、あとさメアド貰えるかな?」

「ああいいよ」

 赤外線通信で家族以外で初めてのメアドが登録される。

 それからあれこれ駄弁っているうちに解散地点の駅まであと少しというところまでバスは来ていた。もう周りは見たことのある景色になりつつある。もうすぐ終わりだ今日は帰ってゆっくり休みたい。もうね、ホント疲れちゃたよ。というより睡魔には憑かれちゃてます。

「はい、一回注目。このあと着いたら各自解散になるけど寄り道せずまっすぐ帰るんだぞ。以上!」



「じゃまた明日な」

「うん、楽しみにしてるね」

 バスから降り伸びをしながら言うと本当に嬉しそうにそう返ってきた。何だか照れちゃうな俺!

「そう言えば美久って何処に住んでんの?」

「えーとね町田だよ」

「え、俺と同じじゃん」

「そうなの! じゃあ一緒に帰ろ」

「じゃ、じゃあ行こうか」

 幼馴染と一緒に帰るなんて……空感激です! とでも言うと思ったか? 俺はまともに会話できる自信がないから出来れば避けて通りたかった。……まあ、三年ぶりだしいいか。

 この後電車に乗り他愛もないことを話した。でもそんな他愛もないことを話せるのが三年ぶりということで少し嬉しかったりする。

 そうこうするうちに町田に着いた。降りて途中まで一緒に帰るつもりだったのだがなかなか別れる道が来ない。かれこれ二十分ぐらい歩いた頃家についてしまった。

「「じゃあ家ここだから」」

 二人して同じことを言う。

「え、美久ってこの家なの?」

「うん、隣だったなんてビックリだね」

「ホントだな」

 今度は二人して苦笑する。ホントにビックリしたこんなことってホントにあるんだな。

「ということは小学校の時も隣だったんだね」

「え、小学校の時から……」

 なんで今まで気づかなかったんだろうか……。世の中って不思議!

「じゃあ、明日も一緒に行こうよ」

「そうするか」

 そこで会話も終わり今度こそホントに分かれて家に入る。

「ただいまー」

「あらおかえり」

 母がちょうど洗濯物を二階に持っていく途中だったらしい。ちょうどそこにいた。

「ご飯もうすぐできるからリビング言ってて」

「はいよ」

 

 

 リビングに行くと妹の香奈が居た。

「あれ、お兄ちゃんおかえり」

「おう、ただいま」

「何かいいことでもあったの?」

「いや別になんでだ?」

「いやなんとなくそう思っただけ」

 なんだそれ……。まあ当たらずとも遠からずというところかな。

 


 飯もくい風呂に入ったことで眠気もピークに達っしベットに入り込むとすぐに寝てしまいそうになる。

 しかしまだ明日の集合時間を決めてない。携帯を見るとメールが届いており内容は明日九時に家の前に集合でいい? ということだった。「了解」とだけ送る。あとはもう睡魔に身を任せるだけだ。


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